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原発廃止の朗報

4月15日、ドイツ国内の最後の原子力発電所3基が稼働を終えた。朗報である。国際エネルギー機関(IAEA)の試算では、既存の原発を長期稼働させれば廃棄コストを含めてもガス火力や石炭火力よりも安いという。だが、安全性と計りにかければ、廃止は当然の帰結である。

2000年ころだったと思う。ドイツで、ドン・キホーテが挑んだ風車の超親分的な風車をもった風力発電所の建設がすすめられた。巨大な羽根車、柱の上でそれを支え、回転を増速機に伝え発電機を回す。その部品に大きな産業需要が生じた。

日本ではほとんど見かけなかった。風の具合がドイツとは違うけれど、火力発電に比べてコストが高かったので競争力がなかった。ドイツは風力発電に補助金をだしていた。日本の太陽光発電への補助金みたいなものである。理由は、原発からの転換促進だった。

メルケルさんは電力供給の安定面から原発の稼働延長を認めていたが、フクシマの惨事で脱原発にカジを切った。今回のウクライナ危機でロシアからのガス供給がストップし、ショルツさんもこの4月15日まで稼働延長を認めたが、期限がきて、停止した。

放射性廃棄物の長期間にわたる貯蔵と処分の難しさはIAEAのいう安定的な電源のメリットより重いというのがドイツの考え方だ。しかも事故のリスクを加味すればその判断は動かない。

もうひとつの理由がある。原発にウラン濃縮は欠かせない。世界の原発稼働能力の半分近くの濃縮ウランはロシアが占めている(ロスアトム、46%)。ガスに続いて濃縮ウランまで、まだロシア依存に頼ろうとするのか。

日本は原発の稼働延長を打ち出した。しかも次世代の小型炉を開発中という。ドイツの原発廃止とロシアリスクとは真逆の方向だ。