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【第12回】宮城県〝がん対策条例〟の制定を目指して

皆さん、こんにちは。大池こういちです。

「がん対策推進条例」の制定へ

2023年12月19日、宮城県議会本会議で「がん対策推進に係る条例検討会の設置」が可決しました。検討会は各会派から選出されたメンバーで構成され、本年1月から議論がスタートします。

41道府県(23年9月1日時点)では条例が制定されていますが、宮城県にはありません。条例ができれば、行政が責任を持って〝がん対策〟を推進する根拠となり、政策医療としてさらなる強化が図れるはずです。

今回、公明党県議団を代表して、検討会に参加させて頂くことになりました。快く送り出してくれた会派の先輩議員に感謝を申し上げます。昨年の県議選でも「がん対策を強力に進めていきたい」と訴えてきました。研鑽を重ねながら、検討会の議論に挑みたいと思います。

がん対策「誰一人取り残さない」

がんは、1981年(昭和56年)より死因の第1位になり、生涯のうち約2人に1人が罹患する「国民病」と呼ばれています。

2006年(平成18年)に国会で「がん対策基本法」が成立。国はがん対策の基本方針を定めるため、2007年に「がん対策推進基本計画」を策定しました。

そして昨年3月、政府は第4期の基本計画を閣議決定し、2017年(平成29年)に策定した第3期の計画にある「がん予防」「がん医療の充実」及び「がんとの共生」の3本柱を踏襲しながら、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」との全体目標が提示されました。

なお、国の方針を受け都道府県でも基本計画を策定することになっていて、現在、宮城県としても第4期の策定へ議論が進められています。

検診率の向上による早期発見、先端医療技術など治療法の確立、緩和ケアや相談支援など、予防・治療を強化しつつ、がんとどう付き合っていくかにも注目されています。

近年、治療の副作用で髪の毛が抜けてしまった患者にウィッグ補助を行うなど、「がんとの共生」を考慮したアピアランス(外見)支援が代表例です。

また、15歳から39歳のAYA世代(Adolescent&Young Adult=思春期・若年成人)や小児など、若年世代のがん対策も重要視されています。若くしてがんと宣告され、治療と生活を両立することは困難を極め対策は急務です。

以下、第4回のnoteで書いていますので、ぜひ、ご覧ください🙇‍♂️

政策医療として「がん対策」を考える

患者や家族など、多様なニーズに対応していくためにも、国との連携や県を超えた広域的な医療体制の構築も重要と考えています。

今回、県議会で行なった初の一般質問でも、国内で7箇所しかない最先端施設「山形大学医学部東日本重粒子センター」の活用を訴えました。

先進的な治療法である「重粒子線治療」は、治療時間が比較的短く、仕事や日常生活を続けながら外来通院が可能です。現在は前立腺がん、膵臓がんなどが保険診療の対象になっています。また、乳がんや腎臓がんの臨床試験が実施されるなど、さらに多くの症例が保険診療の対象になることが期待されています。

昨年、重粒子線がん治療の可能性をテーマに、仙台市で公開セミナーが開催されるなど、県を超えた活用について議論がはじまっています。実際に佐賀県鳥栖市にある「九州国際重粒子線がん治療センター」は、利用者実績において、福岡県が52%と半分を超え、熊本県や鹿児島県など九州各県や山口県からも利用されています。

重粒子線治療施設を全ての都道府県に設置することは現実的ではありません。BNCT と呼ばれる「ホウ素中性子捕捉療法」など最先端の治療法も含めて、広域的な利活用も検討すべきです。

また、県議会で議論されている「4病院の再編構想」ですが、2023年12月22日、「仙台赤十字病院」と「県立がんセンター」の統合について基本合意が交わされました。

先日、担当部局からヒアリングを行いましたが、宮城県のがん対策を担ってきた県立がんセンターが、これまでと同様の役割を果たしていくことができるのか、合意文書の内容からは判断が難しいと感じました。

宮城県の〝がん対策〟を維持・向上させていくためにも、しっかり議論していきたいと考えています。

まとめ

私は〝がん〟によって、14歳の時に父を、30歳の時に母を亡くしました。特に、父亡き後、母がパートを続けながら、経済的に大変でしたが、大学進学を後押ししてくれました。我が家にとって、大きな出来事だったと思います。

国民病である「がん」は、いつ誰が発症するか分からない病気です。県民の命を守ることはもちろん、その家族や生活を支えるためにも、行政の役割は重要です。自身の体験も踏まえ、何が求められているのか、全力で考え、取り組んでいきたいと思います。

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