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#10 死者と使者。

※ ネタバレ含みます!!!

出典:FILMMAKERS ACADEMY

なぜマーヴェリックは死ねないか。

それは、空が彼に”かつて”を取り戻させてくれるからだ。

”かつて”とは、グースと過ごしたきらびやかな時間や過ぎ去ってしまった自分の若さのことである。

グースとは、前作『トップガン』において、飛行訓練中に不慮の事故で亡くなったマーヴェリックの元相棒である。相棒の喪失はマーヴェリックに重くのしかかり、空を飛ぶことに恐怖さえ感じるようになってしまう。前作のラストではそのトラウマを解消し再び戦闘機パイロットして生きていくことを決意するシーンで終わるのだが、今作『トップガン マーヴェリック』ではグースの息子ルースターが彼の前に現れ、マーヴェリックは負の記憶と再び対峙することになる。


グース / 出典: IMDb 『トップガン』(1986)
ルースター(グースの息子)/ 出典: IMDb 『トップガン マーヴェリック』(2022)

「空の誘い」

彼は空を飛び、”かつて”を取り戻す。そこに彼の至福がある。

しかしその反面、マーヴェリックは相棒の死に責任を感じ、苦しみ続けてもいる。そして、その苦しみから逃れたいと救いを求める相手も、また空なのだ。"Darkstar"を操縦し限界速度を超えようと躍起になる姿は、空に、そして死に救いを求めているかのようでもある。

巨きな空は、マーヴェリックを夢と危険という2つで誘惑し、捉えて離さない。だから彼は死ねないのだ。

そんなマーヴェリックがこれ以上ないと言っていいほど適切な死に場所を見つけるのが物語終盤、前述した2度目の墜落シーンである。ミッションの最中、敵国上空でルースターの機体が相手のミサイル攻撃を受けそうになるところマーヴェリックが犠牲になって被弾し、彼の機体が炎をあげながら堕ちていく。

大願成就かと思われたが、マーヴェリックは死んでいなかった。地面に倒れ気を失っていた彼は意識を取り戻す。そんなマーヴェリックの前に低空飛行した敵機がまたもや姿を現し、逃げまどう彼に銃弾を浴びせる。ピンチを救ったのは上官の命令に背き彼を助けに戻ってきたルースターだった。

余談になるが、やはりパラシュートを開いて脱出したのなら意識がないのはおかしいし、墜落途中奇跡的に外に投げ出されて意識を失っていたとするならケガの1つや2つ負っていてもいいはずだ。その気配は微塵もない...

とにかくもその後、マーヴェリックとルースターは敵の基地から戦闘機F-14を盗み出し、立ち塞がる敵機を返り討ちにしながら、なんとか帰還を果たそうとする。だがついに弾が底をつき、海上で後ろから敵機にロックオンされてしまう。2人が死を覚悟したまさにその瞬間、ルースターのライバルであるハングマンが突如現れ彼らを救う。そうして、マーヴェリック・ルースター・ハングマンの3人は無事帰還する。

ハングマン / 出典: IMDb 『トップガン マーヴェリック』(2022)

要するに、マーヴェリックは今回も死ぬことが出来なかった...




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※ 記事を書く上で参考にした資料

※ 映画『トップガン マーヴェリック』についての解説記事は、本記事が最終回になります。公開時期は未定ですが、次回はドラマ『梨泰院クラス』をテーマに書こうと思います。現在製作中です!!

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