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バレンタインデーを自己愛を祝う日に変える〜愛の形のDE&I 「Self Love Bouquet」


Summary

フードデリバリーサービスのDoorDashは、バレンタインデーの機会に競合との差別化を図ることを考えた。着目したのは4人に1人が一人でバレンタインデーを過ごしているという事実。それにも関わらず、競合他社は伝統的なカップル向けのコミュニケーションに重点を置いており、独身者が置いてけぼりになっているのではないかという問題に取り組んだ。

この問題の原因として、特に18〜30歳の独身女性の消費者の中で「バレンタインデーは『カップルにとっての愛』を祝う日」という固定観念があった。つまり誰かへの愛を祝う日という認識である。

しかし、その固定観念の奥には、女性として「自己肯定感を高め、自己愛を大切にしたい」というインサイトがある。つまり、誰かへの愛ではなく、自分への愛も実感したいが、バレンタインデーはそのための日ではないよね、という認識である。これはカップルや独身とは関係ないインサイトではないだろうか。

そのインサイトに応えるため、DoorDashは「自己愛の象徴であるセルフプレジャーを公に話題にすることは良くないこと」という社会的タブーに着目し、このタブーを打破するきっかけを提供することで、カップルか独身か関係なく自己愛を大切にする価値についてオープンな会話を促し、バレンタインデーで祝う愛は、必ずしも誰かへの愛だけでなく自己愛も祝っても良いのではないかという会話を生み出せないだろうかと考えた。

そこで、独身女性でもカップルと同様にバレンタインデーを楽しむための、おしゃれなセルフプレジャーグッズを販売。これを話題化させることで、セルフプレジャーに対するタブーを打破し、バレンタインデーに誰でも自己愛を堂々と祝うことをセレブレートした。

このアプローチにより、「愛の形とは、伝統的なカップル間の愛だけでなく、自己愛や個人の幸福を含む多様な愛である」という価値変容を起こし、DoorDashの利用促進とブランドロイヤリティを向上させた。


Deconstruction

Brand
DoorDash - フードデリバリーサービス

Target
18〜30歳のDoorDash消費者

Objective
バレンタインデーは4人に1人が1人でバレンタインデーを過ごしているにも関わらず、競合は伝統的なカップル向けのコミュニケーションに重点を置いている → カップル以外の層も含めて利用を促進させる。

Barrier
バレンタインデーはカップル向けの愛を祝う日。独身者には関係ない。

Insight
自己肯定感を高めたい。自己愛を大切にしたい。

Thought starter
「自己愛の象徴であるセルフプレジャーを公に話題にすることは良くないこと」という社会的タブーに着目。このタブーを打破するきっかけを提供することで、カップルか独身か関係なく自己愛を大切にする価値についてオープンな会話を促し、女性全体を巻き込む。

Idea
“Self Love Bouquet”
独身女性でもカップルと同様にバレンタインデーを楽しむための、おしゃれなセルフプレジャーグッズを販売。これを話題化させることで、セルフプレジャーに対するタブーを打破し、バレンタインデーに女性として誰でも自己愛を堂々と祝うことをセレブレートする。

Transformation
愛の形の価値変容
伝統的なカップル間の愛 →自己愛や個人の幸福を含む多様な愛

バレンタインデーの価値変容
カップルが愛を祝う日 → 誰でも自己愛を祝う日

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