コンビニ経営は無理ゲーなのか?
私は、プロフィールにもある通り、10店舗のコンビニを経営している。
そして、かれこれ経営をスタートして10年近くが経とうとしている。
つい先日、こんな記事を目にした。
「休めない、儲からない、それは本部に搾取されているからだ」という論調の記事だ。ネットにはこういった内容の記事が溢れている。
私は、ここに書かれていることが嘘だとか、事実誤認だとかいうつもりはない。
ただ、少なくとも同じコンビニ経営者の私の見方とはずれている。
例えば、記事に書かれているこの記述↓
「オーナーじゃないとできない仕事って、アルバイトの採用くらい。多くのオーナーは店舗に立っている。現状のコンビニオーナーは、『オーナー偽装』『名ばかり経営者』と言わざるをえないのではないでしょうか。コンビニ本部が高収益をあげられる理由がここにあります」
私は、一般的に経営というものはごく当たり前に、こういうものだと思っている。
例えば、独立したての会社であれば、社長自ら営業の現場に足を運ぶだろうし、
その上で、プロダクトも製作しなければならないかもしれないし、資金調達もしなければならない。
製造業の社長であれば、工場で自ら一番現場で汗をかいて働くはずだ。
比較的独立しやすい飲食業であってもまた然りだ。
今流の働き方と言われているフリーランスの人であっても、最初は自分の生活をするために寝る間も惜しんで働く人も多いはずだ。
一からスタートするのであれば、現場にいるのは当たり前だし、コンビニオーナーであれば店舗に立つことはそういうことだと思っている。少なくとも私は、365日24時間立つ覚悟でこの事業はスタートしたし、事実、何日も休むことなく店頭に立つということは数知れずだ。しかし、今はそういうことはない。オーナーの努力次第、もしくは能力次第ということだ。どの世界の経営者も同じことで、そういう意味で平等なのだ。
そして、コンビニ本部が高収益を出すことについての私の理解はこうだ。
一言でいうと、彼らが優秀だからだ。
彼らが生み出したプロダクト、配送システム、会計システム、店舗マネジメント、
恐ろしく優秀だ。それは高収益があって成せることだというのは忘れてはいけない。事実、収益を出せないコンビニ本部、最近ではCKSUやスリーエスは大手チェーンに飲み込まれた。
コンビニ経営者はプロダクトを作ることもしなくていいし、業者選定もしなくていい、配送も頼まなくていいし、仕入れにまつわるやりとりも不要だ。
本部にはグレートの一言である。
下請け業や、代理店業、フランチャイズ事業を行うのであれば、搾取される立場になるのは当たり前し、搾取する側が優秀であればあるほど、高収益というのはこれについてもどの世界でも同じだ。
そろそろ、結論にするが、コンビニは無理ゲーなのか?という問いについて、
国税庁が発表している会社の生存率がこれだ。
・5年後の存続率…14.8%
・10年後の存続率…6.3%
・20年後の存続率…0.4%
・30年後の存続率…0.021%
経営とはいかに過酷なものだということがよくわかる。
生存率を見てわかる通り、コンビニ経営が無理ゲーなのではなく、
経営そのものがほとんどの経営者にとって無理ゲーなのである。
私は、幸運にも、そのサバイバルを10年近く生き抜いてきた。
もちろん、今後どうなるか分からない。
しかし、コンビニ経営者全般的に言えることだが、コンビニ経営者は往々にマインド的に甘い、そして経営的な知識が不足している人が多いと感じている。
それは、独立精神が足りない、依存心が強い、サラリーマン根性が抜けない、
といった人がこの世界に多いからだと考える。
だからこそ、最低限の経営マインドを身につけ、経営知識を理解しておけば、
比較的楽に生き残っていける世界とも言える。
私は、自分を卑下するわけでもなく、他業界の経営者の知り合いは多いが、むしろ能力値でいったら低い方だと思う。
サラリーマンの頃も大きな成果を出す人間ではなかった。
だが、事実、コンビニ経営者としては、それなりの成果を出し、収益を得ている。
私はコンビニ経営のプレイヤーを増やし、もっともっと競争して、活性化することを願っている。
そして、本部にはチャージ額を抑えてほしいとは思わない。むしろ、どんどん高収益をあげて、自動レジシステムや、商品開発に投資をしてもらい、人件費の削減や、売上増のために、尽力してほしいと考えている。
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