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世の大家さんに問いたい! 陳腐化したアクセントクロス、まだ続けますか?

挑戦的なタイトルにしちゃいましたが、賃貸情報ポータルサイトを眺めているとホントそう思います。
特に6~8畳ぐらいの1Rや1K物件! ザッと見ただけでも8割以上の物件でアクセントクロスにしていますよね。
 
大抵は縦長の部屋の長辺側の一面をアクセントにしているのですが、色が濃すぎてブラックホールのように部屋が暗くなっていたり、部屋全体の雰囲気を無視した原色や奇抜な色を選んでいるために「なんでこの色にしたの?」とツッコミたくなるケースも少なくありません。
まさか「目立つ色、強い色を持ってくりゃぁ何でもいいんでしょ!?」なんて考えてませんよね。
あるいは「私はセンスが無いから、全て業者にまかせてるんですぅ」とか?
 
その一方で、床や建具の色と同色系の濃淡クロスでアクセントをきれいにまとめた部屋もありますが、それはそれでブラウンかベージュ系のよくある色使いなので「ああ、このパターンね」と特に驚きも感動もありません。
 
アクセントクロスは内見者に感動を与えてはじめて付加価値となり得ます。
言い換えれば、内見者が部屋に入った瞬間に「ワァ~カッコいいっ!こんな部屋に住んでみたい!」と思わせなければやる意味が無いんです。
この際、あなたの好みや独特なセンスなんかはどうでもいい。
大切なのは、内見者の目に触れた「賃貸物件」という商品が入居意欲をそそるかどうかです。
 
 
こんな風に偉そうなこと言ってる私ですが、15年も大家やっているくせにどうするのがベストなのか未だに考え続けているんです、ホントは。
 
 
いろいろ考えた結果、最近はアクセントクロスってデメリットの方が多いんじゃないかと思うようになりました。例えば・・・
 
・それでなくても狭い部屋が、濃いアクセントクロスを貼ることによって更に狭く感じる

・家具の配置がどうなるか分からないのでアクセントクロスの最適位置が決まらない

・家具の色が決まらないのでアクセントクロスの最適色が決まらない

・床、建具、ベースのホワイト系クロスで既に3色なのに、これ以上色数を増やすとゴチャゴチャする

・濃いアクセントクロスはひび割れや傷が目立つ

・飽きる

 
それだったら例え上手くコーディネートできたとしても、既に陳腐化してしまっているアクセントクロスには見切りをつけて、今度はベースカラーに凝ってみませんか?
 
 
 
手始めに流行の先端を行く新築マンションを覗いてみましょう。
実際にマンションに足を運ばなくても、suumohomes などのポータルサイトで物件ごとの「画像」をチェックすれば、今のマンションの流行が手に取るように分かります。
 
直ぐに気付くのが「シンプルなホワイト系って殆ど見かけないな」です。
今の主流はベージュ、グレージュ(グレーとベージュの中間)、グレー系で、こういった色のクロスを壁と天井全面に貼っています。廊下や居室だけじゃなく、トイレや脱衣所などあらゆる壁と天井が全て同じクロスも多いです。
 
色の濃さにも法則があって、高額なタワーマンションほど濃くなります。
豪華さを演出するためですが、最近は「ちょっとやりすぎじゃないの?」と思うほど濃いクロスも珍しくありません。それでも豪華さを上手く演出できていれば目的は果たしているので問題ないのですが。
 
 
では賃貸物件はどうでしょう?
いきなりタワーマンションばりの濃い色を全面に貼ったら「なんか暗いね」とスルーされて終わりかねません。
そもそも賃貸物件の入居者にとって馴染みがあるのはホワイト系クロスですよね。
そう考えれば、ベースカラーに色を入れていく場合も最初は薄めの色に抑えておき、内見者に拒絶反応が起こらないようにするのが正解。
 
 
ではここで私の研究成果を発表します!(笑)
あっ、一言お断りしておきますが、私は量産クロスと呼ばれている低価格の普及品しかチェックしていませんので悪しからず。
量産クロスは主に賃貸住宅の原状回復などに使用されていますが、厚みがあって施工性の良いものが多いですし、最近は表面しっかり、撥水コート、ストレッチ、軽量など機能性を謳ったものもどんどん増えてきているので侮れませんよ。
残念ながら、主にご自宅用に使う1000番クロスと呼ばれる価格の高い一般品は出てきませんが、それでも色目の参考にはなると思いますので是非見てみてください。
 
 
A. 天井と壁に貼っても(たぶん)内見者の拒絶反応を起こさないであろう濃さの上限。特にホワイト系の床材との相性バッチリの暖色系グレー。
この商品を採用しなくても、手元にカットサンプルを置いておいておけば他の候補と比較するための基準色にできますよ。

東リ VS9054


B.  僅かに暖色系グレーで、エンボス(表面の凸凹)の陰影がきれい。

東リ VS9047


C. すっきりしたライトグレーがきれい。しかも多機能。

サンゲツ SP2850


D. こちらは4点ともトキワ。機能性もあります。

トキワ PINEBULL S
トキワ PINEBULL S


写真だけではなかなか実感が湧かないので、先ずは各メーカーのホームページからカットサンプルを取り寄せてみてくださいね。
届いたサンプルをA4サイズの厚紙に糊付けして壁に当てれば、より実際の仕上がりに近い状態で比較検討できます。
厚紙はダイソーの文具コーナーで8枚入り110円で購入できますし、程よく柔らかく塗りやすいスティック糊も同じくダイソーで購入できます。


 なおカットサンプルをそのまま画鋲や両面テープで壁に貼っても、実際に貼り上げた感じは再現できませんのでご注意を。
ちょっと面倒でも、ぜひ台紙に糊付けして「貼り上がりサンプル」を作ってみてください。ピンッと張るので違いは一目瞭然です。
 
クロスを比較検討する場合のポイントは、玄関や廊下などのダウンライトの下でチェックすること。ダウンライトに照らされることでエンボスの陰影がきれいに出ているかどうかが分かります。
いいなと思ったものでも、ダウンライトの光が当たると陰影がうるさくて目障り、なんてこともあります。
それと、必ず壁に貼り付けてくださいね。間違っても机の上に置いて吟味しないように。光がクロスの真上から当たることなんて、実生活ではまずありませんから。
 
「あぁ面倒くさい。クロスなんか興味もないし・・・」なんて思ってる大家さん、それじゃあ頭一つ抜けた部屋にはなりませんよ。
他の大家さんがまだやってないことをするから差別化できるんです。
 
今ではもう珍しくもない、没個性のアクセントクロスに執着するのは終わりにしましょうよ。
そして次の現状回復工事の際には「少し色が入ったクロス全面貼り」で内見者を魅了する部屋づくりに挑戦しましょう。
これで勝ち組大家へ一歩前進!
 

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