見出し画像

土を平すように


たまに聞かれることがあります。
「どうしてこの仕事にしたのですか?」


それはスタジオPRのタイミングや養成コースの最初の挨拶、今日は窓際でストレッチしているお客様から、何気なくそう聞かれました。



「なんか気づいたらここにいて」
というのが大まかな所で、本当にそんな感じなのですが、それより本当のほんとで言うと

「ピラティスのインストラクターが誰もいなくなったら困ると思ったから」

と言うのがこの場合の回答となります。




23歳、確か秋ごろ
若さゆえの果てしない体力を持て余していた私は
仕事の後、家に帰る前に寄り道する場所を探していて、そして運よくピラティスと出会いました。


初めてレッスンを受けた日のことは
正直言ってあまり覚えていないのですが
「こまか。」と思ったことは少しだけ覚えています。


細かいしなんかルールがたくさんあるし、その時は身体を動かす習慣がなかったため、車酔いのように気持ち悪くなったり

酸欠なのか、生あくびが止まらなくなったりした記憶があります。


ただ、これだけ多くの人が通っていると言うことは
何か意味があるはずた、と思いとりあえず5回通ってみました。

5回が6回になり、10回になり、30回にり
50回になった頃には私はすっかり別人になっていました。



8キロ痩せて良い感じの体型になり
シンプルな思考になって世の中のことをちょっとだけ愛せるようになった私は、次第にこんな不安を抱き始めるのです。


「世の中のインストラクターがみんな辞めちゃったらどうしよう。」


今思えば余計なお世話です。
みんな辞めちゃったら私はピラティスをできなくなる。
そうしたらこの穏やかな心は保てなくなる。
また世の中に対して牙を剥いてしまうかもしれない。
嫌だ。そうだ、インストラクターになろう!




こんな感じですぐ養成コースに申し込みをしました。


そして時は過ぎ、何億回くらいかのレッスンをし
今、職業としては「ピラティスインストラクター」をしています。





なので、時折、申し訳なさに苛まれることがあります。


それは私が純粋に「インストラクターになりたい」からなったわけではなく、根本にあるのは「自分のため」だからです。

私はピラティスが好きなので、調べます、勉強します、研究します。それを自分の身体で試してみて、試して試してたくさん日が経って、良かったものを人に伝えます。

それが私の仕事となります。




一体どの時まで、私は自分のためだけにピラティスを学んでいたのか、いつから、何年の何日から、「誰か」を思って学び始めたのか。

全く覚えていないです。
でもその日はきっとあったはずです。


「自分のため」の延長なんです、と思いながら
でも、だからこそとっておきの物なんです、と、いつも葛藤があります。




じゃあなんで続けてるのか?と聞かれたら
好きだから、で
「満足してもらえるか不安になる」を除いたらもう最高に毎日楽しいです。

土を平すように、
ピラティスの知識を多く知る者が、少ない方に伝える
と考えると

私は常に多く知っていきたいので、そうなるとそれが仕事として最適なものになると思うのです。



🪽

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?