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シングルベッドにふたり(200505)

昨日の朝、妹が帰ってきた。泣きはらした目をしていた。人には人の地獄があるのだ。

夜は、シングルベッドでふたりで眠った。

今日、朝、パンケーキを焼く。生地にクルミを混ぜて、リンゴをのせて焼いた。妹が「何もしないで朝ご飯がでてくるなんていつぶりだろう」と笑った。

夏に向けて野菜を植えたいの、とYoutubeで動画をあさっている。ピーマンの苗木は葉っぱが10枚くらいついたものを、と動画の中で男の人が話している。妹のマンションの広い広いベランダが浮かんだ。ジャングルだってつくれそうだ。

10時、メリハリをつけた生活を!と叫んだ妹が念入りに化粧をはじめる。お姉ちゃんの化粧品の思い出はね、高校の頃にファンデーションを借りてバイトに行ったら、顔色が悪いけどどうしたの?!無理しなくていいよ、帰っていいんだよ、と心配されて結局バイトから帰されたことだよ、と笑う。のせられて私も化粧をしっかりする。

ヤマツツジが美しい季節だ。虫が嫌いだ、トカゲがこわい、と笑いながら2時間ぐらい山を散歩する。人にはほとんどあわなかった。30度を超える気温で目が回った。

午後、プリンを焼く。いつも底だけ固まらない。ひっくり返して、角の丸くなった蕩けたプリンをみながら、不安な気持ちになる。味は甘かった。

部屋のソファで本の続きを読む。

明治以降、「個人」のないまま「社会」という言葉だけが通用するようになったのが日本だという。形式だけの言葉に、日本における社会の未成熟が覆い隠されているのだと。まだ途中だけれど、面白く読んでいる。

ずっと「社会」という言葉に違和感のようなものを覚えていて、それは国って何?という気持ちにも広がっていたのだけど、この疑問をどうしたらいいのか分からずにいて、引き出しにしまって、たまに眺めるぐらいだった。

意図せず読んだ(もとは、笠原清志の書籍を読んで紹介されていたのでなんとなしに手を出した)本から、抱えていた疑問に向き合う形になったのも面白かった。


面白いものはたくさんある、私にはなにができるのだろうと、急に焦燥感にかられたりもした。どうしようもないのだから、とりあえず寝よう。

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