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お馴染みのキャラクターをインクルーシブの力に変える「Spokescandies On Pause」

Summury

楽しさを通じてすべての人を団結させることを目指すチョコレートブランドのM&M’sは、インクルーシブ(包括性)をブランド戦略の一環として位置づけ、2022年に女性スポークスキャンディーのヒールをスニーカーに変えるなどのジェンダー平等視点でアップデートを実施したが、逆に一部のメディアから反発の声を引き起こしてしまった、という問題に直面していた。

その問題の原因は、インクルーシブ(包括性)への受容度と敬意に欠ける一部の層の、「トレンドのブランドパーパス戦略のために、お馴染みだったキャラクターを都合良く活用しただけだろう」「説明的・説教くさい」という認識があったのではないかと推測される。

しかし、その認識の奥には、「自身がインクルーシブ(包括性)の一部として体験するような、直接的なアプローチを望む」というインサイトが推測される。これはすべての層に当てはまるインサイトである。ブランドとして「すべての人を団結させる」を掲げている以上、本当にすべての人のインサイトにアプローチしなければならない。

このインサイトに応えるため、M&M’sは「米国内でスポークスキャンディーの認知度は99%に達する」という事実に着目し、スポークスキャンディーを部分的に変更するのではなく、ブランドの本気が伝わるような大きな変化を起こすことで、アメリカ全体が1つになる大きな話題の流れを生み出せるのではないかと考えた。

そこで、スポークスキャンデーをクビにするというフェイクニュースを仕掛け、アメリカ全体からスポークスキャンディーの復活を求める多くの声を噴出させた。これが一部の批判的な声を掻き消して、アメリカ全体を団結させる大きな力に変わった。

このアプローチにより、「スポークスキャンディーズは、お馴染みのキャラクターではなく、インクルーシブ(包括性)の象徴である」という価値変容を通じて、ターゲットにブランドのインクルーシブ(包括性)を、施策そのもののメッセージングではなく、結果的な体験として、体感させることに成功した。


Deconstruction


Brand

M&M’s - 楽しさを通じて、すべての人を巻き込むことを目指すブランド。

Target
アメリカのM&M’sファン。

Objective
インクルーシブ(包括性)をブランド戦略として位置づけてスポークスキャンディーのアップデートを実施したが、一部の層から反発が生まれた → ブランドの魅力を再確立する。

Barrier
みんなに愛されているお馴染みのキャラクターの一部を、世界的なトレンドであるブランドパーパス戦略に都合良く活用しただけ。

Insight
自身がインクルーシブ(包括性)の一部として体験するような、直接的なアプローチを望む。

Thought Starter
「米国内でスポークスキャンディーの認知度は99%に達する」という事実に着目。スポークスキャンディーを部分的に変更するのではなく、誰もが注目するような大きな変化を起こすことで、アメリカ全体の会話の流れを変える。

Execution
"Spokescandies On Pause"
スポークスキャンデーをクビにするというフェイクニュース。アメリカ全体からスポークスキャンディーの復活を求める多くの声を噴出させることで、一部の批判的な声を掻き消し、アメリカ全体を団結させる力に変える。

Transformation
スポークスキャンディーズの価値変容
お馴染みのキャラクター → インクルーシブ(包括性)の象徴



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