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すずめの戸締まりの感想

感想のメモ
後で校正したいが時間ないのでメモのまま放つ
ネタバレ無茶苦茶含むので見てから読むことを強く推奨します

背景描写が良かった

田舎(熊本から東北までの旅路での橋を渡るシーンや道端の草木や山道といった"現代人"の持つ原風景が描かれていて非常に良かった→新海誠の良さである日常的だがキラキラした大切な情景の切り取りの拡張になってる)
自分としては車に揺られてみる風景というのが日本人の持つ懐かしさを覚える原風景のひとつだと思っていて、それがふんだんに使われており非常に新海誠みが深いと思った。彼の絵の作風が日本人の持ってる郷愁なので。

ミミズを戸締まりするシーンがエヴァだった

シンジくんがロンギヌスで使徒を刺してる感じだった。日本の神に祈り(お願い)をして常世から断絶することで連続した爆発四散と雲が晴れる姿があまりに酷似していた。なんならミミズはストレンジャーシングスのデモゴルゴンだった。おいおいおい。

祝詞の考察

かけまくもかしこき日不見(ひみず)の神よ
遠(とお)つ御祖(みおや)の産土(うぶずな)よ
久しく拝領つかまつったこの山河
かしこみかしこみ
謹んで
お返し申す

作中より

震災や災厄(今回で言うと地震)に対し、その呪いを払う→抑えて頂くために山川を返し、呪いの理由を解いてもらい、干渉を辞めてもらう→戸を閉める

新海誠特有の作家性の話

新海誠、あまりに日常的なシーン(チャリの鍵を閉めるとか、あんま覚えてないけど、一瞬の動作のシーン)が本当に上手い。新海誠がやるだけでその日常の中に含む美しさという文脈が載ってしまうのがある意味ずるい。

大筋

何より大筋の話としてちゃんと頑張った人間が報われる話(天気の子の対比、ある意味セカイ系の否定だったり、新しいストーリーライン)を提示できているのを評価したい。しかし、新海誠がやっていること、日本的な文脈(侘び寂びとか、無常といった日本文化に根付く割と共通した考え方など)に対し、明るい終わり方、めでたしめでたしなのが、あくまで物語の構造でそうなっているから、主人公が頑張って因果を変えたと言うよりはご都合でそうなってるのが目にはつく

イケメンの男

草太くん、前まで少年然としたり小柄な男ばかりだったのに急にガタイのいいグエルとかアッシュの顔にしてきたじゃん...という気持ちで溢れかえってます あと正統派で正しいことを正しく行いたい真っ当な人間が主人公なのが非常に良いです。
芹沢はえっちだなあ(語彙力)
昭和歌謡を歌いながらドライブするのがマジで良い

コンテを切るのがあまりに上手いという賞賛

無駄なコンテがない。これはガチ。いやまあ無駄と言い張れる(必要ではないと言うこともできる)コンテ自体はあると思うのだが、それが新海誠の味になってるから無駄になってない。やばい。あと話の整合性の上で説明が足りてない部分がないのがすごいです。鍵が何かとか祈りが何かとか関係なく俺のドリルで天をついてたり超☆銀河美少年だったりしてるからなっとるやろがい!(ドンッ!)でファンタジーのほとんどを押し切っており、キャラを動かす上での導線でしか細かい話が出てきていない(よね?ダイジンまわりのとこね)

話の作り方が上手い話

•大筋は自分のやった事を自分でケリをつける話
本作のあらすじはぶっちゃけ、すずめが要石を引き抜く→ダイジンがなんやかんやですずめに懐いて俺のこと好きと勘違いしてすずめと一緒にいる為に要らぬ()おせっかいとして扉を開き、草太を要石にする→すずめが扉を閉じて常世に行くための扉まで行き着く→草太を元の人間に戻し、抜かれてしまった要石を(常世での現世に対応する位置に?、不明)戻して、ついでに過去の自分と会い、自分のやった事に後始末をつける。自分のやった事とそれによるおせっかいを自分で解決しているという大筋なのである。
→震災による辛く苦しい自分の過去は悼み終り、幸せに考えることができている(考えられるようになるという希望があるよ、と自分の小さい頃の自分に言えている)と言う本作のテーマに沿った大筋になっており、非常に良い

ヴィランがいない話

本作のもう一つの特徴として変な価値観による縛りが無く、家族関係の問題や家出についてや、教師試験をぶっちした事(おそらく芹澤も最終的に試験ぶっちしてない?知らんけど)については言及や不和を起こしていない。唯一敵認定してきただろうサダイジンが登場シーンにて環さんに憑依ないし何かしらした時だけ関係性に傷を作っている。(ケンカはしてるけど)基本的に登場人物は善性をもとに動いてる事が示唆される(意思を持ったヴィランが居ない)。新海誠本に書いてある「ポストアポカリプスものにしたい」という意図がここに出ているように感じる(あくまで戦う?相手は自然現象でしかない。ダイジンは事象でしかなないため)

本作だけにあるジブリみ

神の本質を「きまぐれ」と評したり、ダイジンやサダイジンの行為全てにジブリみやそれ以上の解釈を感じた。(感じただけではあるのだけれど)
震災をミミズと言った形で表現したり上の神への解釈(Godと神を同一視してはいけない。あくまで日本語で言う日本の神道的な神の解釈として、ゆるふわな感覚的なものではあるが)ジブリの持つ自然的などうしようもなく畏れの下ある大きな力として表して取り入れた所が非常に評価できる

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