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Blenderで響け!ユーフォニアムの背景をフル3Dで作った振り返り

5月12日~7月17日まで制作していました。1日1~3時間制作してたと思うので120時間くらいの作品になると思います。

7310ポリゴン(笑)

まぁ背景よりその他の方が圧倒的に時間かかっちゃったんですが。背景練習、とは(´・ω・`)

35万ポリゴン

MicroCephでストレージ組み始めたりCodeWhisperar試し始めたりFlutterでゲーム制作の検証始めたりして制作の時間がだいぶ減ってしまいました……

今回は久々に映像を目標に

前回耳をすませばの背景を作っていて「キャラの視線誘導ありきの背景のはしょり方」みたいなのがあって、やっぱりキャラも含めて映像だよねって思うに至りました。

もともとゲーム屋ってのもあって、全方向から見て破綻がないのがいい絵みたいな思い込みがありましたが、映像(固定視点)ではわりと頻繁に視線誘導って言葉がでてくるので、ちょっと考え方改めないとなぁ、と。

一部分の要素(要はキャラばっかりとか)作ってても、全体を作る力は上がらない。結局

全体を作る力は全体を作ることでしか上がらない

ということです。

今回は背景が簡単なこともあってちゃんと映像として完成させようとなりました。ただしやはり背景練習の一環なのでキャラには手を入れないという縛りは付けました。


今回のチャレンジ

  • Pencil+マテリアルを使ってみる

  • VRoidStudioを使ってみる

  • 目や口をモデリングしない

Pencil+とVRoidStudioはコストカット目的、目や口についてはクオリティ目的ですね。

前にモブをVRoidStudioで済ませよう計画があったのですが、VRM0の頃はBlenderに取り込んだらまともに動かすのが辛すぎてダメでした。VRM1になってだいぶ動かしやすくなったので、今回制作に導入してみました。

リグが大変だったのでアドオンを作ってギリ使えるかなって感じでした。髪の毛はちょっとやっかい。

Pencil+マテリアルはPencil+forBlenderを持ってたら無料で使えるよっていうので使ってみました。無料、ステキやん(*´ω`*)

思ってたより使いやすく自家製マテリアルに戻すのもたやすい感じ(ベンダーロックインを嫌っているので……)なので、時短目的で使って行くのはアリかなって思いました。

基本設定

やっぱり映像だとCyclesのレンダリング時間はしんどくての(´・ω:;.:...
今回はEeveeでやりました。

1280x720で作っていたのですが、斜めに傾けると切れちゃったので最終的にCamerOverscanアドオン(標準アドオン)を使って1920x1080まで広げています。

今回は小物から

いっつも版権物使っての練習なので堂々と配布できないのですが、今回ホルンは配布してもいいかなって(一応意匠権とかいろいろあるので調べたら20年以上前販売のホルンでいろいろ期限も切れてるし、まぁ大丈夫だろうと)

管の部分はCurveで

管の部分はCurveで作りました。

管以外はポリゴンモデリング

それ以外は普通にモデリングしています。

テクスチャはInstaMATで

テクスチャは今回もInstaMAT。もうコレが無いと生きていけない……といいつつSubstanceがCompleteに入ったらた戻っちゃうかも知れない。でも入る予定はないっぽいからやっぱりInstaMAT万歳。

InstaMATでNormalテクスチャ出力

凸凹をInstaMATテクスチャのNormalMapでやりたかったのですが、Normal出力の仕方が分からずにちょっと苦戦しました。

ファイル名をテンプレート使うようにしたらExportもだいぶ楽になりました☺️

今回遠目からしか見ないし、NormalMapで十分な品質が得られたかと思います。

背景を設定する

金属製品は見える色が反射メインになるので背景次第で大きく見栄えが変わります。

実際に使用するときも、金属製品だけ別のシーンにして期待した色がでる環境テクスチャを貼ってレンダリングします。

Pencil+マテリアルを使う

通常のPBRだと綺麗に見えるのですが、アニメに使うと綺麗すぎるのでNPRマテリアルに変更して色を落とします。

今回は冒頭で述べたとおりPencil+マテリアルを使ってみることにしました。

CMがFilmicになってた_(:3」∠)_

最終的にはこんな感じになりました。

続いてキャラクタ

当たり前だが、VRMにリグはない!

