やせれません その6 コカ・コーラ

  コカ・コーラというとあの独特の形をしたガラス瓶、いわゆるコークボトルというのがまず頭に浮かぶ。
 アメリカの古い映画などを観てると、ロックな若者があれをかっこよく飲んでいるシーンが出てくる。
 日本でも、むかしボウリングが流行った頃などベンチの横にはコカコーラを置いておく穴というか窪みが作ってあって、投球の合間に飲んでいるシーンをよく見た気がする。めっちゃ子供の頃だけど。
 スカッと爽やかコカコーラ。コマーシャルでは爽やかな若者が爽やかなシチュエーションで爽やかに飲んでいて、歴代の名だたるミュージシャンが担当する音楽もいつもとても爽やかだ。
 もう十年も前になるけど、フィジーからニューカレドニアまで知人のヨットに乗せてもらって航海したことがある。
 南太平洋の大海原を約千キロ、一週間の行程だった。出港前の買い出しでコーラを買おうと思っていて、つい忘れてしまった。ヨットがナンディのリーフを離れてしばらくした頃、それに気がついた。
 アフターフェスティバルというやつだ。
 以来一週間、コカコーラを飲む夢を見続けた。それまで特にそんなにコーラが好きというわけでもなかったのに。
 一週間後、ニューカレドニアのモーゼル港に着いて、すぐに港のパブに行ってコーラを飲んだ。これまでの生涯で一番おいしいコーラだったと思う。以来、無類のコーラ好きになってしまった。
 よく言われるけどコーラというやつはものすごく糖分が多いらしい。コップ一杯のコーラの横に六つほどの角砂糖が積んである写真をたまに見る。
 まあ、お茶碗一杯のご飯の横にもよく角砂糖が積んであるので、あれはきっと反砂糖原理主義の人たちのプロパガンダだろうけど、コーラをたくさん飲むと太るというのは間違いではないような気もする。
 ロサンゼルスの友達を訪ねたときに、本場のマクドナルドに入ったことがある。ハンバーガーのサイズは噂に聞いていたほどではなかったけど、飲み物のカップの大きさには驚いた。小ぶりなバケツくらいある。しかもそれがおかわり自由。いや、おかわり自由やったら入れ物を大きくする必要は無いやん、と思うのはきっと素人の浅はかさなのだろう。
 そこにはサイズに対する何らかのスピリットが絡んでいるのに違いない。さすがアメリカ人だ。
 しかし、感心しつつ一つの疑問が湧いてきた。コークボトルって、確か容量は190ccやったよなあ。むかしはアメリカ人もあのサイズでちょうどいいと思ってたんとちゃうんかなあ。だとしたらいまのアメリカ人はあの瓶を見てどう思うんかなあ。もしかしたら「ヤクルト」的な?
 まあそういう感じでコカ・コーラが大好きなぼくはやっぱりやせれません。

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