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AG03で真面目に録音をしてみる実験

一部の人たちに、録音はできるけどお世辞にも向いているとはいえない、と言われている普及機「AG03」を使って実際に実験してみる。

今回の条件としては基本的なマイクの距離を把握している人間が、適切な発声で声を張って歌ってみると言う実験を行なっている。

先に書いておくが簡単に配信が始められる機械としては、これと並ぶ製品はあっても上に行く製品はないと思っている程度には配信用アイテムとして評価している。

ここでは録音能力に関しての検証になる。

※この記事はAG03 mk2登場前のもので、mk2に関してはかなり改善されていることは触れておきたい


録音設定はこうしよう

実際に録音することで試行錯誤した結果、以下のようにしておくと比較的にちゃんと撮れる。

・正しい距離と正しい発声必須
・コンプとEQ、エフェクトはオフ
・input設定はDRY
・ヘッドフォンに思ったよりもノイズが入るので我慢

 (録音した音にはそこまで乗らないので、他のinputから拾ってる模様)

基本的に録音された音よりもヘッドフォンに多めにノイズが乗ってしまっていたのだが、これは個体差なのかどうかまではわからない。とりあえず、この部分に関しては、我慢、でやり過ごすことにした。想像になるが構造上input ch1や2以外のチャンネルの音もヘッドフォンから出るので、他のトラックに何も音が流れていなくてもノイズを拾うんじゃないかと思ってる。
そして回路図を見る限り、他のトラックの音をmuteできないのでこればかりはなんともならない

ダイナミックマイクで録音

コンデンサ

設定はこのような感じで行なっている。

ダイナミックマイクでの録音に関しての感想

・S/N比がどう考えても悪いのでゲインあげての調節も禁止
・プリアンプが弱いのでダイナミックマイクにはパワー不足
・基本高音が掠れる

まぁおそらくダイナミックマイクを扱う上でのマイクプリアンプの力不足が原因だと思われる。S/N比はお世辞にもいいとは言えない。大問題!ってほどノイズが入るわけではないが、常時聞こえていることは事実。音で言うと物足りなさはある。特に中音域から高音にかけて少し物足りない。とはいえ聞くに耐えないと言うほど悪くもない。全然ダメ!というよりも、今時のオーディオインターフェイスとして考えると、あまりいい音じゃないね、ぐらい

コンデンサマイクでの録音

ダイナミック

設定はこんな感じ。

では録音の感想

・高音の掠れはダイナミックマイクよりも顕著に出る
・ゲインを上げた時の音量の変化がかなり極端に感じる
・当然ゲインあげるとノイズが一気に増える

ダイナミックとどちらがいいのかと言われると悩ましい。ダイナミックマイクだとパワー不足を感じるものの、コンデンサマイクだとノイズがそれなりに増える。はっきり言うと、どっちもどっち以外に思いつく部分はない。聞いてる感じだとコンデンサマイクで録音した方が音の掠れは目立つ。よくネット上で「AT2020との組み合わせが悪い」みたいなものを見かけるが、ひょっとしてコンデンサマイク全般との組み合わせが悪いのではないだろうか?それぐらい中音域から高音にかけてカスカスに感じてしまう音だ。

どれぐらいのノイズ?

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画面の下の部分に横に線が引かれているのがわかると思うが、これがノイズ部分。コンデンサマイクの録音設定で無音想定で録音したもの。ずっと流れているのは別に問題ないとして、大事なのは音量。これ、大体-45〜-50dbぐらい。つまり、気になる人にとってはものすごく気になる絶妙なライン。気にならない人とか会話中なら全然気にならない。本当に絶妙。

そして最も問題というか個人的にはいかんなと思うのが、ヘッドフォンで返しを聞いているとこれの倍程度にはノイズがうるさい。なので録音中はめちゃくちゃノイズまみれの録音に感じてしまうのだ。

というわけで録音したもの比較

実際に音を動画で確認したいと言う人はこちらを見ていただきたい。

【実験動画】AG03で録音してみた
https://note.com/oichan_d/n/ne24d904f0f24

1つ目

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これはコンデンサマイク(2020)で録音したもの。音量的に余裕があるのだが、声を張り上げた部分で声がビビってしまっている。ちょっと高音部分が嫌な感じに聞こえてしまう。音割れまではいかないはずなのに、やや高音が掠れたり変な潰され方をしている印象。

2つ目

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波形ではわからないがダイナミックマイク(SM48)での録音。コンデンサの時みたいに音がビビることはないので、どちらかというとこちらの方がまだ聞きやすい。ただ、かなり声は張り上げないといけないのでマイクの距離を間違えると事故になる。正しい距離と発声ができるなら、コンデンサマイクよりもこちらの方が聞きやすいものになる。

3つ目

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これは比較のために低価格なevo4(AT2020)で録音したもの。なんの文句もないレベルでちゃんと取れている。中音域の部分に厚みがあり聞いていて違和感や掠れなどの不満はない。これ価格考えれば破格以外の何者でもない。何度も言っているがAudientは真面目に民生向けで最高のチョイスの一つだと思う。

4つ目

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これはiPhone13で録音したもの。GarageBandで録音して書き出したものなのでステレオトラックになっている部分には目を瞑ってもらいたい。波形で言うと普通なのだが、聞いている感じで言うと非常に聞きやすい。高音や低音のどこが足りないと言うよりも全体的にマイルド調整なので、evo4の次に聞いていて違和感が少ない。

超個人的な見解

AG03での録音は可能。問題なく可能。でも可能なだけ

そこそこの時間録音と指示だしなどを色々やった結果、配信や通話にはいいものの録音に関してはお世辞にもお勧めはできないかな、と。

そもそも、音に関する機械は機能や経由地点が増えれば増えるだけ音が悪くなる。これだけ機能てんこ盛りで音がいいわけがない、というわかりやすい証明になった。

ただし、細かいノイズが気にならない実況や通話に関しては機能も多いしいいのではないだろうか

ミキサーとしてで考えると今本当に安くなっている低価格な小型ミキサーと入門用オーディオインターフェイスの組み合わせと比較すべきなのかもしれないが、そこまで行くとキリがない。

配信用途のアイテムなんだし、録音の品質が多少悪かろうと別にこのアイテムの価値が変わるとは思えないというのが本音of本音。


教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。