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「十人でいること、十人でやること」南極ゴジラ インタビュー

佐藤佐吉演劇祭実行委員会が、参加団体の魅力を紹介するため稽古中のお忙しい所にインタビューを敢行!第13弾は南極ゴジラのみなさんにお話をお伺いしました!

佐藤佐吉演劇祭2024参加団体インタビュー
ゲスト:ユガミノーマル、井上耕輔、九條えり花、こんにち博士、瀬安勇志、TGW-1996、古田絵夢、揺楽瑠香、和久井千尋、端栞里
聞き手:内田倭史(佐藤佐吉演劇祭実行委員会)


心臓バクバクで一人一人に電話しました

内田:自己紹介をお願いします!
ユガミ:南極ゴジラでキャプテンをしております、ユガミノーマルと申します。
こんにち:脚本演出をしている、こんにち博士です。
揺楽:音楽と俳優をやっています、揺楽瑠香と申します。よろしくお願いします。
瀬安:僕は俳優と、稽古場関連や映像系をやってます。瀬安勇志と申します。
TGW:サイト管理と俳優をしてるTGW-1996と申します。
井上:2tショートまでの車の運転やフィジカルトレーニングをやったりしています、俳優の井上耕輔です。
九條:制作や広報をしたり役者をしている九條えり花と申します。
古田:俳優とイラストレーターをしています、古田絵夢です。
:俳優とSNS、主にXを動かしてます、端栞里です。よろしくお願いします。
和久井:和久井千尋と申します。俳優とお金の管理だったり、助成金の申請などをやっています。よろしくお願いします。

内田:南極ゴジラのこれまでを教えてもらえますか?
ユガミ:南極ゴジラは、コロナ真っ只中の2020年に旗揚げをして、主に本公演でSF作品を作ってきました。
こんにち:最初はコロナ禍でなかなか劇ができなくて、1回目の公演は下北沢のカフェでやったんですけど、お客さんがあまり入らなくて、もう嫌やなってなって(笑)
一同:(笑)
こんにち:次の一年はインスタライブで生配信劇をやったり、一軒家で一人芝居をやったり、劇場以外で作品を発表していまいした。生配信劇をやってる時に王子小劇場の職員でもある黒太さんが照明の手伝いで現場にきてくれていて、その時に「王子でやったらいいんじゃない?」と言ってもらったことがきっかけで、王子小劇場で2回目の本公演『ホネホネ山の大動物』を上演しました。

内田:皆さんはもともとはどういう繋がりがあったんですか?
ユガミ:最初は、大学のサークルの中で、僕とこんにちと井上の3人でユニットみたいな感じで立ち上げたんです。僕がどうしてもTEAM NACSがやりたくて。そのために、サークルの特殊公演みたいな形でやらせてもらいました。で、2回目の公演からこんにち博士が本を書くようになったんです。
こんにち:TEAM NACSをやるためだけに集まったけど、そのまま終わるのはもったいないなってことで、大学生の間は続けていました。劇団というより、公演ごとにメンバーを集めるプロデュース公演みたいな形式でしたね。 なので2020年から始まった今の南極ゴジラとは全然別物っていう感じです。
瀬安:この九人(端さん以外)は大学が一緒だったり大学が近かったりして、もともと知り合いだったんです。
九條:ユガミがみんなをあつめてくれたんです。
ユガミ心臓バクバクで一人一人に電話しました。劇団をやろうと思うけど、やりませんか?って。
こんにち:それで、一年目の時に、端栞里が後から入ってきました。キャプテンもおるし(ユガミ)、マネージャーが一人いた方がいいなってなって思って、募集して、入ってきてくれたんですけど、なんか気がついたらめちゃくちゃ出てる(笑)。
一同:(笑)。
内田:マネージャー採用だったんですね。
:そうなんです(笑)。最初の一年くらいは裏方をやってました。
瀬安:2020年に始まった時には東京にいたのは4人とかで、他のみんなは大阪にいたんです。で、そこからおのおのの事情だったりなんだかんだりあって、一ヶ月前くらいに十人が東京に集まりました。

十人でいること、十人でやること

内田:どんなふうに作品を作っていますか?
こんにち:やりたいことをみんなで話し合い、それをどんどん脚本に落とし込んでいく感じですね。台本は役者に当て書きしています。台本ができてからはスタンダードにとにかく稽古しています。
瀬安:こんにち博士はまず最初にキャラクターの名前を教えてくれるんです。なので名前と役のイメージを聞いて、台本がない状態でいろんな角度から一回作ってみよう、みたいなこともやったりもします。今回はみんなで新宿の町に繰り出して、それぞれバラバラな地点からスタートして自分が演じる役のていで街を歩き回って、合流する、みたいなことをやりました。まだ何にも確立はしていないので、新しい劇の作り方みたいなことも常に模索しながらやっている感じですね。

内田:創作のなかで大切にしてることはありますか?