今回キャラクタは主役じゃないので徹底的に手を抜く!というのが基本方針です。

VRoidStudioでVRMを出して……うん、ボーンが全部FKだ😇
ちゃうねん、キャラクタは手を抜きたいねん😢

普段AutoRigProを使っているのでこれでVRM扱えたら便利よね、って思ってVRMをAutoRigProで扱えるようにするアドオンを作ることにしました。

プログラマ基本方針、手を抜くために手を込める_(:3」∠)_

勢い余ってAutoRigProだけでなくRigifyでもVRMを扱えるようにしておきました。

とりあえず岸部さんを作ろう

センター左側岸部さんから作成を開始しました。作ったばかりのアドオンで普通に動かせるのいい感じですね☺️

Blenderで制服に着せ替え。

マテリアルはこちらもPencil+マテリアルを使いました。設定・調整はしやすいと思います。

VRoidStudioで出力された服からウェイトを移してみたら全然ダメだったので、普通にAutoRigProのバインドでウェイトを設定し直しました。

今回はテクスチャを使わずポリゴンを割って色を付けました。絶対にキャラは手を抜くでゴザル!

エリとか袖とかスカートの下の方とかの線は、全部ポリゴン分割でのマテリアル替えで色を変えています。

目でAO問題発生

VRoidStudioのモデルは顔付きですが私は顔は手書きの方向で進めることにしたわけです。で、今回お試しでキャラの目や口のポリゴンを削除してみることにしました。

すると、目のあった部分のくぼみに陰が/(^o^)\

結局今回はモブだからいいやってAOを止めることで解決しました。

じゃぁ主役級のキャラの場合どうするつもりかっていうと、そもそも目をモデリングせず真っ平らにする予定なので、AO問題は発生しないことになります。

どうしてもVRMを使いたいし目は削って手書きしたい、そんなニッチな需要があるときは、目の部分を削ってフラットにモデリングし直すのがよさそうです。

一人目終了

残りのキャラを一気に

VRoidStudioでガンガン制作

VRoidStudioで一人目のモデルをベースに髪の毛をそれっぽい物に変更して残りのキャラクタを作ります。

髪の毛以外はみんな同じなので、髪の毛以外の素体用.blendファイルを作り、各キャラは素体用.blendをLinkで取り込んでVRMから髪の毛だけ取り込みます。後は背丈の調整(Armatureとモデルをスケール)とリボンのマテリアルをオーバーライドしたくらい。

森本さんだけは太ましさがあるので、素体の段階で体を膨らますGeometryNodesを追加して、キャラ側でパラメータ調整をしています。

ひと流れ作った後は早いです。5,6時間くらいで終わりました、これはスバラシイ時短ですね☺️

加橋先輩忘れてた

加橋先輩を忘れてたのですが、思ったよりキツイ……

律儀に曲げなくても手前のスカートで腰のスカートが見えないんだから、いっそ下からブッ刺せばいいんじゃまいか、と思って曲げるのを止めてみました。

これで十分でしたね……

背景制作開始

ようやく本題、今年は背景練習の年なのです。なのですが、

構造物が少ない😇

わずか5日10時間ちょいで終了。

背景だけに

そんな中でも工夫点

工夫点というか、見た目で合わせる場合こういったフレームはポリゴンでつくるよりCurveで作った方が調整は簡単よねって。

地面マテリアルから仕上げていく

形状はたいしたことないのですが、そのぶんマテリアルで情報量を増やさねばなりません。でもマテリアルの情報量を増やしすぎるとCGっぽくなっちゃうので、CGっぽくせずに情報量を増やすというメンドクサイ舵取りが必要になります。

とりあえず地面から作りました。Pencil+マテリアルは未使用です。

途中でディティールを甘くしたのが効いています。ディティールを甘くすると単色っぽくなるのを、うねりとしていれた陰影で回避しています。

最後に入れたハイライトはキツクすると綺麗に見えますが、CGっぽさが爆発する(テカらさない!)ので、くすんでちょっと物足りないくらいでいいと思います。

3Dのアニメ背景はテカらしたい誘惑との戦いも結構あると思います。そういう視点でTVアニメを見ていると、あーテカらしちゃったかー(ノ∀`) みたいな背景が浮いたシーンをちょくちょく見つけることができます。

キャラがデジ絵になって色空間がCG側に寄ったとはいえ、やっぱりCGとは色の隔たりが大きいと思います。

壁のマテリアル

地面でPencil+マテリアルを使うのを忘れてて、壁はちゃんと使おうと。

でも結局ほぼPencil+マテリアルを使っている意味が無いような使い方に😇

イミネー/(^o^)\

壁のAO問題

絵ではAOの範囲とか自由自在ですが、CGだとそうはいきません。

一部を強くしたら全体が強くなったり、そもそもAOは強くしにくかったり。

AOの計算をしないAOを用意すればいい、ということになりますが……
つまり手書きやがな(´・ω・`)

結局頂点ペイントで手書きでAOを描き加えました。

カーテン

これ魔女宅の制作でやったばかりのとこだ☺️

ノイズを立てに引き延ばしたテクスチャをポリゴンに貼ってキューっと縮めるだけのやつですね。

コンタクトシャドウを付けてたらフレームの陰が2重になっちゃって、しかたないからシーン分離しました。

被写界深度追加

あれだけ苦労した壁のシミが丸っと消えた!/(^o^)\

もうちょっとラフ目にして陰影を強く出さないと消えちゃいますね……

これでメインの背景制作はおしまい。

背景だけなら10時間ほどで終わっちゃってたわけで、あまり練習にはなりませんでした(´・ω:;.:...

