大学の有機化学:構造式

こんにちは.
今回は構造式に関する内容になります.
今回の内容は高校の化学でも学習する内容でもあります.
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さて,今回は構造式の内容になります.


点電子構造(Lewis構造)

原子の価電子を点で表す構造を点電子構造(Lewis構造)と言います.
図の例では水素原子,炭素原子,窒素原子,酸素原子,ハロゲンについてそれぞれ挙げています.価電子は順に1個,4個,5個,6個,7個になります.
書き方は価電子が1~4個まではそれぞれの元素記号縦横に1つずつ配置します.5個目以降はペアを作るように配置します.どこの電子からペアを作ってもよいです.
分子の書き方について,メタン分子CH₄を考えることにします.炭素原子由来の1個の電子と水素原子由来の1個の電子を,炭素-水素原子間で共有して結合が形成されます.これを共有結合と言います.これが4か所でできた分子がメタン分子になり,図のように書きます.この時,炭素原子の周りには電子が8個あります.この状態をオクテットと言います.構造式はこのオクテットを満たすように記述します(水素原子は2個).
点電子構造は,実際の分子の形を反映していないことに注意しましょう(実際はのメタン分子は四面体形).


線結合構造(Kekulé構造)

原子間の2個の電子(共有結合)を線で表す方法を線結合構造(Kekulé構造)と言います.
原子の場合,価電子の数を原子価で表すことになります.例えば,炭素原子は原子価が4で他の原子と4つの結合を形成します.そのため,炭素原子の場合,4本の線で記述することになります.
分子の場合,点電子構造の2個の電子対を線で表せばよいのでメタン分子は図のようになります.
アンモニア分子の場合,窒素原子は3つの水素原子と共有結合を形成します.この時,窒素原子の周りに電子を8個配置する(オクテットを満たす)と結合を形成しない電子対が1組できます.これを非共有電子対または孤立電子対と言います.非共有電子対は省略してもしなくてもよいです.反応にかかわる場合は省略せずに書きます.

四面体炭素の立体表現方法

メタン分子の炭素原子はsp³混成炭素で四面体の構造をしています.
紙面上で四面体を書く際に2つの水素原子と1炭素原子(H-C-H)を同じ平面上に配置すると,残りの2つの水素原子は紙面上の手前側と奥側に配置されることになります.同じ紙面上は実線で表記し,手前側をくさび型,奥側を点線でそれぞれ表記します.

短縮構造と骨格構造

ここまで,点電子構造と線結合構造について説明してきましたが,これらをすべて表記していると大変です.そこで,線結合構造のC-C結合,C-H結合を省略した形を短縮構造と言います.図は2-メチルペンタンですが,枝分かれのメチル基の炭素と主鎖の炭素の線は枝分かれの構造であることが分かるように省略していません.書き方に厳密な決まりはないので,構造を見る相手に誤解なく伝わればよいです.
さて,短縮構造でも炭素鎖が増えた場合,すべて書くのは結構大変になります.そこで,有機化合物に最も多く含まれている炭素原子と水素原子を省略した骨格構造を導入します.
骨格構造はジグザグに線をつないでいくのでこれまでの構造に比べて,実際の構造に近い構造になります.
まず,炭素原子は省略します.その代わりに線でジグザグに結んでいきます.ここで,線の交点と端点は炭素原子がを表します.例の2-メチルペンタンでは,炭素主鎖をジグザグに5個つないで,2位の位置に線を書きます(メチル基を表す).図の赤い点の位置は炭素原子を表しています.
次に,炭素原子に結合している水素原子は省略します.「水素原子すべて」ではないので注意しましょう.「水素原子すべて」だと例えば,ヒドロキシ基-OHの水素原子も省略しないといけないことになり,ヒドロキシ基を正しく記述できないことになります.炭素原子に結合している水素原子は構造から補います.炭素の原子価は4なので,4から交点(または端点)から出ている線の本数を引いた数がその炭素原子に結合している水素の数になります.
図では,1番左の炭素は線が1本出ているので「4 - 1 = 3」で水素の数は3つになります.次にその隣の炭素からは線が2本出ているので「4 - 2 = 2」で水素の数は2つになります.次に,右から2番目の炭素は線が3つ出ているので「4 - 3 = 1」で水素の数は1になります.
最後に,炭素と水素以外の原子は省略してはいけません.なんでも省略できることになると,正しい構造が分からなくなるためです.

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