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文化を守るためのフォント化「Adlam-An Alphabet to Preserve A Culture」


Summary

世界的なテクノロジー企業であるMicrosoftは、民族の言語を保存するために開発された手書きのアルファベットADLaMがPCやスマホで使えないため、言語と文化が衰退の危機にあるという問題に取り組んだ。

問題の原因は、「ADLaMは伝統的な手書き文字であり、現代のデジタルコミュニケーションには適応できない」という、世界中のフラニ人の固定観念にある。

しかし、その固定観念の奥には、「自分たちのアイデンティティと文化的遺産を保護し継承したい」というインサイトがある。このインサイトに応えるため、Microsoftは、「Microsoft 365 Officeが10億台以上の世界中のデバイスで使われている」という事実に着目。ADLaMアルファベットをフォントとしてインストールできるようにすれば、地球上の4000万人のフラニ人がデジタル上でADLaMを使用できるのではないかと考えた。

そこで、Microsoft 365 Officeを実行している10億台以上のデバイスで利用可能な、ADLaMの新しいフォントADLaM Displayの開発。リアルタイムのコミュニティフィードバックを使用してADLaMの古い文字形を修正するプロセスを加速して開発された。このフォントで、フラニの豊かな文化を伝える学校の学習資料のコレクション、印刷およびデジタルの書籍やポスターを開発した。

このアプローチにより、「ADLaMは、言語と文化を衰退させる遺産ではなく、言語と文化を継承する最新ツールである」という価値変容を通じて、フラニの教育、ビジネス、社会ツールへのアクセスを強化し、言語と文化が世代を超えて生き続けることを支援した。

※タイトルからはMicrosoftがADLaMフォントを開発したようにも捉えられるが、ADLaM文字自体はすでに存在しており、これをフォント化したのがMicrosoftというアイデアである。価値変容をMicrosoft主語にすると、「ADLaM Displayの開発とは、フォントを増やすビジネス的な行為ではなく、フラニの言語と文化を守る社会的な行為である」ということだろうか。



Deconstruction

Brand
Microsoft - 世界的なテクノロジー企業。

Target
世界中のフラニ人。

Objective
民族の言語を保存するために開発された手書きのアルファベットADLaMがPCやスマホで使えないため、言語と文化が衰退の危機にある → ADLaMをPCやスマホで使えるようにデジタル化し、言語と文化が世代を超えて生き続けることを目指す。

Barrier
ADLaMは伝統的な手書き文字であり、現代のデジタルコミュニケーションには適応できない。

Insight
自分たちのアイデンティティと文化的遺産を保護し継承したい。

Thought starter
「Microsoft 365 Officeが10億台以上の世界中のデバイスで使われている」。ADLaMアルファベットをフォントとしてインストールできるようにすれば、地球上の4000万人のフラニ人がデジタル上でADLaMを使用できる。

Idea
"Adlam-An Alphabet to Preserve A Culture"
Microsoft 365 Officeを実行している10億台以上のデバイスで利用可能な、ADLaMの新しいフォントADLaM Displayの開発。リアルタイムのコミュニティフィードバックを使用してADLaMの古い文字形を修正するプロセスを加速して開発された。このフォントで、フラニの豊かな文化を伝える学校の学習資料のコレクション、印刷およびデジタルの書籍やポスターを開発。

Transformation
ADLaMの価値変容
言語と文化を衰退させる遺産 → 言語と文化を守る最新ツール


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