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90歳になった祖母が、いまでも人前で歌い続けることができる理由

ぼくのばあちゃんは、この10月で90歳になります。

いまは実家ではなく、サービス付き高齢者住宅という施設に住んでいますが、まだまだ元気!10月14日には、卒寿祝いで娘(ぼくからいうと叔母)と共同でコンサートを主催し、詩吟やオペラで鍛えた歌唱力を発揮していました。

そんなばあちゃんですが、決して体が強い方ではありません。昨年は、転倒して脊椎を骨折し、合計で4ヶ月も入院する大怪我を経験しています。

どうして90歳になってもなお、元気で人前に立つことができるのか。久々にばあちゃんに会って、ただ単純に「趣味がある」というだけではないということがわかりました。ぼくから見たその理由について書いていきます。

このマガジンについて】
大学の同級生3人 (ちか、しゅうへい、おだけ)が、デイサービスの立ち上げる過程やそれぞれが考えたことをnoteにしています。


趣味とともに生きてきた人

ばあちゃんを一言でいうと "歌と共に生きてきた人" 。

元は小学校教諭だったばあちゃん。ぼくが生まれる前には退任し、実家のお寺の守りつつ、10代のころからの趣味である歌に精を出していました。

70代の時は、わざわざタクシーを呼んで夜8時から詩吟のレッスンに通っていた記憶があります。80代からはオペラに移行しはじめ、よく台所からは素朴な洗い物の生活音に重なって、毎晩、『アヴェ・マリア』の壮大な歌唱が響きわたっていました。

ちなみにうちは実家がお寺なので、カトリック教会の聖母マリアへのお祈りであるアヴェ・マリアの歌声を聞いたご近所さんは驚いていたそう。ぼくの父は10年以上たった今も、いまだにそのことを鉄板ギャグとして使い回しています。

そんな中、昨年はじめに転倒してしまい脊椎を骨折。さすがにもう寝たきりの介護生活になるかなと思いきや、リハビリを乗り越えて見事復活。

レッスンに通うのが体力的にしんどくなった今は、LINE電話を活用してオンラインで歌のレッスンを継続しています。

卒寿、みずからでコンサートを主催

2023年10月14日、卒寿の記念にみずからコンサートを主催して約40名の前で衰えない歌声を披露。本人的には満足のいくできではなかったそうで、「声のハリが…」とか「合間の繋ぎのトークが…」などと反省点をリストアップしていました。おそるべきハングリー精神…!!

あんまり変な顔写さんとってよ〜と言われました
伴奏はLINE電話でのレッスンもしてくださっている先生

元気の理由は、"会う人がいるから"

卒寿祝いの最後、ばあちゃんの言葉で印象的だったことがあります。それは「人との繋がり」について。

ばあちゃんが通う施設には、同年代のご年配の方がいらっしゃいます。その方から見ても、ばあちゃんは一番元気に映るそう。ばあちゃんなりにその理由を考えてみたら、それは「会う人がいるから」ということだそうです。

施設には、趣味の繋がりはおろか、親戚の繋がりがなくなってしまったひともいるそう。

ぼくのばあちゃんは、今でも実家である寺の行事があるときは、施設から一時的に帰宅して手伝いをしています。他にも趣味の歌つながりで、先生や他の生徒さんと集まることもあります。

ちなみにばあちゃんは短歌も趣味で、88歳の米寿の際にはこれまでの人生を振り返ってみずから歌集を編んでいました。短歌でも、先生や一緒に習っている生徒さんと楽しくやっているそう。

趣味である「歌」はばあちゃんにとって間違いなく元気の源です。

けれど、それは「趣味があるから元気」ということではなく、本質的には「趣味を介して人との繋がりがある」から元気でいられるのかもしれません。

大学の同級生三人で立ち上げている岡山のデイサービス。

ここでも、ただ「好きなことをする」とか「リハビリをする」ということではなく、それらを媒介にして、どうやって人との繋がりをコーディネートするのかが大切だと考えています。

そのための仕組みをどうつくるのか。いよいよ建築士さんや、ぼくが働くNINI inc.の代表姉妹と空間づくりの話も始まってきました。大変だけれど、一番重要なところ。楽しみながら、しっかりとコンセプトをシャープに、形に落とし込んでいきたいです。

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