ユガミ:前回公演くらいから劇団員十人のグルーヴ感みたいなのを大事にしようとしています。アップとして、それぞれの空気感を読んで一体となってダンスする、みたいなのを稽古前や本番前にやるようにしていますね。
内田:へえ!アップのダンスはどこかから影響を受けたんですか?
:どうやって始まったんやっけ?
揺楽:yurinasiaじゃなかった?
こんにち:あ、そうや。yurinasiaさんっていう方がやっているダンスのチームがあって、YouTubeに動画があるんですけど、そのダンスが、曲に合わせて自由に踊る感じで、完全に好き勝手ではないと思いますけど、それがカッコよくて。それになりたいなと。
瀬安:各々の事情がある中で十人が晴れて東京に来れたので、やっぱり今は十人でいること、十人でやることを重視していますね。

ぶつかるたびにみんなで考えてる

内田:困った時にどう突破口を開けていますか?というか困ることとかってあります?
一同:まじで困ってます!!
こんにち:毎日困ってます…。
ユガミ:俺たちはだいぶ困っています。
こんにち:演技がどうとかはあんまり問題にならなくて、どっちかって言うと、台本上で困ることが多いですね。物語的に壁にぶち当たるというか。『地底探検』のときも、脚本をバーって書き進めていって、最後は誰か一人を打ち上げて終わらせるってことは決まったんですけど、打ち上げ方がマジで分からなくて、最後これみんなどうしようみたいな…。あのときは困りましたね。
内田:そういう時ってどうしていますか?
揺楽:図書館に行ってみんなで、参考になりそうな本を持ち寄って、ホワイトボードに書き出して会議したこともありましたね。
瀬安:その日は何にも進まなかった(笑)。
こんにち:意外とそういうことやってる時ほど進まへん(笑)。
一同:(笑)。
こんにちぶつかるたびにみんなで考えてるっていう感じですね。
瀬安:今とかまさにそうですけど、物量の壁にぶつかることは多いです。脚本がバーってできていって、それを読んで、おもろ!ってなって盛り上がるんですけど、本番二週間前とかのタイミングになって、それらをじゃあどう用意すればいいんだ?っていう(笑)。
一同:(笑)。
:今絶賛いろんなものを作っています。全部ダンボールで。
九條:作るものを書き出していって、作り終わったものは線引いてこうって言ってたんですけど、まだ線を引けたものが 1 個しかなくて(笑)。
瀬安:一番最近東京に来たのがTGWなんですけど、引っ越して一ヶ月ぐらいの新居なのに
TGW:作業場にされてダンボールまみれです(笑)。
ユガミ:ごめんな(笑)。
瀬安:こんにち博士の脚本上には実際には存在しない小道具も登場するので、その機構から作らなきゃいけない。
:これどうやって作るんですか?って聞いたら、好きに作っていいよって言われて(笑)。
こんにち:『地底探検』の時はほとんどの小道具をマイムで表現して、で、ここぞという時だけ小道具を登場させていたんです。そしたらアンケートで、あるものとないものが混在してるのがちょっと分かりづらいっていう意見が多くあったので。
内田:じゃあ全部出そうと(笑)。
こんにち:はい(笑)。そうなった結果、ちょっと調子に乗りすぎた感じはあります…。
:突破の仕方はわからない(笑)
こんにち:まあでも本番までには突破してるはず。
揺楽:なんとか本番を迎える、っていうのが結果的に突破口になっていますね(笑)。

友達の割合と仕事仲間の割合が瞬間瞬間で変化していくのが楽しい

内田:演劇をやっていて、好きな瞬間はいつですか?
古田:本番ですね。今まさに苦しんでいて、しんどいってなってるけど、本番が楽しくて、それまでがしんどかったことを忘れて、いつもその繰り返しです(笑)。
井上:僕は、役作りとかシーンとかどうしてもうまくいかない壁にぶちあたってそれを突破した時、自分の限界を超えた時ですね。
一同:(笑)。
こんにち: 僕は稽古で最初に脚本を読んでもらう時。
ユガミ:ぼくも本読みが好きですね!だいぶ楽しい。
こんちに:あ、そんな好きやったんや(笑)
ユガミ:まだ想像で自由にやっていいし、特になにも、こんちゃんから何も言われてないし
こんにち:あ、俺になんか言われる前が好きなのか(笑)。
ユガミ:(笑)。自由な状態で読む時が一番わくわくする。
:私は打ち上げかな。 本番も楽しいけど、感想を読みながら、みんなでヘラヘラお酒を飲んでるときが幸せ度が高いかな。
和久井:ぼくは初めてプロット版の台本とかが上がってきて、それを稽古で初めて読み合わせするタイミングとかそのあたりが好きですね。
瀬安:僕らは、大学の時から仲が良くて一緒にやってたし、その友達関係のまま今も一緒にやっていて、でもこっちにみんな集合して公演の規模も少しずつ大きくなっていく中で仕事仲間っていう感じも出てきて、今は、友達の割合と仕事仲間の割合が瞬間瞬間で変化していくのが楽しいなと思います。
こんにち:それは考えたことなかった。
瀬安:仕事仲間っていうとちょっとなんかちょっと冷たい印象になるかもしれないですけど、何ていうんですかね。打ち上げの時とかはもう100%友達の状態。でも例えば、「今回物量がまじやばい、どうする?」ってなった時とかは仕事仲間状態になったりする。そういうメリハリみたいな感じですかね。
こんにち:でもびっくりするくらいドライな雰囲気になるときあるよな。これ誰がやるってなった時、シーンってなってみんな下向いてたり(笑)。
一同:(笑)。
瀬安:そういう時もある(笑)。
TGW:僕は楽屋におるときが好きですね。楽屋でみんながご飯食べてる写真とかめっちゃとってます。
九條:わたしも本番が好き。
揺楽:台本を読んだ時にいつもめっちゃおもろいシーンが何個かあって、読んでるだけでおもろいんですけど、全員当て書きやから、そこに稽古重ねて、役にその人が乗った時に、ほんまもう爆発的におもろいって思える瞬間があって。そのときが一番演劇やってて楽しいです。

