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[TRPG]葬式の神シノーソグリス、己の終焉を見るシナリオフック

今日もクトゥルフ神話TRPGのシナリオフックを考えていく。ゲームマーケット秋にむけて夏ごろから最近までマレウス・モンストロルムを片っ端から読んでいた中で、よい神話生物を再発見出来た。
神話生物の特性がシナリオのギミック・ストーリーと一致するものを書きたいという気持ちが強いため、効果などが限定的かつ特徴的な神格を探している。
本日は葬式の神、シノーソグリスでシナリオフックを考える。

シノーソグリスの紹介

この神は対象とPOW対抗し、催眠状態に陥らせる。この神の影響下にいるものは自分自身の終焉の幻視、あるいは白昼夢を経験する。やがて、このグレート・オールド・ワンの訪問を受けて死を迎える。

マレウスモンストロルムp176

凄くシナリオに使いやすそうな神格だ。特に物語性の強い作品向けな気がする。荒廃した世界や、死者との対峙、終末世界など、エモーショナルなシチュエーションを演出するのに最適な神話生物だろう。私が、日常の延長で嫌な目に合うシナリオが好みなのもあり、この神話生物を見落としていたのかもしれない。

この神の影響は、白昼夢という形でも顕現させられるのが良い
例えば悪夢というのはクトゥルフシナリオで手っ取り早く己の状態異常や、起きている事を体験させられる常套手段だが、シナリオの経過時間が2日以上になってしまうのが難点だ。
シナリオ作者的考えだが、夢を見させるためだけに眠ることが必須だとシナリオ時間が無駄に長くなってしまう。
長編シナリオなら全然気にならないだろうが、2~4時間の規模間だと、1日で終わるような探索を夢のために2日かけるとテンポが悪くなる。そのため、昼間に幻覚を挟めるのは非常に良い。

シナリオフック

オカルト掲示板でこんな投稿があった。
「死を予言するトンネル」
家族旅行でI県のXXトンネルを車で走行中、深い霧に見舞われて一時的に車を端に止めて霧が晴れるのを待っていた。しばらくすると霧が晴れたが、窓から見える景色は先ほどまでのトンネルと異なる場所だった。
そこは高速道路だった。
目の前で、トラックが奥から逆走してきた。あっという間に、追い越し車線を走っている自家用車と衝突して煙をあげていた。
よく見ると、その自家用車は自分と全く同じものだった。ナンバープレートも同じだ。思わず車を降りて、恐る恐る潰れた車内をのぞき込む。そこには半身が潰れた家族と自分の死体が燃えていた。
はっと気が付くと、元のトンネルだった。
そして山を越えた後、まさに高速道路に向かうところだったのだ。自分と家族は皆同じ幻覚を見たらしい。怖くなって引き返す事にした。
家に帰ってニュースで某高速道路で逆走したトラックの事故を聞いた。
もし、あの時進んでいたら、死亡者として自分の名前が報道されていたのだろう。
探索者は面白半分でこのトンネルの調査に向かう。
しかし、そこで深い霧に遭遇して…。

シナリオの要素・展開

シノーソグリスの”自分の終焉を見る”という部分をクローズアップし、オカルト系の都市伝説とした。あたかも死を回避できる有難いオカルトスポットとして噂が広まっており、探索者はこの現象の調査に向かう。時は同じく、オカルト系配信者もトンネルに居合わせるだろう。
探索者たちは霧に遭遇し自分の死の瞬間を見ることになるが、そこでは不可解で回避のしようがないものが映し出される。
一緒に居たオカルト系配信者は取れ高を喜び編集するために自宅へ帰ってしまう。探索者も怪訝な気持ちのまま帰路につくだろう。
数日後、その配信者が死亡したと知る。
探索者はあの時霧の中で見た景色をたよりに、あの霧の正体に迫っていく。

シノーソグリスで終末世界を作り、そこに迷い込んだ探索者というテーマで、がっつりと独自世界観を作る事も出来るが、あえて”いち都市伝説”としてこの神格を贅沢に使うのもいいだろう。

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