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東京遊覧飛行

九州に行った。熊本だ。出張が多く沖縄以外、ほとんどの道府県を覗いたことがある。熊本もまた例外じゃない。でも他に比べて、わくわく感が大きい。阿蘇山を上から見るのが楽しみだったから。

「だった」というのは、めったに見られないからだ。天候のせいじゃない。出張時は夜の移動が多く、窓外は暗いから、通路側の席をいつも指定していた。今回は、「旅行」なのだ。行きも帰りも窓側を指定した。

「だった」の過去形を、「だ」の完了形に変えることができなかった。

行きは羽田17時55分発、快晴。着く頃は暗いだろうから、阿蘇山はあきらめるにしても、富士山とアルプスの夕景は楽しめるだろう。1時間ほど前に空港に着き、ラウンジで一杯やりながら、時を待った。

ANAの席は6K窓側、進行方向右。シートベルトをつけてメールチェックをしてから、機内モードにして写真の準備は万端だった。までは、覚えている。ガタンと車輪が着地して目が覚めた。熊本空港だった。

返りの熊本空港。搭乗口付近にお土産物店がならび、フードコートが出来ていた。1時間ほど、馬刺し盛り合わせを注文し、ワインコーナーで地元日本酒を出してもらい、ゆっくりと熊本を堪能した。14:55発のソラシドエア、座席は25A、進行方向左窓側、今回もぬかりはない。

で、目覚めたのは千葉館山上空だった。羽田じゃなくてよかった。

木更津から羽田空港に向かうものだと思ったら方向がちがう。風向き加減で千葉港からTDL上空、羽田コースかと思いきや、もっと大外回りだった。空港が混んでいるとのアナウンスがあった。

東京遊覧飛行だ。成田の手前から西へ。スカイツリーが見え、遠くの東京タワーとツーショット。上野から丸の内、皇居、赤坂御苑を見下ろしながら、レインボーブリッジ、京浜島から羽田着陸。

子どもの頃、NHKの番組で、黒柳徹子さんがゲストの子どもと魔法のじゅうたんに乗って遊覧飛行をするというのがあった。東京タワーしか見覚えがないが、合成画面での空から遊覧だった。それを思い出しながらの、ジェット機による東京遊覧飛行。羽田が混雑するのも悪くはない。