老舗お菓子店の筆文字ロゴまとめ(其の参)
前回、前々回と有名飲食チェーン店の筆文字ロゴを見てきました。
手書き筆文字、というのは日常においては極めて稀有な存在となってしまいましたが、お店の看板や商品ロゴにおいてはまだまだ健在!取り上げきれないほど沢山あります。
今回は、老舗お菓子店についてまとめてみます。
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赤福
言わずと知れた伊勢の名物「赤福」。筆者は愛知県豊橋市あたりの出身ですが、豊橋駅にもずらっと赤福のピンクの箱は積まれていたため、長らく豊橋名産と勘違いしていました。
赤文字でどっしり書かれた「赤福」。「ほまれの」と先に書いてあったことには今の今まで気がつかなかったほど「赤福」の筆文字ロゴが印象的です。
桔梗信玄餅
きなこと黒蜜、甘い餅・・お土産にこれをもらうと思わずにんまりしてしまうのではないでしょうか。
「桔梗信玄餅」は昭和43(1968)年に誕生、50年以上の歴史あるもの。この筆文字ロゴもその頃の書家が丹精込めて実直に書かれたものと伺えます。
とらや
羊羹で有名なとらやですが、その創業はなんと室町時代・・・!破格の老舗和菓子店です。
このひらがなロゴがいつ書かれたものかは分かりませんが、どっしりと肉厚な筆文字ひらがなは老舗の威厳を感じさせます。
海外進出も行っているとらやでは、新たに「TORAYA」のアルファベット版のロゴもあり、それはより洗練されたタイポグラフィです。
文明堂
カステラやどら焼きで有名な「文明堂」。
筆文字ロゴは書道をやっていない人には読むことも難しいと思われる草書体です。明治三十三(1900)年当時はこのような草書体も一般的に読めたのかもしれませんが、現代ではほとんどの人が解読不能。そんなわけで文明堂のロゴは刷新され、現在では明朝体風のタイポグラフィーとアルファベットの「BUNMEIDO」も追記されるようになりました。
阿闍梨餅本舗 満月
京都土産の定番「阿闍梨餅」。創業は江戸末期、阿闍梨餅は大正11(1922)年に誕生したそう。
「満月」の「満」は旧字体ですが、これも現代では読めない人も多いかもしれません。でも、店の名前よりも「阿闍梨餅」の名前の方が有名なのでそれが読めれば問題ないのかも?
「阿闍梨餅本舗」も「満月」も隷書体で書かれています。
大須ういろ
全国区で有名かと思いきや案外そうでもない・・?「大須ういろ」。ういろうは米粉を使ったもちっとしたすあまのようなお菓子です。
ロゴの筆文字は良い意味でかなり脱力系。衒いがなく、丸みがあって、ういろうの優しい甘さを象徴しているかのようです。ちなみに大須には観光名所でもある大きな商店街があり、その提灯もロゴに描かれています。
新宿中村屋
どら焼き、羊羹などの和菓子から中華まん、レトルトカレー、そしてレストラン事業等手広く手掛ける新宿中村屋。
今回取り上げた中では唯一書き手が分かっているロゴ。中村不折(なかむらふせつ1866-1943年)という人によって書かれました。※中村不折と中村屋の「中村」は血縁とかではなく偶然同じ。
中村不折は独特な書風を打ち立て、書道博物館を設立するなど日本の書道に大きく貢献しました。このロゴも不折ならではのピリリとした骨のある線で味わい深く書かれています。
古くから使っているロゴを使い続けるお店もあれば、時代に合わせて刷新するお店もあります。筆文字に限らず、もちろんタイポグラフィーだって唯一無二のものを作れるし、その商品やお店の印象を司ることができます。
でも、筆文字好きの筆者としては、筆文字ロゴがこの後も100年も200年もずっと残ってくれると良いと思います。
もっと言えば、これから生まれる商品や会社のロゴが筆文字で書かれ、今回取り上げた有名お菓子のように、筆文字ロゴを見ればそのお菓子の味が思い出されるような新商品が出てくると良いな!なんて思います。
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