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狙われてる男

今日はとても鮮度の高い話を。

まさに今日の出来事だが、夕方に一旦帰宅する必要があり外回りの途中で自宅のあるマンションに戻って駐車場に車を停めた。

その際に視線を感じ、ふと車外を見ると自転車を押し歩きながらこちらを見つめ続ける男がいた。

見ているだけなら構わないが、自転車の前カゴに入れた布袋の中をゴソゴソと掻き回しながら、明らかに不審な挙動でこちらを見ている。

距離にするとせいぜい5メートル。

私が不審に思い車から降りると、おもむろに布袋からカメラを取り出してこちらを撮影し始めた。

「ファン?ファンなの?」

一瞬頭をよぎったが、残念ながら私はメディアの仕事はしてないし、福山雅治さんにも似ていない。

あまりに撮影するので、声をかけた。

「何を撮ってるんですか?」

すると60代と思しきごま塩頭のおじさんは驚きの言葉を吐いた。

「俺を殺そうとしただろ!これは自己防衛だ!」

言っておくが私はアサシンではない。営業マンだ。

「どう言うことですか?」

もう一度尋ねてみた。

「今朝から何台もの車に殺されかけている!毎日、家を出てから戻るまで狙われている!」

「インターネットで俺のことが拡散されて、命を狙われている!狙われたから撮影してるんだ!」

お前はジョン・ウィックか何かか?

いやいや、もしかしたら私の知らない闇の組織を離脱したエージェントなのかも知れない。

「あなたを狙ったりしてませんよ。ただ、画像は拡散されても困るので消して貰えませんか?」

そう伝えたが、命を狙われてる男に通じるはずもなかった。

ネットに「女子高生をつけ狙う男」みたいな文言で自分の画像なんかを拡散されたらそれこそたまったもんじゃない。

面倒だったが110番通報し、警察の方を呼んだ。

警察を待つジョン・ウィック

10分ほどでパトカーが到着し、2名の警察官の方に諸事情は全てお伝えしたが、どうやらウィックはやはり少しばかりパラレルな世界を生きておられるようで毎日命を狙われている様子。

「狙われてるなら、自転車でふらふら外出しなきゃいいんですけどねー」

警察の方の言うことはとても的確だった。

カメラを確認してもらったが、実際には撮影出来ておらず、カメラ自体もまともに動くかどうかわからないものだったが一応一眼レフだった。

その後、男は注意を受けリリースされた。

つまらない事で警察の方の手を煩わせてしまった事を謝罪し、その場を離れたが、実際問題、私が女性だったなら相当な恐怖だったはずだ。

きっと彼は昼となく夜となく、自分をつけ狙うアサシンと対峙してるのだろうが、カメラからナイフや火器に道具を変えない事を祈るばかりである。

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