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自閉症の人々にとって衣服を長持ちさせる価値とは「Me, My Autism & I」

Summary

洗剤ブランドVanish(バニッシュ)は、「衣服を長持ちさせる」というベネフィットを訴求したいが、洗剤の広告は効果訴求が飽和しており、普及率が向上しないという問題に直面していた。

この問題の原因は、「衣服を長持ちさせる効果が、自分の生活にどう役立つのかがわからない」という消費者の認識にあると推測される。

しかし、その背景には「その洗剤を選ぶ納得できる理由が欲しい」というインサイトがある。

そこで、人々が洗剤に求める理由を探すために、なぜ人々が服に気を配るのかを調査した結果、服と人々の間には非常に感情的な関係性があることがわかった。

そのことから、Vanishは、「私たちはお気に入りの衣服を何度も着ている」という真実と、これは特に自閉症の人に当てはまるという事実に着目した。これらをもとに、自閉症コミュニティの視点から「衣服を長持ちさせる」ことの感情的な価値を語ることで、消費者の中にもある、それぞれの「衣服を長持ちさせることの価値」に気づかせると同時に、社会課題に向き合うブランドとしてのエンゲージメントを高めることで、選ばれるブランドになれるのではないかと考えた。

アイデアは、世界自閉症受容週間に公開された、Ambitious about Autism(自閉症の若者を支援するイギリスの慈善団体)とパートナーを組んで制作した、自閉症の女の子にとってお気に入りのパーカーがどれだけ人生において重要なのかを描く、実話に基づく感動的な映像。これは、「自閉症が男の子の症状であるという社会の誤解のため、女の子は男の子に比べて自閉症の診断を受ける可能性が3分の1低い」という自閉症の課題を打破するために、自閉症の女の子を支援することも目的としている。

これらのアプローチにより、「衣服を長持ちさせるということは、単なる洗剤の効果のひとつではなく、人生にとって重要なことである」という気づきを通じて、ターゲットに服をより長く着ることを奨励し、ブランドエンゲージメントの向上と購買意欲の向上に寄与した。



Deconstruction


Brand

Vanish - 汚れや臭いの除去、衛生的な洗浄、色の保護など、複数の効果を提供する洗剤ブランド。
Ambitious about Autism - 自閉症の若者を支援するイギリスの慈善団体。

Target
一般消費者と、自閉症コミュニティ。

Objective
「衣服を長持ちさせる」というベネフィットを訴求したいが、洗剤の広告は効果訴求が飽和しており、普及率が向上しない → 効果訴求ではなく感情的な動機づけをきっかけに、ターゲットに選ばれるブランドになる。

Barrier
衣服を長持ちさせる効果が、自分の生活にどう役立つのかわからない。

Insight
その洗剤を選ぶ納得できる理由が欲しい。

Thought starter
「私たちはお気に入りの衣服を何度も着ている」という事実と、これは特に「自閉症の人にも当てはまる」という事実に着目。この事実をもとに、自閉症コミュニティの視点から「衣服を長持ちさせる」ことの感情的な価値を語ることで、消費者それぞれの中にもある、普段意識していない「衣服を長持ちさせる」ことの価値に気づかせると同時に、社会課題に向き合うブランドとしてのエンゲージメントを高めることで、選ばれるブランドになる。

Execution
"Me, My Autism & I"
世界自閉症受容週間に公開された、Ambitious about Autism(自閉症の若者を支援するイギリスの慈善団体)とパートナーを組んで制作した、自閉症の女の子にとってお気に入りのパーカーがどれだけ人生において重要なのかを描く、実話に基づく感動的な映像。これは、「自閉症が男の子の症状であるという社会の誤解のため、女の子は男の子に比べて自閉症の診断を受ける可能性が3分の1低い」という自閉症の課題を打破するために、自閉症の女の子を支援することも目的としている。

Transformation
衣服を長持ちさせることの価値変容
単なる洗剤の効果のひとつ → 人生にとって重要なことである

Result
ターゲットに服をより長く着ることを奨励し、ブランドエンゲージメントの向上と購買意欲の向上に寄与した。


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