見出し画像

〇今宵も喫茶ドードーのキッチンで/標野凪

贅沢に厚切りにしてカリッとトーストしたパンは、
微かに小麦の香りがする。
具材はゴマだれのような調味料で味付けされている。
数種類の野菜や肉が入っていて、
噛むごとに具材それぞれの個性がじんわりと伝わってくる。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

「鍋にたっぷりの水とビネガーを入れて」
そろりが、大きな鍋にトプトプと音を立てながら、
ビネガーを入れています。
水の半分の量くらいでしょうか、
リンゴ果汁を原料にしたアップルビネガーを使っているようです。
アップルビネガーは酸っぱさが控えめですから、
酸味が苦手なお客さんにも喜ばれますね。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

ひとつは薄茶色のパンに、魚のマリネが挟んであった。
これがニシンの酢漬けだろう。
肉厚なニシンの味が噛むごとにじゅわーっと口に広がっていく。
和えている調味料はマスタードだろうが、
辛みよりもまろやかさが際立っていて、
ハチミツのような甘さを感じる。
それが、魚の生臭さを完全に消している。
パンはライ麦が入っているらしく、
味わいに素朴さが加わる。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

七厘の上のマシュマロが焼けてぷくっと膨れてきました。
そろりは鉄箸でそれを取り上げ、
クッキーにのせ、もう一枚のクッキーで挟みました。
「スモアだー」嬉しそうに口にしたのは、
グラハムクラッカーにチョコレートとマシュマロを
挟んだお菓子の名前です。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

「タルト台に卵液を流し込んで、と」
卵と生クリーム、それに削り降ろしたたっぷりのチーズを混ぜて
台の上に垂らします。
「マッシュルームをいっぱい敷き詰めて、
あとは焼くだけ。」
これでもかというくらいに、
マッシュルームが載ったタルトを彩花は口に運ぶ。
ぎゅっと濃縮されたキノコの旨味が口の中に広がった。
卵の生地は驚くほど濃厚でふかふか。
とろけるような滑らかさだ。
堅く焼き上げたタルトはサクサクと噛み応えがあり、
食感まで楽しめる。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

キッチンのコンロに黒い鉄鍋を置く。
「ダッチオーブン」というアウトドア用の鍋だ。
「牛肉、にんじん、じゃがいもを炒め、
水を入れて、赤ワインとハーブ。
あとは煮込んでデミグラスソースで仕上げるんだ」

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

白い湯気だけでも、美味しさが伝わる。
シチューに木のスプーンを入れる。
一口大のロース肉はこんがりと焦げ目がついている。
はふはふと息を吐きながらほお張ると、
口の中でほろりと崩れた。
じゃがいもやにんじんもよく煮込まれていて、
野菜の甘みが伝わってくる。
デミグラスソースにコクがあるのは、
飴色に炒めたタマネギが味に深みを与えているのだろう。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで

ざっと洗って、包丁で芯をくり抜いて、
そのまま鍋に丸ごと入れました。
くりぬいて出来た穴に、
たっぷりのお砂糖と蜂蜜、
それからシナモンスティックを一本差しこんでから、
鍋の蓋を被せます。
弱火にかけて、あとはお得意の放っておくだけでしょうね。
きっと焼きリンゴを作っているのでしょう。
リンゴが焼き上がったら仕上げにアイスクリームを載せるようですよ。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで



ずっと気になってた。
こういう本を読むと元気になれる。
スモア食べてみたいなあ。
お一人様の喫茶店行ってみたいな。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?