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「アイ・アムまきもと」観てきました

監督・水田伸生、主演・阿部サダヲの最強タッグ

私にはどんな作品であろうとこの人が出ているなら見ようと思える俳優が何人かいる。
「アイ・アム・まきもと」で主人公「まきもと」を演じる阿部サダヲはそのひとりである。
「まきもと」は彼のために当て書きされたのではないかと思うほどピッタリだったと思う。
この作品の監督である水田伸生監督とは「舞妓Haaaan!!!」「謝罪の王様」「泣くもんか」に続いて4作目となる。この二人がタッグを組めば面白くないわけがない。

そこにこれまた先ほどの定義に当てはまる満島ひかりが脇を固めるひとりとして登場するとなれば私にとっては必見の作品となる。

愛すべき人間「まきもと」

主人公の「まきもと」は市役所で「おみおくり係」を一人で担当している。「まきもと」は身内のないご遺体に関わりのある人を全力で探し、自費で葬儀まで行ってしまう人だ。
それゆえに彼のデスクは位牌で囲まれている。

周りに迷惑をかけ疎まれながらも空気が読めないのでそれがわからない。
ひとつのことに集中し過ぎて周りが見えないが、憎めない愛すべき人間「まきもと」。
身内のない彼が自分のために買っておいたお墓を身寄りが見つかったご遺体のために迷わず提供する優しさと潔さが素晴らしい。

信念があるのかどうかは不明だけど、あれだけひとつのことにのめり込み、そのためだけに行動できるというのは尊敬に値すると思った。
クスッと笑えるシーンも多々ある中、中盤あたりからヒューマンストーリー色が濃くなっていって、泣かせる展開に。

なんとなくこんな感じで終わるのかと想像させておいて、まさかの結末。
彼の思いが通じる最後のシーンが印象的だった。

さいごに

人の「死」を扱うのはデリケートだけど、たとえ無縁仏であっても大切にしなければならない。
生きていく中で誰一人として関わった人間がいない人生なんてあり得ない。
まきもとは、その「誰一人」を探してくれる。
見つからなくても最期に関わった人間として葬儀を行ってくれる。
一人一人の人生を大切にしてくれる。
行動に移すのは難しくても、そういう心を持つことの大切さを教えられた気がした。

どこかの国の偉い人にこの心が少しでも分かればいいのに。




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