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あんこのこ

「あん」と「あんこ」はちがうのでしょうか。漢字で書くと、餡と餡子。手元にある辞書をひいてみると、意味は同じ。でも、うしろに「こ」がついている。この「こ」は何? なんで「こ」がつくの? チコちゃんに叱られそうです。

辞書によると、
・あん(餡):①アズキなどを煮てつぶし、砂糖を加えた食品。あんこ。②野菜・果物を煮て、①のようにしたもの。③くずを溶かした汁、とろりとさせる。
・あんこ(餡こ):あん<俗に、何かの中に詰めるものをもさす>

「あん」は「あんこ」。

「こ」をひいてみた。
・こ:(接尾語)①どろんこ(状態をあらわす)②⇒っこ
・こ(子):①子ども(生まれた人)②女の子(まだ一人前じゃない人、もの)③竹の子(元からわかれて生じたもの)④(接尾語)花子(名前)、振り子⑤⇒っこ
・っこ:(接尾語)教えっこ、にらめっこ、売れっ子、ちびっ子

「こ」は「っこ(接尾語)」と同じ使いかたのようです。とすると、
ゆきんこ、どじょっこ・ふなっこ、あんこ、かわいい感じの表現になります。そう、愛でるという思いが伝わってきます。甘くて、やわらかくて、美味しい「あん」。食べると口の中にひろがる満足感、もうひとつほしい。練りあん、つぶあん、小倉あん、大好きなあんだから「あんこ」。

話がかわりますが、南部鉄瓶のつくり方を知ってますか? 高熱で溶かした鉄を砂でできた鋳型に流し込みます。この鋳型には、ふたつの部分があって、ひとつは外側のイボイボのついた面と注ぎ口の形をしたもの。もうひとつは、内側の湯をいれる丸いところと注ぎ口の形をしたものです。この二つの型を組み合わせると、鉄瓶の形をした空間ができ、ここに鉄を流し込みます。

このふたつの型には名前があって、外側の型を「おもがた(主型もしくは母型)」といい、内側のものを「なかご(中子)」といいます。名のとおり、母親のお腹の中に子どもがいるようなイメージです。「うさぎや」のどらやき。あたたかくて、ふわふわで、やわらかい外側の皮と中のあん。そう、皮の「母」につつまれた中の「あん」は「子」だから「あんこ」。どらやきは、「母」と「子」。

あんこの「こ」は、愛でる接尾語の「こ」、子どもの「こ」、どちらでしょうか。チコちゃんが知っているから聞いてみましょう。