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傭兵

ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者プリゴジン氏が吠える映像を見た。ウクライナ・バフムトの最前線で、弾薬補給が不足していることによる部隊撤退を示唆した。迫力ある強面の顔、彼の本意はわからないがロシア政府に文句を言っているのは伝わる。

傭兵は金で雇われた軍隊、もしくは兵士だ。

彼の顔を映像で見て連想したことがふたつ。フクシマ第一原発事故時の故吉田昌郎所長と最近の終身雇用の脱却の動きだ。

吉田さんは東京電力の社員で、事故現場の最前線にいた。遠く東京本社からの幹部の指示、ひいては、当時の菅直人首相までが「ベントしろ」と横やりを入れる。口だけで具体的な支援部隊、物資は届かない。吉田さんは現場の窮状を訴え、本部の指示を無視して現場判断で海水の注入を継続した。しかし、「職場放棄」は微塵も見せなかった。彼は傭兵ではない。

終身雇用を見直し、中途採用を増やし、「人」の流動化を進める。時間より成果だ、ジョブ型の評価制度を導入する。悪いことじゃない。しかし、職場が若手を育てる日本的人材育成が揺らぎ、「会社」への忠誠が薄れる。ジョブごとの採用と、それが済めば解雇という事態も起こりかねない。そう、傭兵だ。

仕事は出来る。任せられる。だが、形勢が不利になったり、上司と対立したりしたとき、「オレは辞める」とプリゴジン氏のように「吠える」映像が送られてくることを経営者は心に留め置かなければならない。