見出し画像

迷走する大学入試共通テスト

★連絡先
メールでの連絡先は、
oitatutor@gmail.com

です。また、Twitterアカウントは
https://twitter.com/oitatutorです。
coconaraのオンライン家庭教師は
https://coconala.com/users/1906286です。

23年1月の共通テスト試験日まであと40日をきりました。ここからは得意な科目をさらに伸ばすよりも、苦手な科目、それも暗記がキモになっている科目の点数を引き上げる方が効果的です。

理系受験生なら社会の過去問や暗記に、文系受験生なら理科の基本用語の確認に、それぞれ取り組むとよいでしょう。

過去15年分くらいの共通テスト(とセンター試験)の過去問が書店で売られていますが、2020年までのセンター試験と21年からの共通テストの間には、絶望的なほどの断絶があります。22年の共通テストは目新しい問題のオンパレードで、頻出パターンに当てはめたらスラスラ解けるという感じではなくなっています。

また、理科は問題文が長くなり、さらに問題そのものも格段に難しくなっているのに、制限時間はセンター試験時代から変わっていません(2科目で120分)。国立大学の医学部を受験するなら、全科目合計で90%以上とって当たり前という雰囲気がセンター試験時代にありましたが、現行の共通テストで安定的に9割を維持するのは至難の業でしょう。

この共通テスト、当初は記述式も導入すると言っていたのですから、実に驚きです。文科省のお役人や一部政治家には、二次試験型の記述問題で試験をを実施したいという欲求があるのでしょうが、「対策のしようがないからもう勉強しない」とハナから勉強を諦めてしまう受験生が今後続出するような気がしてなりません。

さらに恐るべき事に、多くの国立大学では最終合否判定時の配点比率が共通テストに大きく偏っています。特に地方国立大学でその傾向が顕著です。

例として大分大学教育学部の配点を見てみましょう。

共通テスト900点、二次試験300点の合計1200点満点です。つまり共通テストで失敗したら、二次では挽回が事実上不可能です。

一方、東京大学の圧縮率はどうでしょうか?

共通テスト110点、二次試験440点の合計550点で争われます。つまり、共通テストで多少失点しても、足切りにさえかからなければ、最終合否への影響はかなり薄まります。難関大学ではこのように二次試験の得点にウェイトをかけているところが多いです。

空恐ろしいことに、2025年から新課程に移行するので、共通テストの出題内容がさらに変貌します。先月、新課程用のサンプルテストが公開されましたが、数学をはじめ統計の読み取りに比重がかかっているのが特徴です。センター試験とは完全に別物といってよいでしょう。

既にセンター試験時代の面影が大いに薄まっていますが、自分が大学を受験したときと同じ感覚で生徒に試験対策をやっていると、今後はこの魔物に太刀打ちできなくなること必定です。

かつての法科大学院(ロースクール構想)もそうでした。一部の法学者の理念だけが先行し、現場を完全に無視して制度改革を強引に進めた結果、取り返しのつかないほどの混乱が生じ、結局元の状態に戻ってしまいました。

その背景として、学費が高額なロースクールに通学したとしても全員が司法試験最終合格に至るわけでもないという事情があります。ロースクール卒業生の最終合格率は4割にみたないと言われています。いっぽう、司法試験予備試験の2次試験合格率は10%未満ですが、そこを通過するとほぼ全員が最終試験に合格しており、今では司法試験予備試験から受けるルート(1990年代までの旧司法試験ルートに酷似)が一般的になっているようです。

私が見るところ、共通テストもロースクール構想の二の舞になると予想しています。けっきょく誰のためにもなっていないからです。とはいえ、こういう混乱期だからこそ、塾や家庭教師の存在は今後ますます重要になっていくかもしれません。

最近の日本はこの手の話題が尽きません。来年秋から「インボイス制度」が導入されるので、私のような個人事業主や零細中小企業に大きな影響が出るのですが、もう開始まで1年を切っているのに、なんと運用実務がまだ明確に決まっていないのです! ただでさえ税理士が不足している状況にもかかわらず、役所が税金処理の計算を複雑にしたり、取引先との関係を面倒にしたりする制度を強引に推し進めようとしています。共通テスト導入と同じく、やはり「誰も特をしない制度」「みんなを不幸にする改革」なのです。

世の中の世知辛さや矛盾をある程度理解している大人ならともかく、お上の無理難題を押しつけられる十代の子は本当に気の毒です。そういう子ども達を強力に支援できるよう、私もさらに研鑽を積んでいこうと思います。

★連絡先
メールでの連絡先は、
oitatutor@gmail.com

です。また、Twitterアカウントは
https://twitter.com/oitatutorです。
coconaraのオンライン家庭教師は
https://coconala.com/users/1906286です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?