それでも現代社会は回り続ける

「働かなくても社会は回る」という主張は、一見すると現実とかけ離れているように思えるかもしれない。でも、技術が進化し、社会のあり方が変わっていく中で、すべての人が従来通りに働く必要があるわけではないという考えも成り立つ。まず、今の社会では技術の進歩によって、労働の自動化が急速に進んでいる。工場や物流、サービス業では、ロボットやAIが人間の仕事を代わりにやるようになってきた。例えば、製造業では自動化された機械が製品を作り、配送業では無人のドローンが荷物を運ぶ。こうした技術の進化は、働かなくても多くの業務がこなされる未来を想像させる。さらに、経済の仕組みや社会保障制度も変わってきている。ベーシックインカムという考え方がある。これは、働かなくても最低限の生活費を政府から支給されるというものだ。この仕組みが整えば、人々は無理に仕事をしなくても、生きていけるようになるかもしれない。AIやロボットが効率よく生産活動を行い、その成果が国民全体に分配されることで、社会は回り続けるというわけだ。もちろん、こうした未来には課題もある。技術の進化で職を失う人や、所得格差が広がる問題は避けて通れないだろう。また、働くことが人間にとって単なる生活の手段ではなく、社会とのつながりや自己実現の場でもあることを考えると、労働の意義をどう捉えるかも大きな問題だ。しかし、技術や経済の変化によって、働くことが絶対ではない時代が来る可能性は十分にある。その時、社会のあり方や働くことの意味について、改めて考える必要があるだろう。