東コレ2022SS/♀️奇妙かわいいペイデフェのランウェイ



2022年SSコレクションの楽天ファッションウィーク東京(東京コレクション)がいよいよスタート。
先シーズンから参加しているブランド・pays des feés(ペイデフェ)が、今回はじめてファッションウィークでショーを披露するということで、渋谷ヒカリエホールに鑑賞に行きました。



「奇妙かわいい」をコンセプトに、時にシュール、時にロマンティックなデザインを、中野ブロードウェイにある小さなアトリエ兼店舗から発信する朝藤りむさんのペイデフェ。毎シーズン、世界各国の芸術、シュルレアリスムなどからインスパイアされたペイデフェのお洋服は、読み解くのが楽しくもあり、自由な想像力をかきたてられるようなデザインですが、今シーズンのテーマはひときわ繊細な概念「アンフラマンス」です。

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ペイデフェは、身体性と切り離せないファッションという方法だからこそ、「アンフラマンス」な感覚を味わうことができると私たちに伝えてくれているようです。


ショーは、チャラン・ポ・ランタン小春さんによるアコーディオン演奏で幕開け。
まっしろな衣装に身を包んだ、妖精のような踊り子ふたりが、幻想的な世界に誘います。
まさにpays des feés
(=フランス語で「おとぎの国」)に迷い込んだような演出です。

いざ、アンフラマンスを探しに……。




とくに私が釘付けになったのは、大きな絵本を抱えたモデルが登場したシーン。
絵本にはTシャツが貼り付けてあるようで、踊り子がページをめくってみせてくれます。
ショー後のデザイナー・りむさんのインタビューによれば、この絵本に描かれているのは「starmaker」=「星をつくる人」の物語。
今回のコレクションのテーマでもある「アンフラマンス」を表現した代表的な作家が稲垣足穂だといわれていますが、足穂の作品によく登場する"天体"というモチーフからイメージをふくらませ、りむさんは「星をつくっているのがマッドサイエンティストだったら面白いな」と思いついたのだそう!



そういうわけで、背中に「starmaker」のタグをつけて歩くのは、星をつくるマッドサイエンティスト。



こちらのスカートに大きくプリントされた円形のコラージュも、天体から着想を得たものだそう。
重力のない宇宙、星の軌道……そんな丸いイメージが重なり合い、服の表面からどこかの深淵に吸い込まれるような感覚になります。





「アンフラマンス」を表現するものとして、効果的に取り入れられているのが「プリーツ」。
スカートが揺らめくと透ける、裏のプリントの見え方にもこだわり、プリーツが閉じたときと開いたときとで異なる世界が見える仕掛けになっています。


ふと思いだしたのは、アニメのカードやポストカードなんかによく取り入れられている、見る角度によって絵柄が2〜3パターン変わるあの「レンチキュラーカード」(名称、調べて初めて知った……)。
あのカードを手にした子どもの頃、どうしてあんなにわくわくしたんだろう。
複数の絵柄が見たいだけなら、複数枚のカードでいい。一枚のカードの中で絵柄が変化するのがあんなに楽しいのは、ひとつの世界からもうひとつの世界へと移り変わる、あのはざまにふっと揺らぐような感覚が心地よかったからかもしれない。
それは、ネガティヴなニュースや心配事が飛び交い、誰かの敵になったり味方になったりをはっきりさせなくちゃいけないような気がしたり、現実を生きることに必死の日々を過ごす今の日本の中で、きっと心の中にいる子どもが切実に求めていた感覚だったんだ、と気づかされました。



ショーの最後、踊り子たちと手を繋いでりむさんが登場すると、心から笑顔になっちゃうハッピーな気分があふれだしてきました。


「わかりやすい強い表現だけでなく、繊細な感覚にも寄り添いたい。ちゃんとここに存在するんだよって伝えたい」と語る りむさん。


9月には展示会で実際のお洋服を間近で見て、プリントのディテールを味わったり、素材の質感に触れるのも楽しみです!
前回のコレクションのようすは、私が取材執筆させていただいたペイデフェ2021年AWコレクション「無重力のユートピア」展示会レポートもぜひ合わせてお読みください🧚🏻‍♀️


〜今日のコーデ〜ペイデフェの新聞紙バルーンワンピースでショーを観に行きました🗞
ペイデフェは、込められた不思議な物語を想像しながら、周辺知識をあつめたりして着方を考えるのがたのしい。とか言いつつまだまだぜんぜん修行中です。

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