見出し画像

FREEK TALK #004 かえるはかえるに聞く「SASUKE」のはなし

文/構成:とんこ

本企画は、編集部員であるとんこが毎回異なるゲストを呼び、その人の「好き」を「自由」に語ってもらいつつ、根掘り葉掘りおしゃべりするものです。
今回は、誰もが一度は多少なりとも見たことがあるであろうあの国民的番組について。お酒を飲み、時には過去動画を流したりもしながらわいわいと話し、編集部とんこもパートナーの知らなかった一面を見ることができました。

とんこ お疲れ様です。先日はエッセイの執筆ありがとう! 続けざまですが、こちらもよろしく〜。

かえるはかえる(以下、かえる) 乾杯!

とんこ 本題に入る前に、そもそもSASUKEとはなんぞやというのを提示しておこう。大辞泉によると「日本のテレビ番組。1997年放送開始。100名の挑戦者がさまざまな障害物をクリアするスポーツエンターテインメント」とのこと。1stステージ(時間制限あり)→2ndステージ(時間制限あり)→3rdステージ(時間制限なし)→ファイナル(時間制限あり)と、脱落者を出しながら進んでいく大会だね。

かえる ほぼ同い年なんだ。確かに、物心ついたときにはSASUKEがあったよ。昔から父親が好きで、小さい頃からよく観てた。

とんこ 私がSASUKEを見るようになったのって、かえると暮らし始めたここ1、2年なんだよね。それまではSASUKEのことも、かえるがSASUKEを好きだっていうことも全然知らなかった。

かえる せっかくなので、過去映像を観ながら話しましょうか。YouTube公式チャンネルがあるなんて初めて知ったよ。ひとまず直近の、テレビでも観た「SASUKEワールドカップ2024」にしようか。

かえる ワールドカップは確か初めての試みなんだよね。これまでもパルクールとかNinja Warrior(アメリカ版SASUKE)から何人か出場したことはあったけど、国別のチーム戦はなかった。

とんこ 普段のSASUKEには芸能人もたくさん出て、もっとバラエティー色が強いイメージ。霜降り明星とかあのちゃんとか、確かいたよね。

かえる あのちゃんはしっかり時間を使ってじっくりやって、タイムリミットで失格になってたね。水には落ちずに笑

とんこ 女の人も同じセットなんだっけ?

かえる 基本的には同じセットで、女の人は制限時間が長かったりするね。

とんこ 私、ワールドカップ好きだったな。いつもと違ってどんどん落ちていって誰も次のステージに進む人がいなくなったら終わりじゃなくて、最後まで競技をやりきってその上で優勝国を決めるチーム戦っていう形式が。

かえる いやー、海外の選手は手足が長いこともあってテンポよく進むね。サクサク見るには1stステージが楽しいんだよ。時間制限があるし、圧倒的に速い人を見るのもギリギリで滑り込む人を見るのも、芸能人が落ちまくってるのを見るのも面白い。

とんこ 大体何歳くらいから観てたの?

かえる 幼稚園ぐらいかなあ。1stは18時台とかから放送してて、2ndもその流れで見るけど、3rdは選手それぞれ己との戦いだしいい感じに夜も更けてきてて。途中でお風呂行ったりして、眠くなってきて寝ちゃうこともあった。それくらいの年齢。でも3rdやファイナルって、実は当日はもっと遅くて午前の2時とか3時なんじゃないかと最近思う。周りに何もない緑山スタジオ(神奈川県横浜市)だから、可能ではあるし…。

とんこ 確かに2ndの途中から真っ暗な回もあるよね。やっぱり1stのテンポ感が子供にとってはちょうど飽きなくて楽しいのかな。

かえる アスレチックが好きだったのもあるかもしれない。1stはそういう要素も強いから。ふなばしアンデルセン公園とか千葉県の野田にある清水公園みたいな、踏み間違えれば水に落ちるようなちゃんとしたアスレチックのある公園に、よく車で連れて行ってもらってたんだよ。ジャンピングスパイダーは実家の廊下でもよく真似してたなあ。

とんこ これは私もやってたかも! こういう性質の番組とかスポーツ、多分SASUKE以前も以降もないよね。唯一無二だよな〜。それぞれのチャレンジは個人戦だけど、同時にステージへ挑む挑戦者全員のチーム戦のようなね。

かえる 最近出てるSnowManの岩本照さんはよく泣いてるけど、その涙の意味もわかるよね。同志が次のステージに進んでくれた嬉しさと、自分がいけなかった悔しさの交じった複雑な気持ち。でも他のスポーツは若い人が多いと思うけど、歳をとっておじさんになってもみんな熱くなってるし、みんな泣くんだよね。昔、山田勝己が敗退後インタビューで、溢れんばかりの涙で「俺にはSASUKEしかないんです」って泣いてたなあ。有名なシーン。

とんこ 有名なんだ…。

かえる 今となっては茶化されたりもしてるシーンだけどね。そり立つ壁に何回もチャレンジして、結局登りきれずにタイムアウトみたいなこともあるわけですよ。それぞれの悔しさがあるよね。あと、当然だけど選手みんなSASUKEが本業な訳ではないところも面白い。みんなそれぞれ別に本業があって、しかもそれが体を使う仕事とは限らない。基本は肩書きがない人ばかりだからね。

