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「見えることば」の手数料【おじさん小学生の譫言vol.11】

自分も気をつけようという意味で。

理想の言葉を口にする時

多分あとで真逆のnoteを書くと思う。けれど、まずは前向きな発言や、物事の明るい部分について言及するときに、注意したほうがいいことについて、まとめたい。

結論を言うと「ポジティブな発言ばっかりしてるのはアカン」ということに尽きる。

ただし、これだけで終わってしまうと、分かっている人には当たり前で、分からない人にはピンとこないのだろう。両方から「(いまさらorいったい)何を言っているんだ」と怒られるかもしれない。

見えない言葉、見える言葉

前向きかどうかの前に、まず言葉の用法2つに分かれる。一つは自分に向かって使うこと。もう一つは誰かに向かって使うことだ。

自分に向かって言葉を使うとき、それがポジティブ一辺倒であることに、何の問題もないとは言えないが、そちらの弊害については、今回言いたいこととはちょっと違う。自分向きの言葉についてはこの画像を貼るに留める。

もちろん色々思うところはあります

そうした自己暗示や、自己対話の方ではなくて、 他人に見えるように使う言葉。特にSNSのような、誰もが閲覧できる場所に置いておく言葉が、ポジティブ一辺倒である場合についてである。

何を言っているんだ?じゃあネガティブな発言を連発するメンヘラになれっていうのか?という反論があるかもしれないが、そういうことではない。

むしろネガティブ連発が良くないのと同様に、ポジティブ連発も良くない。というか、連発が良くない。という話をしたい。

何かを塗り潰して覆い隠すみたいに

毎日、こんなハッピーなことがあった!こんな幸福な出会いと奇跡があった!挑戦の喜びと震えるような達成感があった!嬉しい!美味しい!最高!

実に素晴らしい!誰しもが幸福に生きていく権利があるし、その実現は、もちろん周りの人々も望むところである。ところで…ずいぶんそればっかりじゃない?あと多い!

いや、訝しがっているこちらの心が汚れているだけで、本当にその人は強運で、あらゆることに恵まれていて、常に寝ても覚めても、希望に満ち溢れているのかもしれない。というか、そうであって欲しい。

人の幸せな様子やハッピーな出来事自体については、何度も言うけれど、実に結構なことである。

しかし、ここで「そればっかり」と言っているのは、幸せなことが起こる回数ではなくて、その幸せを私たちに逐一報告する回数と、その報告が幸せなことである割合の異常な高さについてなのだ。

「わたしの話を聞け」を連投するとどうなるか

もしかして、「つらいことや悲しいことは公言しないで、嬉しいこと、共有したいことだけに限定して発信する」というポリシーを持っているのかもしれない。その心遣いは無いよりは有るほうがいいのかもしれない。

でも大変申し訳ないのだけど、厳選されたその共有の連投は、幸せなニュースである以前に「わたしの話」なのだ。

どんなに良い話でも、そう1日に何度も繰り返し、それも毎日、他人に見せるタイプの自己暗示のように、人が自分の話を繰り返すのを見聞きするのはつらい。

それが証拠に、この世には「わたしの話」を聞くという有料サービスがごまんとある。度が過ぎれば、それだけ苦役になりえるということだ。

とにかくうまくやってほしい

もしもそれがnote.muみたいに、誰かが自ら選んで、好き好んで見に来るような限定された場所での連投なら、「わたしの話」はむしろその人たちに求められているに違いない。だからこんな記事ごときを読んで萎縮することなく、気の向くままに自分語りをしまくってほしい。

マズイのは、多くの人が目を通さないといけないと思っている公共的な場所で「わたしの話」をし続けることだ。マズイというのは、周りがつらいということを通じて、結果的にその発言者自身が損をするという意味である。

「知ったことか!わたしがわたしの話をしまくって何が悪い!」と考える人も、どうぞ気の向くままにやってほしい。心配なのは、ずっと幸せそうに繰り返し繰り返しメッセージを書き込んでいるのに、あんまり反応ももらえず、投稿の内容とは裏腹にどこか寂しそうな人だ。

それは知らず知らずのうちに、何か目に見えないものを過剰に支払っているんだということに気づいて欲しい。単純に頻度を下げるのでもいいし、時に幸せかどうかではないような、本当に何でもない言葉を混ぜるだけでも、その捉えどころのない消耗は、緩和されると思う。

そして何より、「わたし」以外の人の話に耳を傾けて欲しい。誰かの話をすぐに自分の話にすり替えて、すぐに「わたしの話」にしようとしないで、ちょっと多めに受け止めてあげることができるようになると、そこにはわざわざ人に共有しなくていい、言葉にしなくていい幸せや、それに近い感情が生まれることがある。

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