簡単なお仕事(ビズ)

　所沢でモンモン背負ったおじさんのお宅訪問するおビズもあれば、大トキオのビッグハンド町のおビルの高層階でヤるおビズもある訳さ。元請け様がぉっょぃので仕事の委細を語るとヤバいのだが、まぁちょっと話を聞けや。

　昨日からの作業はアレしてコレして遅れてた部分の作業潰しな訳だけど、鉄工所と木工所が頑張ったアレの上にみんなが良く見るアレを乗せて通線するわけさ。何のことはない、アレとかソレを3本ほど繋ぐだけの気楽なおビズさ。決まったサイズの決まった物を決まった形にするだけさ。偶に決まった形になってないまま納品されたスカタンアイテムがあって閉口している訳だが、それは現地修正。作業はその分遅延する。

そこでステンレスの刃が俺に牙を剥いたのであるが。

　丁寧に処理された外側とは異なり、内側は鉄工所が慌てて？溶接したもんだから「角の面取り」されてなくて、実際エッジがメタクソ鋭利である。それが規格通りに組み上げられているもんだから同じ箇所に同じ様に線が詰まり、同じ様に指突っ込んで引き出す訳さ。するとどうなるかと言うと、

指の同じ所に同じ様に傷が付く。

1回目は薄皮一枚裂けただけだが、2回目は流石に肉に達した。血を付けて納品する訳にも行かないので指を舐め舐め小宇宙(コスモ)を燃え立たせてアドレナリンで止血だわ。くそう、雑な仕事しやがって！　で、三度同じ所を綺麗に切った辺りで逆に感服した。無駄に良い仕事してやがる、雑だけど。雑だけど！(こういう作業員の事まで気にして物を作る人は少ない。日本人でも少ない！)

　委細は明かせぬが、『運命に導かれて』その作業はおじさんがチマチマやる羽目になったのだが、俺の右手があちこち裂けて、アルコール消毒時にメタクソ染みる。オマケに「あちら」も慌てて作業したらしく家具やら床やら盛大に傷付けまくっており、作業開始前に傷の写真撮って報告しないと指の傷だけではなく床の傷や家具の傷までこちらのせいにされて、俺の大切な職人魂にまで傷が付く。オウシット。なんて現場だ！

　急ぎ仕事はろくな事がない。

エレベー……この辺書くと特定されるから書けないが、一度壊れた進行は二度とは元に戻らんのだ。しかし納期を変える訳にも行かず、今は各人がインド人の様に「私以外の誰かが悪かった」と責任のドッヂボールをしている段階。そらあんた、月曜日までに終わってる筈の仕事が木曜段階で終わってないんだからこっちの仕事も終わらんがな。前段階の仕事が終わってないのに何で職人撤収させたの？　馬鹿なの？(よくあるふうけい)

　目下の懸念は「高層階だから地震の時超ゆらゆらする筈なのに、対策が一切ナッシングな辺り」である。少なくとも一昨日には「知らんぞ、対策せずに納品して事故や怪我が出ても俺らは知らんぞ」と報告したのだがへんじがない、ただのしかばねのようだ。多分キャパオーバーで何も指示出せないんだろうなぁ。僕たち土曜日で契約期間満了だよ？　火曜日に指示出しても次のおビズがあるから何もできないよ？

　本当に細かな、ほんっとーに細かな部分の累積が仕事の質を下げるである。大手1社が「全てを統括すると」良くあるシーン。仕事を統括しきれずに不備が彼方此方から噴出して、時間や金やマンパワーがドバドバ流出するのに気合や根性でどうにかなると思っていやがる。30年昔なら「社員が残業して」なんとかなったさ。しかし今は彼方此方から傭兵集めて作業させてんだからサビ残なんてのは無理なのよ、無理無理よ。いい加減仕事の仕方アップデートしようぜ……大昔のザル管理で扇子を左右に動かすだけで仕事が終わったのは遠い昔の幻影だ。
　先週の茅場町の「上」は作業員の顔から作業内容から進展まで把握してた(つまり、何処がいい仕事して誰が手を抜いたかまでしっかり把握し、工程進行に対して正しい評価をしている。多人数扱う時本当に必要なスキルというか、マネジメントってこう言う事である) 凄く良い仕事してるなと名前控えて、次回同じ「上」の別現場でも頑張ろうかと思う。あっちはパフォーマンス出すと早く帰れたり休憩しっかり取れるもんな。

　遠く彼方に富士を見て、足下に宮城、視線の先に国会議事堂やスカイツリー。正に絶景でありこんなとこでおじさんらが納品してるブツを眺める人いるんかなー？とか思いつつ今日も作業は続く。

　作業の進展だけが、見えない。