とんこ これをやってるからこれに強い!って決まるような競技でもないもんね。

かえる スポーツ選手も出場することはあるけど、SASUKEの対策をしてないとともすれば1stで落ちる。SASUKEを一番熱心に観ていた当時好きだった漆原裕治は靴のハルタの営業なんだよ。普段は仕事をしてその一方でSASUKEに向けて準備している姿を見て、大人はこういう生き方をしてるんだって子供ながらに知った。

とんこ かっこよく見えるだろうね…。

かえる 僕の「はじめて」尽くしだな〜SASUKEって。手に粉を付けるのが滑り止めになることも、疲労で「乳酸」なるものが溜まるっていうこともこれで知った。その頃はカルピスが好きだったから、「乳酸」って言われて困惑した記憶がある。

とんこ かわいいな笑

かえる 漆原は僕の初めての「推し」かも。自分でやってきたスポーツはサッカー、柔道、バスケだけど、どれも観戦には興味なかったし、どんなにメジャーなスポーツでも贔屓のチームができたことはないから。次は漆原特集の動画にしよう。

とんこ 2時間40分のまとめ、すごすぎる!!

かえる 2回も完全制覇してるんだよ、この人。最初は30歳手前とかだったけど、今はもう50歳前とかなんじゃない? もう子供も2人いて。家族の話もよく選手紹介のドキュメンタリーパートで出るんだよね。子供が産まれたばかり、とか。その子は既にもう寝ちゃってたり、逆に3rdステージでは起きてたりして、そういうのも面白い。

とんこ 自分のお父さんぐらいの年齢の人もいたりするから、そんな歳で?!っていうびっくりもあるよね。男の人って何歳ぐらいが体力のピークなんだろう。

かえる 20代前半かなあ。でもSASUKEって障害1個1個で考えるんじゃなくて、全ての蓄積だからね。3rdステージなんかは特に。「時間かけてもいいですよ、やれるものならやってみな」っていう大会側からのメッセージを感じる。例えクリアしてクールダウンできても、同じ日にファイナルステージがあるからね。そこまで行けること自体、本当にすごいんだよ。

とんこ 3rdは腕を酷使するイメージがあるなあ。時間をかければできるものでもないもんね。休めば休んだだけ回復するわけでもないし、時間制限がないからこそのハラハラもあるかも。ちなみに、漆原のどんなところが好きだったの?

かえる その頃のSASUKEでは、まだルーキーだったんだよね。めちゃくちゃムキムキ!じゃなくて、細身な割に筋肉が付いてる感じの体型で。普段は靴の仕事をしてるのもかっこよくて、ヒーローに見えたんだよな。SASUKEオールスターズの次の世代くらいだと思う。

とんこ オールスターズとは?

かえる Mr.SASUKEと呼ばれる山田勝己とか漁師の長野誠とか、昔一番活躍してた人たちの総称。漆原の前は長野誠が好きだった。でも彼らも今や最年長組だね。長野はファーストステージで振られる番号が、99とか100みたいなわかりやすい数字なんだよ。初出場の人は予選の成績順で。いろいろ加味してやってるんだろうね。オールスターズは後ろの方に集中してる。

とんこ 初めて知った! でも確かに言われてみれば、選手紹介で番号に言及していた気もする。

かえる 最近、「換喩=メトミニー」って言葉を知ったんだけど。Wikipediaを読むと、「修辞学の修辞技法のひとつで概念の隣接性あるいは近接性に基づいて語句の意味を拡張して用いる比喩の一種」。ここでは「ペンは剣よりも強し」のペンはつまり文筆家や思想家を指す、って例が挙げられてるね。地名の方がよく使われるかも。「永田町」は国会、「霞ヶ関」は外務省を暗に指すじゃない?

とんこ その概念、名前ついてたんだ…面白い。

かえる 初めて知った換喩は、今思えばSASUKEの「緑山」なんだよね。ファイナルステージの直前には絶対に「緑山の〜」って実況が入るし、「緑山の魔物」とかもよく聞く言葉。

とんこ わ、実況のまとめ動画もあるよ。

かえる こんなに昔の映像が見られるのってすごいことだよ。しかも結構な頻度で更新されてるんだよね。公式がまとめてくれてるなんて、ありがたい。

とんこ SASUKE見るたび、どうやってセットを作ってるのかも気になっちゃう。

かえる ファイナルのセットは結局使わない時もあるよね。映すだけでも価値があるものだから、無駄にはならないけど。最近の2ndステージにはプールゾーンがあるよね。あれは用意するのが大変そう。

とんこ あのゾーン、挑戦者をある程度の数は確実に落とそうという制作側の意思が見える。陸が得意でも水が苦手なんてよくあることだし。当日に何人が通過するかなんて誰にもわからないけど、通過する人数が多ければ多いだけ時間かかっちゃうもんね。

かえる 番組の尺もあるしね。我々が思っているよりもセットには時間がかかってるんだろうな…。あと、高校から大学ぐらいはあんまり見てなかったからいつからかは明確じゃないけど、ドローンが撮影に使われるようになったのは本当に革命的。こんなアングルって昔はなかった。

とんこ 確かに、臨場感ある。盛り上がるよね。

かえる どんなお祭りよりもSASUKEが好きだなあ。次の放送はちゃんとスケジュール押さえておいて、休みを取って最初から観たい。公式動画もこんなにあるなら、毎日これを観て過ごせばいいんじゃない!?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?