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082『ガールズバンドクライ』第13話「ロックンロールは鳴り止まないっ」、感想

 アバンは仁菜ちゃんの回想。そこでやっと仁菜ちゃんが熊本を出た経緯が明らかにされました。詳細が明かされたのは本編がしばらく経った後ですが、最初はいじめっ子を救うための行動だったようです。しかし次に標的になったのは仁菜ちゃん自身になった、という経緯でした。だから仁菜ちゃん、自分は「間違ってない」という考えになるのも納得できました。
 しかし目が覚めたら現実、トゲトゲは人気でダイダスに完全に水をあけられてる状況に相対しなければならない。トゲナシトゲアリの五人は三浦さんと話し合うが、両者とも責任のなすり合いにならなかったのは良かった。ではどうするか、話し合いの後に連絡をくれたのが現ダイダスのボーカルヒナちゃん、そう、熊本時代に仁菜ちゃんの友達だったあのヒナちゃん。
 用件は昔友だちでなく、ダイダスとトゲトゲとして、対バンライブに関する提案。実質一回ずつのワンマンライブでなく普通の対バンへの変更提案ですが、三浦さんからの提案とヒナちゃんが言ってしまったから、正論モンスターが納得するはずもなく。実際、その後でのダイダスの五人の話し合い、仁菜ちゃんは普通の対バンにするのは嫌と言い切った。前売りの売り上げからこちらの負けが分かっててもなお。それに今普通の対バンに直すとトゲトゲの負けを「試合」前に認めたことを意味するし。そこで練習の成果の勢いのあるギタープレイ、正にニーナの本領発揮。その後でヒナとの関係を仁菜ちゃんはトゲトゲの五人に告白し、如何にも仁菜らしい行動と思ったことでしょう。
 そして(もちろん対バンライブが終わり次第)トゲトゲの五人からの契約解除願いを三浦さんに申し出る。そこまでの経緯はごっそり省かれてるけど、多分人気の点で大手と契約するには私らは足りないという結論に達したのだと思う。アニメージュの最新号を読む前に察しがついていたので、納得の結論でした。
 そしてCLUB CITTA。自分たちのファンをひねくれ者と言う仁菜ちゃん、冷厳な現実を冷静に受け止める大人さとともに、正論モンスターとは違うロックさを手に入れたんだと思う。明言こそしなかったけどそれは「今に見ていろ」という決意表明のロック魂だったと思う。最終回の今回は「運命の華」の短縮バージョンに続き、普通のEDの「誰にもなれない私だから」。これまでのような驚きはないものの、納得、それしかないと言える終わり方でした。

 しかしならばと、疑問が残ったこともある。トゲナシトゲアリがそれでも三浦さんの下で活動を続けるエンドなら、特に疑問を持つこともなかった。しかしトゲトゲがインディーズで再出発するエンドにした以上、これまで公開されてきた(3DCGの)トゲナシトゲアリのミュージッククリップは何なのかと言う疑問が出てくる。少なくとも劇中のトゲトゲが出演した映像ではない。今回の十三話が終わった後で金をかけたMVが作れる立場になったとしても、五人それぞれ年を取ってるはずだから。
 つまり論理的に考えて、今年の春アニメとして放送された『ガールズバンドクライ』、それに放送前に配信公開されたアニメやマンガのトゲトゲのMV、同列に考えられると思うのです。つまり劇中人物の仁菜、桃香、すばる、智、ルパ、実は俳優の役名で、「実際」にはもう一つの、明示されていない「ガルクラの世界」があるという意味。
 それは実は四十年前、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の公開に際して展開された広報、宣伝でした。四十年を経てこれをやるとは、花田十輝の計算高さにただただ脱帽。やられました。何はともあれスタッフ、キャストの皆様、素晴らしい物語を有り難うございました。ひとまず。

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