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複数のデータを駆使して移民の経済的自立を支援「Where to Settle」


Summary

経済的機会へのアクセスを増やす「ファイナンシャル・インクルージョン」をビジネス戦略とするマスターカードは、ポーランドがウクライナからの多くの難民を受け入れたが、主要都市の避難所が過密状態に陥っていたという問題と、時間が経過するにつれ、戦争の影響でポーランド経済も不況に陥り始めたという、ウクライナ難民とポーランド経済の双方の問題に取り組んだ。

この問題の背景には、「まずは難民を受け入れることが最優先」という共通の認識があり、その後の持続可能な体制構築が後回しになっていたと考えられる。

しかし、その認識の奥には、「支援を受け続けるわけにはいかない。家と仕事を得て、経済的に自立したい」というインサイトがある。このインサイトに応えるため、マスターカードは「自社の取引履歴から主要都市以外の地方の小さな都市にも、住居と仕事の可能性が多く存在する」というデータに着目し、このデータを活用することで、難民の家族それぞれに適した住居と仕事を探せるシステムを構築することができるのではと考えた。

そこで、統計局の給与データ、マスターカードの取引履歴データ、主要不動産プラットフォームのデータ、さまざまな求人データを統合し、小さくてあまり知られていない町でも、難民の家族に適した住居と満足のいく仕事を探せるアプリをリリース。

このアプローチにより、「難民の持続可能な支援とは、単に家や食べ物を提供することではなく、経済的自立のための手段を提供することである」という価値変容を通じて、ウクライナ難民の経済的自立とポーランド経済の向上を実現し、マスターカードが目指す「ファイナンシャル・インクルージョン」を達成した。



Deconstruction

Brand
Mastercard - 経済的機会へのアクセスを増やす「ファイナンシャル・インクルージョン」をビジネス戦略とするクレジットカード会社。

Target
ウクライナ難民。

Objective
ポーランドはウクライナからの多くの難民を受け入れたが、主要都市の避難所が過密状態に陥っていた。さらに、時間が経過するにつれ、戦争の影響でポーランド経済も不況に陥り始めた → ウクライナ難民の経済的自立とポーランド経済の支援を目指す持続可能な仕組みの構築。

Barrier
まずは難民を受け入れることが最優先。

Insight
支援を受け続けるわけにはいかない。家と仕事を得て、経済的に自立したい。

Thought starter
自社の取引履歴から明らかになった主要都市以外の地方の小さな都市にも、住居と仕事の可能性が多く存在するというデータを活用し、難民の家族それぞれに適した住居と仕事を探せるシステムを構築する。

Idea
"Where to Settle"
統計局の給与データ、マスターカードの取引履歴データ、主要不動産プラットフォームのデータ、さまざまな求人データを統合し、小さくてあまり知られていない町でも、難民の家族に適した住居と満足のいく仕事を探せるアプリ。

Transformation
難民の持続可能な支援の価値変容
家や食べ物を提供すること→ 経済的自立のための手段を提供すること

Result
ウクライナ難民の経済的自立とポーランド経済の向上を実現し、マスターカードが目指す「ファイナンシャル・インクルージョン」を達成した。


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