24歳でレスになった話




ハタチの時に付き合い始めた人とは、
交際4年を前に別れてしまった。

24歳の時だ。

理由は1つじゃないし、もうほとんど忘れてしまったけど、どうしても許せなくて忘れられない出来事が1つある。


当時、私たちはレスだった。 

最初の原因は多分私にあった。


23歳の頃に一度、仕事のストレスで鬱っぽくなっていた時期がある。

朝起きては泣き、死にたい死にたいと言いながらメトロに乗り、出社しては泣き、寝る前にも泣き…というお情緒ハードモード。
それ以来、何故だかそういう気持ちになれなくなったのだ。

(鬱になると性欲減退するというのも本当だと思うし、私の場合、寝転がって目をつぶるとExcelの表がまぶたの裏に浮かんでいたのでたいそう困った。私はExcelの表と3Pできるような特殊性癖の持ち主ではなかった。)

それに加えて、

交際期間が長くなるにつれて、相手をそういう風に見られなくなってしまったり(ありがち)

そもそもシチュエーションに萎えてしまったり
(当時、彼の部屋は和室に布団、中古の収集品が散乱しているというエンターテインメントルームだった)

まあ要するに私起因のレスだったので、私自身は危機感みたいなものを抱いていなかった。

それが良くなかった。
耐えかねた彼が、ある晩事件を起こしたのだ。

※以下、キツめの性被害の描写があります。詳細は全世界に公開することでもないので割愛しようかと思ったけれど、恋人同士の性的合意について考えるきっかけになればと思うので記述します。

行為を断るたび、彼が責めるようながっかりしたような口調で「なんでなん?」と言うのが耐えられなかった私は、その日も途中で行為を断った後、寝たフリをしていた。

すると彼は寝ている私の手をとり、あろうことかそれで自分の下半身をこすり、マスターベーションを始めた。

別の日、また断って寝たふりをしていると、いつもは穏やかで大きな声を出さない彼が呼吸と語気を荒げ、混乱した様子で台所をウロウロ歩きながら「なんなん。い、意味分からん。こんなんやったら明日、明日、生で中出しさせてくれたらいいのに。そ、それくらいしな、割に合わん。」と1人で暴言を吐き続けていた。
私はあまりの恐怖に布団のなかで硬直した。

もっと怖いのは、後日それを彼に伝えると、「言ってへん、覚えてへん」の一点張りだったこと。(誤魔化してる訳でもなく、マジで覚えてなさそうだった)


そんなこんなで(そんなこんなで?)初めての性被害を、私は恋人から受けた。



勿論彼には訴えた。
翌朝も、別れる前も、それからずいぶん時間が経ってからも。

彼は行為については(時に逆ギレを挟みながら)謝ってくれたけど、
暴言についてはやっぱり「覚えてない」と主張し、最後まで認めてくれなかった。

のちに分かることだが、発達障害で直近の物事をすぐ忘れてしまうらしい。※調べてみてもよく分からなかったけど、詳しい方がいたら良ければ教えてください。

覚えてないなら仕方ないか。
夢だったのかも。

まあ興奮してたし、声震えてたもんね。
そういうなんか、脳とか記憶とかのなんか。あるのかも。
極度のストレスで記憶が飛ぶ的な。

きっとつらいよね。
思うように生きられなくて辛い思い、沢山してるだろうね。 

てか、当時の彼と今の彼とはもう別の人間だろうし。

私だってそうだしね。

どうにかしてよって訴える相手は、もうこの世界には居ない。





だから、

私はあなたにされたことや言われたこと
そっかそっかって思わないといけないのかな。

これからもずっと、好きな人と眠る時に
時々思い出さないといけないのかな。
私も忘れっぽい人間だったら良かったのにな。


でも、かわいそうなくらい優しい人だった。
共通の友人に話しても信じて貰えなかったと思う。

あれから4年が経って、彼と過ごした日々は遠くなってしまったけど

彼のあんな声、布団のなかで震える自分の腕、コントロールできない心臓の音、

たぶん私だけがこれからも忘れられずに生きていく。

新しい彼女も、奥さんも、娘も、きっと知ることは無いのだ。


どうすればいいのか、まだよく分からない。

いつか消化できる日が来るのかなあ。







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