見出し画像

ツバルから先進国のリーダーへ挑発的な計画「The First Digital Nation」


Summary

気候変動によって国土を失いつつあるツバルの政府は、2050年までに国が水没する可能性が高いにもかかわらず、国際社会がその緊急性や重要性を認識せず、具体的な対策を講じないという問題に直面している。

この問題の原因として、「環境問題の影響は遠く離れた島国にやがてくる問題であり、いますぐ危機に瀕しているわけではない」という先進国のリーダーたちの認識があると考えられる。しかし、その認識の奥には、「具体的な行動を起こすために、問題の緊急性の高さが具体的になって欲しい」というインサイトが隠れている。

このインサイトに応えるために、ツバル政府は「現在の国際法では、国家が存在するためには『明確な物理的領土』が必要である」という事実に着目。つまり、ツバルは土地が失われるだけでなく、それによって国家そのものとしての権利を失う脅威にも直面している、ということである。これら問題の緊急性を世界中の人々に感情的に訴えかけることで、国際的な注目と共感を集め、それが先進国のリーダーたちが行動を起こすための圧力に変わるのではないかと考えた。

そこで、COP27のタイミングで、ツバル政府は、そのサービス、文化、歴史を段階的にクラウドに移行する「デジタル国家計画」を発表した。物理的な土地が失われた後でも国として機能し続けるための、世界的な合意を促した。これは、国としての生存を目指すと同時に、気候変動対策の緊急性を視覚化することで人々の感情に訴え、世界的な議論を促進するための挑発的な計画である。

このアプローチにより、「気候変動の影響は、遠い島国の小さな問題ではなく、すぐに自国にも及ぶ明白な脅威であり、地球規模の危機の前触れである」という気づきを通じて、COP27でツバルのような国々に対する歴史的な損失・損害基金が設立された。さらに9カ国がツバルのデジタル国家を正式に承認。海洋境界線の確保、国際投票権の維持、世界舞台での地位の確立といった、国の主権を守る道を築くことに同意した。




Deconstruction

Brand
ツバル国の政府 - 気候変動により2050年までに水没する可能性が高いツバル。

Target
先進国のリーダーたち。

Objective
ツバルは2050年までに国が水没する可能性が高いにもかかわらず、国際社会がその緊急性や重要性を認識せず、具体的な対策を講じていない → 国を先進国のリーダーたちに気候変動対策への行動を促す。

Barrier
環境問題の影響は遠く離れた島国の問題であり、自国が直ちに危機に瀕しているわけではない。

Insight
被害の緊急性が明らかになれば行動を起こす意欲がある。

Thought starter
「現在の国際法では、国家が存在するためには『明確な物理的領土』が必要である」という事実に着目。つまり、ツバルは土地が失われるという脅威に加えて、国家としての権利を失うという別の脅威にも直面している。この事実を利用し、問題の緊急性を世界中の人々に感情的に訴えかけることで、国際的な注目と共感を集め、先進国のリーダーたちが行動を起こすための圧力に変える。

Idea
"The First Digital Nation"
COP27のタイミングで、ツバル政府のサービス、文化、歴史を段階的にクラウドに移行する「デジタル国家計画」の発表。物理的な土地が失われた後でも、国として機能し続けることを可能にする世界的な合意を促す。国としての生存を目指すと同時に、気候変動対策の緊急性を直接的に視覚化することで感情に訴え、世界的な議論を促進するための挑発的な計画。

Transformation
気候変動の影響の価値変容
遠い島国の小さな問題 → すぐに自国にも及ぶ明白な脅威であり、地球規模の危機の前触れ

Result
COP27でツバルのような国々に対する歴史的な損失・損害基金が設立された。また、9カ国がツバルのデジタル国家を正式に承認し、海洋境界線の確保、国際投票権の維持、世界舞台での地位の確立といった主権への道を築くことに同意。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?