顔の描画

今回のチャレンジ項目、顔の手書き描画です。まずは絶対にあった方が良かったのが次のマーカー表示です。

マーカーを出す

目の位置を調整するために、キャラの動きに合わせて一緒に動くマーカーを表示します。

Linkで取り込んだものと微妙に相性が悪かったので、コンストレイントでインスタンスに追従するようにしました。

今思うとこうやればできるかな?というのがほぼできなかったので、Linkをオーバーライドしてさらにインスタンス化したのは無駄だったような……

素直にLinkしたものそのまま使えば良かったかもです。

もう一つ大きな失敗はマーカーにZ軸を付けたことです。見間違うのでZ軸は無い方がいいですね……

AfterEffectsでキャラに合わせて動かす

Photoshopで描いた顔をAfterEffectで合成したものです。マーカーが無かったら動きを合わすのもっと時間がかかっていたと思います。

ぶっちゃけこの程度なら3Dでも出せるのですが、2D貼り付けだと制限無しの自由な表情が出せる、ってときめきませんか?(*´ω`*)

マスク出力について

眉毛等顔を前髪の前に出すために、髪の毛の部分をAOVでマスクとして出力しました。

今回は出さなかったのですが、顔のAOVマスクも出した方がいいかなって思いました。

今回ほっぺの赤をモデルの方に描きましたが、例えば赤ら顔みたいな顔の中心全体を赤くしたい場合、モデルに描いちゃうと対応するのが大変です。

でも2Dでの後のせなら普通のほっぺと同じコストのまま対応できますよね?

実際にアニメ制作で使う場面を考えると、ほっぺの赤は顔と一緒に2Dで描いて顔AOVでマスクする感じがいいかなって思いました。

3Dで描くと追従は楽だけど、カスタマイズ性が下がる

概ね良かった

反省点もありますが、今回顔を3Dでやらない方式にして結構いい感触を得ました。

いままで3Dだと厳しいなぁって思った表情も、気兼ねなく制作で使うことができそうです☺️

キャラアクション

頑張ったんじゃよ

もうね_(:3」∠)_

元の映像をよく見ると12FPSは出ているっぽく8FPSだと中間が足りない。

動きがパキっとなっちゃいましたが、今のところ自分の制作はほぼ8FPSで作っていくつもりなので8FPSで進めました。

アニメでは全員がまったく同じ動きをしていることってまずなく、微妙に動きが違っているんですよね。今回は特にそもそもみんな違うアクションしているので、4人全員個別にアクションを付けました。

アクションが綺麗に付くとキャラが生き生きとしてきていいなぁと思うのですが、自分はアクションが全工程のなかで一番苦手です_(:3」∠)_

揺れ物とかクロースシミュレーションでやりたいと思ってるのですが、重いし暴れるしで今のところ使えないなーって思っています。

BlenderにEeveeが来てリアルタイム系のレンダリング技術が採用されていっていますし、シミュレーションの方にもリアルタイム系の技術が乗っかってくると嬉しいのですが…

VRoidStudioの髪の毛は動かしづらい

そもそも髪の毛のボーンは先っぽにチョロっと入ってるだけなんですよ。

Rollもぜんぶ同じ方向を向いていて、ローカル軸回転させても期待した方向に曲がらない(´・ω・`)

ちゃんと動かす必要があるなら、ボーンを入れ直してウェイト付け直して……ってやるより自分のワークフローで髪の毛を作り直した方がいいと思います。

ボーンを入れること自体が目的ではなくて、その後の動きを付ける時に期待した操作で期待した動きをするのが目的のはず。付けたい動きに耐えられるメッシュ・ボーンじゃないと、長丁場になるアクション付けのコストが爆上がりでござるよ(´・ω・`)

今回のチャレンジの感想

  • 思ってたよりPencil+マテリアルが使いやすかった
     表現力は大きく変わらないけど、手早く修正ができる点は高評価
     環境お引っ越し機能は、Blenderヒキコモリの私には……

  • VRoidStudioはモブだったら十分使えそう
     ただし動かすならリグの自動化の道筋は整えておくこと(出し直し対応)
     髪の毛を期待通りに動かすことはあきらメロン

  • 顔を2Dにしたのは好感触
     マーカーは顔が動く場合位置合わせで必須
     目のAOがキツイ。モデルから目のくぼみをなくす(or AOを切る)
     髪の毛だけでなく顔もAOVマスクを出そう

以上、今回の制作もおちかれ_(:3」∠)_

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