王子でとにかく面白い劇やりたい

内田:『(あたらしい)ジュラシックパーク』はどんな作品ですか?

こんにち:2020 年にやった第一回公演が『贋作ジュラシックパーク』っていう作品だったんですけど、最初はそれの再演をやろうとしてたんですよ。その時の作品を劇団員だけでやろうって思って企画を立ち上げたんですけど、なんか結局全然違うやつになりましたね。
これは僕の中のテーマなんですけど『地底探検』を超えるやつを頑張って作りたいって思ってます。多分みんなそうなんですけど、王子小劇場は僕らにとって、めっちゃプライオリティが高い劇場なんです。初めて大きい劇場で公演をやらせてもらって、見本市に出させてもらったり、『地底探検』で最優秀賞をいただいて、それがきっかけでいろんな人に知ってもらえて。それで今回演劇祭に呼んでもらえたので、王子でとにかく面白い劇やりたいっていう気持ちが強いですね。
ユガミ:王子小劇場はすごく思い入れある劇場だから、王子で南極ゴジラができる最大限、集大成、それよりもさらに踏み込んだようなそういうものをそういうの見せれると思います!
古田:ワンダフルなことがたくさん起こったり、ダンボールがたくさん出てきてキャラクターも全員魅力的で『地底探検』以上に私たちってこんな感じです!ってなる作品だと思います。
揺楽120分、ワクワクしっぱなしです。あと、めっちゃ体力使う!わたしたちがいっぱい動いて汗垂らしてるのを見てほしいです(笑)。
瀬安:客演さんを呼んでいろんな方と一緒にやるのも好きなんですけど、今回は劇団員十人で、なんていうか言い訳できないというか。南極ゴジラは、今から見せるこれ以上でもこれ以下でもなくて、これが今の南極ゴジラの全てです!っていう作品になりそうです。
こんにち:逃げ場なしですね。
九條:全然映画の『ジュラシック・パーク』を見てなくても大丈夫です!楽しめます。
ユガミ佐藤佐吉演劇祭のトリということで、勝手にみんなの想いを背負っていくつもりでやりたいと思います!ぜひ!是非刮目していただきたい!
瀬安:時代劇みたいになってる(笑)。
一同:(笑)。
内田:ありがとうございました!

撮影:笠峰新志

南極ゴジラの『(あたらしい)ジュラシックパーク』、完売回続きで見れなかった方も多いかもしれませんが、ビデオ版の配信が始まっています!劇団員の瀬安さんが撮影監督を担当し、映画のような臨場感が楽しめる作品となっています!始まりから終わりまで、全部が楽しく全員が愛おしい『(あたらしい)ジュラシックパーク』ぜひチェックしてみてください!
https://vimeo.com/ondemand/newjura

公演詳細

南極ゴジラ
2020年春に誕生した、9人+1台のゆかいな劇団。
普段は「どきどき、わくわく、ちょっとこわい」作品を製作しています。
インスタライブでの生配信、YouTubeを利用したラジオドラマ、写真家やバンドが舞台上で俳優とセッションしたり、即興での詩作をしたり、時には家を借りて毎日公演したり。「演劇」という枠を超えて、演劇に親しみのない10代20代も気軽に楽しめる、いま業界最注目の呼び声をいただいている新星劇団です。
2022年には、『南極ゴジラの地底検』において、2022年佐藤佐吉賞の「最優秀作品賞」「最優秀賞演出賞」など5部門での受賞をいただきました。ご好評につき、この作品は大阪や福島でも上演しております。
南極ゴジラの魅力は、作品はもちろんのこと、メンバー9人+1台がとってもチャーミングなところ。今回の劇も、出てくる子たちはみんな愛しい。どうか私たちをかわいがってね。

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品
南極ゴジラ『(あたらしい)ジュラシックパーク』
〇会場:王子小劇場
〇作・演出:こんにち博士
〇出演:端栞里、TGW-1996、こんにち博士、九條えり花、古田絵夢、瀬安勇志、ユガミノーマル、和久井千尋、井上耕輔、揺楽瑠香
〇詳細はこちら
https://nankyokugodzilla.com/new-jura.html(団体HP)
https://en-geki.com/sakichisai2024/nankyokugodzilla.html(演劇祭特設サイト)

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