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車椅子の外出には「ボード」と「介護タクシー」そして「福祉有償運送」




出かける時には「移乗用ボード」

Sさん(仮名)は、週2回通院リハビリに外出しています。今回は、外出の移動方法をご紹介します。

全身麻痺があり、体の動きに全て介助が必要なので、ベッドから車椅子への移乗には、介護に便利な移乗用のスライディングボードという板(ABS樹脂製、38㎝×78㎝:写真)を使用します。


色々なメーカーの製品があります


 
まず、靴を履いて、Sさんが踏ん張れるように、両足をベッドサイドに下ろします。ベッドの高さを車椅子の座面より少し上げて、ボードをお尻に半分敷き込みます。ボードに乗せたお尻を車椅子へ滑らせて移動します。
この時、Sさんの両足はしっかりと床につけて、頭と上半身を、思い切り前方に傾けて、ボード上を滑らせるようにするのがポイントです。
「これは、本人も楽ですよ。」(Sさん)
 
 
時間が足りない時など、ボードを使って移乗できない場合は、介護タクシーのドライバーさんとヘルパーの2名で、体の下に敷いているバスタオルの両端を持ち上げて、ベッドから車椅子へ移ります。
この時、姿勢が崩れないよう、お尻が車椅子の角にきちんと収まっていることに注意します。

 

介護タクシードライバーさんの心遣い

介護タクシーのドライバーさんには、ベッドと車椅子間の移乗と、福祉車両への乗降車を介助してもらい、リハビリ病院に到着後、受付まで同行してもらうことをお願いしています。
ドライバーのみなさんも、Sさんに長く接しているので、道中、春には満開の桜の下を通ってくれたり、体調を気遣ってくれたりして、心強いのです。
 
 

「福祉有償運送」 という仕組みはあるけれど課題大

Sさんが利用している介護タクシーとは別に、北九州市には「福祉有償運送」という送迎の仕組みがあります。NPO団体が、低料金で障害者や要介護者、要支援者の方々の送迎を受けるというもので、市内では9団体が行っています。
 
運転は、一定の研修を受けたドライバーが担当しますが、ドライバーは、週1回や月1回など、「これならできるよ」と言って協力してくれている方々です。車両は、あいの会で使用するのは、普通セダン型車なので、車椅子のまま乗ってもらうことができません。
 
Sさんのような、毎週の通院をはじめ、月1回の通院や買物など、福祉車両での送迎を必要としている方は多く、頻繁に利用の相談を受けています。
ただ、多くの実施団体が、車両や運転者の確保に苦労していて新規の依頼に応えられないことも多いと聞きます。
あいの会を含め、実施団体は、運転協力者を募集していますし、車両の寄贈も求めています。車両が確保できて、協力者の方が増えると各団体で対応できる範囲が増えます。

みなさんのお近くで「運転協力者の研修を受けてみようか」「中古車を譲ります」など、ご協力いただける方がおられたら、お近くの団体へ、ぜひご紹介ください。なお、いずれの団体も損害保険に加入し、事故防止対策は徹底して運営しています。
 
#北九州市の福祉有償運送団体
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000974499.pdf
#福祉有償運送運転協力者研修(北九州市社協)
https://kitaq-shakyo.or.jp/vol-course/driver20230520/
 
 
 

車窓から見える景色 これからも

Sさんは、介護タクシーの窓から、町に新しく建物が立ったり、木々の色が移り変わる様子を目にします。
これからも、介助を必要としている方が、外に出て、街の変化や人の温かさに直接触れる時間が安全に持ち続けられるように、送迎実施団体として、できることを続けていきます。

                    2023.5.19
         (algoさんのイラストを使わせてもらいました)

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