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新罪名の裁判一件目の被告人は盗撮に〇〇を使うプロだった(性的姿態等撮影) 傍聴小景#90

割引あり

裁判の中で「無意識のうちに」「気付いたらやっていた」などといった供述を聞くことがあります。「そんなアホな」とも思うこともありますが、僕も時を忘れて原稿や動画制作に没頭してしまうことはありますので、何が何でも嘘ではないのだとは思います。もちろん正当化はしませんが。

そして、もしそういう状況下であったと主張するならば、リカバーする努力は必要だと思うのです。その意識が見えないと、無意識ってことを言い訳にしちゃえ感がグンと強まるのです。

はじめに ~施行されたばかりの新罪名~

罪名 :性的姿態等撮影
被告人:30代の男性
傍聴席:平均10人(全2回)

一般の方にとって聞き馴染みがないであろう、「性的姿態等撮影」という罪名。それもそのはず、2023年7月13日に施行されたばかりの法律なのです。ちなみに今回の事件が起きたのが、7月15日と17日なので、施行されたてホヤホヤ。

大阪地裁でこの罪名での裁判は初めてでした(毎日通っている僕が言うんだから間違いない!)。開廷表で罪名を見たときは「うおぉぉぉぉ」と声を上げ、1発目の裁判はたくさんの傍聴人がいるのかなと思ったのですが、特に変哲のない日常でやや肩透かしでした。

この罪名での裁判記事ってすでに出ていたりするのでしょうか。発信としては1番だったら嬉しいんだけど。

この罪名、字面からもある程度想像できると思いますが、性的な姿態(姿や状態)を同意なく撮影したり、同意なく拡散するなどの行為を処罰するものです。
今までは迷惑防止条例違反の範疇でしたが、条例違反だと都道府県ごとに条例が異なったり、恐らくですが昨今非常に多い内容でもあるので、新法ということになったのかと。


事件の概要(起訴状の要約) ~知らぬ間に被害者になることも?~

被告人は2日間で計3回に渡り、駅構内のエスカレータ下や階段下からスマホを差し向け、下着など臀部を覆っている部分を撮影した。(性的姿態等撮影第二条一項イ)

初めてということで、何項かまで頑張ってメモしちゃいました。

事件自体はよくありがちな盗撮事例でした。今回3件で起訴されていますが、2件分は被害者が特定されておらず、その他の盗撮事案でも本人の知らぬ間に被害者となっているケースもあるのかなと。被告人からもバレなきゃ大丈夫と思ったという供述をよく聞きます。


採用された証拠類 ~盗撮のお伴に一日乗車券~

検察官証拠
被告人は同種前科が6犯あり、直近5年に3度同罪で裁判にかけられており、2度の服役を経験している。今回の事件は出所の翌月の犯行だった。

事件の発覚は、目撃者による取り押さえ。駅でエスカレータの列に割り込んで来たのでそれとなく見てたら、カメラモードになっていた。スカートの下に手を差し伸べたので腕を掴んだ。
被告人は「逃げないんで掴まないで」と言ったので手を離したら逃げたので、追いかけたら転んだので再度捕まえた。
被害者は「知らない間に撮られていて、とても気持ち悪い」と供述。

被告人の供述調書
自分の好みは、清潔感がある人、細い、スカートを履いているなど。
昔は下着を見たい思いでやっていたが、今は生活の一部になってしまっている。
下着だけでなく、顔を撮ることもある。事件の日も盗撮をするために駅まで行って、20人くらい撮った1日乗車券を使って、駅を行き来していた。

裁判1発目がこんなプロにあたるとは…。1日乗車券を使って盗撮をすると聞くと、盗撮が生活の一部になっているというのも残念ながら頷けます。

盗撮に限らずですが、性犯罪をしてしまう人の容姿って皆さんどんな方を思い浮かべますか?
失礼ですが、外見から女性に縁遠そうな人だなと感じる人、と思う方もいるにはいるんです。でも、実は結構普通にしてたらモテそうなのに、って思う人も多いんです。
この被告人も過去には結婚していたようですし、普通にモテてきたのだろうなという感じ。あんま掘り下げてルッキズムと言われるのも嫌なのですが、誰かこの点を研究している人とかいないのかなぁ…。

それにしても、前科もたくさんあって、今回は直近刑終了後わずかの犯行。これは、被告人質問での主張も苦しそうです…。

被告人質問 ~依存しているとは気づいていなかった?~

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