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#69『嘘つき男と泣き虫女』アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ

 ☆#59『話を聞かない男、地図が読めない女』の続編。今回もまた大笑いしながら読んだ。こんなに笑わせてくれる本、有難い。読めば納得の男女の違いが次々と語られる。自分の過去を振り返ると、「ああ、あれも、そしてあれも…」と腑に落ちることや、失笑を禁じ得ないことばかり。
 この本から得られる教訓は、男女は互いに別の生物だと思った方が良い、という所だろうか。人は犬に対して人並みの行動も理解も能力も求めないが、人には求める。しかし実際には異性はどうも同じ生き物ではないようだ。それを、同じ生き物じゃないか、話は通じるはず、と誤解する所から悲劇が始まる。私自身、女性の扱い方を全然分かっていなかったと認めざるを得ない。姉が三人もいる家に生まれたのに、である。
 男女の思考回路に違いがある以上、笑いのツボにも違いがある。

 男が好むのは論理的な段階をきちんと踏んでいるのに最後に予測もつかないオチがつくジョークだ。

 売春婦とあばずれの違いは?
 売春婦は誰とでも寝る。
 あばずれは俺以外となら誰とでも寝る。-72

 私は、大笑いした。しかし女性の方は全然違ったものになる。

セックスが終わった後、男にどんな言葉をかければいい?
何を言っても平気ーどうせ寝てるから。-73

 何も面白いと感じない…。しかし思い返すと、洋画なんかで女性同士がよくこんな会話をして二人で笑い転げている、というシーンが確かに記憶にある。あの場に自分がいたとすると「ああ、はっは」くらいの笑いしか出ないであろうことが分かる。別に困惑する訳でもなければ、不快になる訳でもなく、ただ女性諸君が面白がるほど面白味を感じない、というだけのことなのだが。
 うーむ、違うものだな、と改めて感じた。
 
 違うと言えば前著☆#59『話を聞かない男、地図が読めない女』のものだがこういう絵がある。

 これを男は(というか男的な脳は)こう見るが、女(女的な脳)はこう見る…
 さあ、あなたには何に見える?
 私には**に見えた。しかしもう一つの見え方があるとのことなので、色々脳味噌の中の電気的配置を変えては見てみた。すると、**に見えるではないか。
 なるほど、これが本当の意味で相手の身に置き換えて考えるということなのかと勉強になった。頭で、知識で、分かるのではなく、その「見え方」に自分を染め切ってみる。私の場合は、なのだが、この絵を**に見えるようになるためには、一種の瞑想時に近い脳の状態にする必要があった。
 相手の身になって感じて考えるということは、やはりまずは頭を冷やし、共感しようと努めないことには無理なんだなと感じた。逆に言うと、そうすれば相手の気持ちが分かるのかもしれないね。本当の意味で。

 総評。前著同様、面白おかしく示唆に富んだ、実用性の極めて高い沢山の情報が盛り込まれた良書である。とは言え、前著にインパクトや密度で及ばない感は否めない。男女問題は確かに複雑である、しかし一冊で足りる程度には単純である、ということを示している。


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