偽造したのは人の死に関わる書類。しかし被告人らはその重大さにあまりピンと来ておらず... 傍聴小景 #96(公文書偽造、詐欺)
感心してちゃいけないんですが、よくもまぁこんなこと思いつくよなという犯罪ってあります。特に今回のような詐欺事件に多い気がします。
今回、会社が絡む詐欺の話なんですけど、違法性のチェックをしっかりできる体制がある会社ってあんまないんでしょうかね。やっぱどこも苦しいから、そこに人をかけるくらいならという思いがあるのでしょうかね。
でも、その人手をかけないせいで、大きな事態になることも当然あるわけで。
はじめに ~マスコミも注目の事件とは~
被告人はスーツを着た2名。
社会人としての雰囲気を感じる2人ですが、1人は1回目の裁判当時は無職でした。この事件後に退職したようです。
マスコミの方も多く傍聴席にいたので、裁判が始まる前から緊張感が走ります。
この「有印公文書偽造・同行使」という罪名、一般の方には聞き覚えはそんなないかもですが、内容は字を見ての通りで、公文書を偽造しそれを使ったというものです。
だいたい、偽造する理由というのは、それを使って本来できないことをすることなので、「詐欺罪」とセットになることが多いです。
恐らくこの罪名で最も多いのが、免許証の偽造。
それによって、架空の人物になりすまして、キャッシュカードを使って、それが特殊詐欺グループの入金先になるみたいなのはよくあります。
あとは、無免許の人がそれとバレないために使うとか。
しかし、この文書が偽造されるなんて、後にも先にも聞いたことありませんでした。
事件の概要(起訴状の要約)
今回の公文書というのは、死体検案書のことでした。
死体解剖保存法という恐ろしい名前の法律の観点に基づき、公文書であるという話などもありました。いろんな法律があるものだと、本当に思い知らされます。今後知識として使う機会はあるのでしょうか…。
さて、事件内容ですが、ざっくり言えば、家で長く死亡が確認されなかったことによる清掃費を嘘で求めた詐欺事件なのですが、支払ったのはBが勤めるY社。
自分の会社が損に合うことではありますが、自分自身の懐が痛まなければいいってことなんですかね。
ちなみに②の事件については、Bは関与していません。Y社の別の人間Cが関与してのことなのですが、その人物はこの法廷に立っていません。この謎はすぐに解明されます。
採用された証拠類 ~会社を潰してやろうと~
もともとはCが言い出した事っぽいですね。まぁ、すでに亡くなっているので、どこまで本当かはわかりませんが。
なんとなく偽造文書って、その印影の偽造のイメージがあったのですが、文字の偽造だったようですね。イラレで出来るくらいのことなのだとしたら、割とハードルは低く感じていたのかもしれません。
先に例で挙げた免許書の偽造事案でも、コンビニでカラーコピーしたものが使われるケースも多く、ソフトにしても印刷機器にしても精巧になるのも考えものです。
ちなみに、カラーコピーくらいだったら、警官に見せた際は光度合いとか、手触りで一瞬で看破されるという話もよく聞きます。
被告人質問 ~みんなしてるんだろうなと~
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