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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2022年5月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第197話

「きっと誰にでも懐くから、どんな環境にも適応できるわ。不器用で、お手伝いはあまりできない…

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水深800メートルのシューベルト|第196話

 お婆さんは驚いた顔をして振り返り、ママは投げ遣りになって怒っていたのに、急に幸運が舞い…

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水深800メートルのシューベルト|第195話

 しばらく、二人とも黙ったままで、立ち尽くしていた。長い静かな時間のあと、お婆さんは悲し…

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水深800メートルのシューベルト|第194話

「可愛い? 子どもはそりゃ可愛いわよ。でもそれだけじゃ生きていけないし、幸せになれないの…

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水深800メートルのシューベルト|第193話

「こんなになるまで働いても、生活は楽にならない。頭の中はいつも家賃や車のローンの支払いで…

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水深800メートルのシューベルト|第192話

「この時期の子どもは、母親の愛情が必要なんじゃないかしら? 母親と子供の結びつきは愛着形…

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水深800メートルのシューベルト|第191話

「あの人が、そう言ってくれたの。アシェルにかかるお金は惜しまないって。でも、あの人……、アシェルのような子どもと一緒に暮らすのは自信がないって……。しばらくは私と二人の生活を楽しみたいとも……」  ママは言いにくそうな話し方をしていた。 「アシェルのような子? あの子はいい子ですよ」 「そういう意味じゃなくて……。アシェルはとても聞き分けのいい子です。でも、コリーニは子どもを持ったことがないんですよ。自信がないのは当然だと思いません?」 「あなたは母親なのよ」  オリビア

水深800メートルのシューベルト|第190話

僕は何も言わずに冷蔵庫からグリーンのボトルを取り出すと、それをコップになみなみと注いだ。…

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水深800メートルのシューベルト|第189話

「いや、いくらなんでも。それじゃアシェル君が……」  僕に気づかず背中を見せているオリビ…

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水深800メートルのシューベルト|第188話

 お婆さんは、少し涙ぐんでいた。きっとサイモン君のことを思いだしているのだと思った。  …

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水深800メートルのシューベルト|第187話

 そう言うと、(オリビアさんは)ブランケットを手で引っ張り上げるようにして、ため息をつい…

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水深800メートルのシューベルト|第186話

「神様って、通夜の時に教会にいた十字架の人?」(僕はオリビアさんに尋ねた) 「そうよ。神様…

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水深800メートルのシューベルト|第185話

 この日もオリビアさんは食事を済ませると、長いソファの上に横になっていた。 「お婆ちゃん…

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水深800メートルのシューベルト|第184話

「坊や、遅くなっちゃった」  日がすっかり顔を出してから、オリビアさんは細長い荷物を抱えて嬉しそうな顔をした。 「いいことあったの?」 「アシェルにお土産あるのよ。お店が開くのを待っていたの、後で開けましょ」  オリビアさんは昨日の子守歌を鼻歌で歌っていた。 「それと、いいお知らせよ。アシェルのママがもうすぐ会いに来るって」 「本当? いつ頃?」 「夕方よ。夜中に電話があったの。だから、帰ることになったらあのお土産はプレゼントするわ」  僕はコーンフレークを掬っているオリ