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財布に5万しかないので盗みに行こうと思いました(窃盗) 傍聴小景#51

持ち家か賃貸かの論争ってよく見ますけど、どちらも相応にいい部分があります。僕としては賃貸派ですけども。

そして第三の派閥として家を持たない方がいらっしゃいます。お金が有り余ってホテルを転々とする人もいるのですが、それは例外。裁判でよく見るのは、やはりお金があまり無くて、知人宅を転々としたり、路上で生活したり、ネットカフェを転々としたり。
もちろんネカフェは便利ですし、1晩を越すくらいなら安いってのはわかるんですけど、それを30日ともなればそれなりに額がいきますし、そっちの方が神経をすり減らすと思うんですが、まぁいろんな考え方の方がいらっしゃるという話です。

はじめに ~人は見かけにはよらず?~

罪名 :窃盗、窃盗未遂
被告人:40代の男性
傍聴席:平均4人(計2回)

無精ひげを生やし、なんだか昔ながらジャージ姿の被告人は見るからに、その日暮らしをしているのがわかります。傍聴席には関係者らしき方もいませんし、この裁判がどういう結末を迎えても、また厳しい生活が待っているのではと勝手に想像をしてしまいます。
窃盗罪だとこの想像があまり外れません。まぁ、今回のように外れることもあるのですが。

事件の概要(起訴状の要約)

被告人は、転売目的で家電量販店にてDVD作品を3点窃取した。同じ店で4点目を店外に持ち出そうとした際に、防犯ブザーが鳴ったため未遂に終わった。

よくある転売目的の万引きでした。よくあるとは言え、盗まれた3点の被害総額は25,000円相当で多額です。
防犯ブザーが鳴って4回目には発覚してしまうのですが、逆にいうとそれまではブザーが鳴らなかったようです。それはどういうことなのでしょう。

検察官が証拠として提出した資料や供述など

・被告人は過去に自衛隊に所属していたこともあるが、現在は日雇いで生活をして、ネットカフェで寝泊まりを繰り返している
・同種の前科が2犯ある
・逃走時、被告人は3階から飛び降り、手すりに頭を打ち付け流血していた

・当時、被告人は数万円を保持していた
・防犯ゲート対策として、〇〇でできたセカンドバックを所持していた
・転売目的で、多い日で20点ほどの転売をしていた。売却はネットの買取専門店で行っていた

比較的、よくある犯行ではあるのですが、とにかく犯行の量が多いです。1万円近くの商品を多い日で20点ほど犯行に及んでいたというのですから、相当な被害総額になることが想像されます。
この犯行の規模からも、当時、数万円を所持していたというのも頷けます。この辺りの金銭感覚について、このようにも供述しているようです。

当時、財布に5万円入っていた。いつもは10万円入れているので、少ないなと思い、盗みに行こうと思った。

盗みに入っただけでも心情最悪なのに、こんな供述されたら今後どんな反省の弁が出てきても、被告人に同情の念など抱きようがありません。ネカフェ暮らしで、転売での生活で大変そうだと思った私の心配を返してください。

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