売れる条件?

声優業界四方山話として

多分芸能全般に言えることだと思う。音楽もタレントも芸人も役者も

ちなみに、全部「必要な技術は習得済みのプロの人間」にとって必要なものの考察なので、技術もなく経験も殆どないって人に大して「それだけあればいい」って言っているわけではない。


デビューからいきなり食える人間ってのがいる

下積みがないままいきなりってペースもある。
本当に理由はわからないものの、各事務所2人ぐらいはいたりする。別に猛烈に見た目が良いってわけでもない。
10年やっててもバイト主軸の人間もいる。いるってか、こっちがマジョリティ。困ったことに。別に実力がないわけでもコミュ力に問題があるわけでもない。

彼ら彼女らにお仕事を投げつける乱暴な立ち位置として、理由を考えなければならないと思いながらも未だその答えが出ていない。芸能の人たちと関わるようになって10年を遥かに上回っているというのに。ただ、成功のルールは見えないものの失敗のルールの反対がそうじゃないかと仮定すると以下の2つが大事な気がしてきている。

結論だけでいうと「」と「愛嬌」である。

運と言っても色々ある

正しくは、運をものにする力と嗅覚がある、というべきか。

裏方として見ていると、わりと万人にチャンスは公平だったりする。それを片っ端から食いついて自分の力に変えるかどうかなのだ。逆に、悩んで、選んで大事なものをのがしてしまうってのは、かなりある。

「そのお仕事に抵抗があります」
「スケジュールがあいません」
「里帰りのタイミングで・・・」
「体調が優れなくて・・・」

理由ともあれ、どれも理由として正しい。断るにしても筋が通っているし、尊重されるべき理由だ。タイミングの問題も仕方ない。
ただ、それで仕事を与える側からみた「これやっといたら絶対に得しかないのに」ってのを逃す子たちを山程見てきた。

仕事だけに限らない。
 飲み会に呼んでもらう
 ワークショップ参加チャンスが有る
 ちょっとしたお金の都合で勉強や自己投資を渋る
全部機会の損失になる。

ワークショップやお金に関しては、事務所や知人に頭を下げてみればいいじゃない、と。案外なんとかなる。出世払いのときもあれば、おじさんのところは会社が出してあげることすらある。お金のせいで成功できないってのは実はかなり多いのよ。後々考えたら大した金額じゃないのに
勉強も同じ。金で解決できることは金で解決して、そうじゃない部分を己の努力でなんとかするのよ。
特に声優事務所が行うワークショップは将来を考えたらちょいちょい参加したほうが良い。これ、勉強の機会ってよりもコネクションを作るための交流会的な側面も大きい。芸能仕事で繋がりが無いってのは、将来を考えると致命的に成功しないルートに向かうことになる。

教える人はだいたい業界でそこそこ教えるに値する人たちであり、他の事務所のそこそこ偉い人達が見学することもあるし、自分の顔を声を売り込むオーディション的な意味合いもある。さらに同業者と情報交換するためのコネを作ることすらできる。むしろ勉強よりも大事な要素だらけなのだ。学校とかは知らないけど、事務所系って結構大事。それをたかだか数千円。まぁお安い。実際に、おじさんはワークショップで教えた子にできる限りお仕事投げつけるようにしている。声はわかっているし、多少の関係性が出来上がっているので全く知らない人よりは確実だから。

話を戻すと成功しているグラビアの子でも人気ある子は、自分で痛い思いしてでも露出の機会を作り出そうとし続けてる。声優でも色んな場所に顔を出し続けた結果、仕事ともかくどの事務所の人と話をしていても話題に出る子はいる。歌手でも自腹で機材揃えてyoutubeなどで歌い続けてたりもする。来た仕事だけで人気は出ないのだ。

話を戻して機会損失ってどういうことかというと
「自分の想像しているレールから飛ぶ出す機会の損失」
ってこと。そのレールの先に、成功が待っているだけの作戦と準備があるならそれでいいけど、そうじゃない大多数の人間は運を取りに行かないといけないはずなのよね。実力を蓄えるレールは描けても、売れる(成功する)レールって描けないでしょ?お客さんをコントロールなんて出来ないんだし。

愛嬌は誰にでもある

大体の人はよく見ると愛嬌はある。ない人間などいない。
その愛嬌が成功にどうつながるかと言われると、前述の運と隣合わせ。人のつながりは基本的に運の要素が大きい。その運があったとき、自分が可愛がってもらえるかどうかというある種の能力が「愛嬌」なのだ。

愛嬌だけで仕事をもらうって実はかなり多い。役者としては努力が認められてって思うべきだけど、仕事を与える方からしたら愛嬌の割合がかなり大きい。
一緒に仕事するなら仲がいいとか、雰囲気がいいってほうが「いい仕事」になるわけで。仕事につながらなくても挨拶を欠かさなかったり色んな所に顔を出し続ける人間は、こういうときに極めて選ばれやすい。仕事をくれる人だけではなく、万人にちゃんと愛想よくしておくべきなのだ。実際に、似たような候補なら仲のいい人を選ぶのは世の常だし、緊急で無茶なお願いをするのもそういう人間だ。つまり、シンプルに仕事の機会が増える

媚びを売るのと愛嬌ってのは違う。
お仕事を与える側って、「チヤホヤしてるのも後ろに見えてる仕事のためでしょ?」って冷静な人もいる。そうなると露骨に媚びても逆効果。だからコミュ力や容姿ではなく、人としての愛嬌が大事になってくる。仕事くれないけど好きな人、ってほどにクライアント候補が魅力的だったら一番いいんだろうけどね。残念ながら当然世の中そういうふうには出来ていない。ちゃんと努力してナイスにするしかないのだ。

あとこの時代だからSNSの発言も見られてる。それで仕事回すのやめようって決まることもそこそこあるし、知らない匿名のおじさんが実はクライアント関係者の可能性だってあるしね。それで仕事増えることや人生変わることだって大いにある。それで外したこと、ありますよ、普通に。ってか、他社の人間に相談されて、その子SNSがあれだからやめとけ、ってことも過去に何度もあった。


2つ大事な要素を出した所、両方とも必要か

ぶっちゃけてしまうと、運のほうが明らかに比重はでかい。運は突然来ることがあるけど、愛嬌を身に着けて認められるには時間がかかるから。ただ、運は自分で作るのが大変なので、だったらせめて愛嬌ぐらいは持っておかないと厳しい。だって、代わりは無限にいるもの。

試しに「声優事務所+連絡先」で検索してみると良い。400万件を超える。この数字の数が事務所の数ではないが1万分の1にしたって400を超える事務所があることになるし、それぞれの事務所が所属10人を超えると考えると4000人の所属声優がいることになる。最低限で計算してみても、だ。

その中で演技力とか個性とか言っても意味ないんだよね。100万人に一人の大才能じゃないかぎりは。

おじさんは基本的に無能の凡人なので、凡人としてどうするべきかしか考えられない。だから、この内容にしても異能の才を持つ人間にとっては特に意味がない内容になっている。

演技とか役者にとって大事な要素ってわけじゃなくて、ただただいきなりうまくやってる人間たちを観察した結果でしかないので、所詮四方山話。信じるも信じないもあなた次第。

教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。