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087 「碧いif」by トゲナシトゲアリ、感想

朱李 これまでは、5人それぞれの過去やぶつかり合いを見せてきましたけど、ここからは音楽の道に向かってひたすら突き進んでいきます。みんながどんなふうに駆け抜けていくのかを、本当に楽しみにしてほしいです。第10話までの5人がお互いのことを知ったからこその、一丸となったトゲナシトゲアリをぜひ見てください!
凪都 全13話、残りはあと3話なんですけど、ドラマのボリュームがすごいです! まだまだ紆余曲折があります。でも以前の「1×5」じゃなく「5×1」にまとまったので、みんなで助け合って想い合って、でもぶつかり合いながら最後に向かっていく姿は、第10話までとはまた違った面白さがあります。新しい一面が見えたりもしますので、ぜひ最終話まで観ていただけたらと思います!
美怜 ここからはバンドとしての5人に注目していただきたいです。事務所やレコード会社に所属せず、自分たちだけでプロを目指すのは本当に難しいことで……。とても面白いストーリーなので、ぜひご期待ください。
夕莉 みんなの言う通り、個人の悩みを経た上で結束した5人です。トゲナシトゲアリは第10話でやっとスタートできました。そこからの成長も残り3話でしっかり見られます。宿敵ダイヤモンドダストとどう決着をつけるのかも、どうぞお楽しみに!
理名 最終回に向けて、さらにさらにさらに盛り上がって行きます! 仁菜たちの物語を最後まで見届けていただけたら嬉しいです!
(「アニメージュ」7月号対談より 見出しは「これからまだまだ紆余曲折!?」)


『ヤマノススメ』、雪村あおいの場合

 さて、私もネットで一部分だけ聴けるトゲナシトゲアリを一曲丸ごと聴き、その歌い出しが『ヤマノススメ Next Summit』のアバンの雪村あおいと思いつき、驚いたのです。度々言及しているヤマノススメシリーズの第四期は、三期から間が空いたので四話まではそれまでの振り返りでした。でもOP前のアバンは新作画で、第一話は旧友の倉上ひなたに出会う以前が描かれたのです。タイトル画像は中学卒業式前の休みの日、近所の図書館から出た後、日差しの眩しさに目を細めるあおいちゃんなのです。

青い空なんて見たくもないんだ
眩しすぎるから目に染みて痛くなった

 まさにこの場面をそのまま言葉にしたよう。だからその続きも当時のあおいちゃんとひどく繋がる。

変わりのない毎日をいつから望んでた
動けないでいる僕を隠せるから

 しかし雪村あおいは旧友の倉上ひなたとの再会で「繰り返す毎日」に別れを告げ、(山だけに)山あり谷ありの生き方を歩むことになる。それは、

ねぇいっそ、その青に僕を溶かしてよ
もういっそ、その青で僕を殺してよ

を地で行くストーリーと思うのです。「青」は間違いなく青春の「青」。つまりヤマノススメに準じれば、

どうせここから抜け出せやいないなら

その「ここ」は雪村あおいの学生という身分と捉え、「青」=青春への切なる願いと思われるのです。
(追記 7/12)
 雪村あおいに関しては結局学生生活を続けながら、(一旦)学校という場から離れたところで、「青」に関する体験(青春という意味でも、青い空と白い雲が舞台の山登りという意味でも)に最初は旧友の手を借りて踏み出していくことになる。
(追記終わり)


『ガールズバンドクライ』、井芹仁菜の場合

 しかし新ダイダスと明言してる曲以外、ガルクラの楽曲は新川崎(仮)とトゲナシトゲアリのものであり、井芹仁菜か河原木桃香が作詞したもののはず。「碧いif」もその線に沿って論じるのが常道。しかし周りを気にして生きてきた仁菜ちゃん、中退の切っ掛けとなった正義感の発露まで、楽しく青春を謳歌してたのではなかったか? ガルクラの日常回のその年頃の女の子に相応しい生態を見せられ、それほど鬱屈ない青春だったのではと勘繰ったのです。
 しかし学校という閉鎖空間、週に何日も同じ顔を突き合わせる場で、井芹仁菜というポジションは微妙だったかも知れない。有名な教育者を父に持つという立場、有象無象の人間が寄ってくること、必定だから。校長もそんな一人だったと仮定すれば、第10話での井芹父娘への対応/態度も理解はできる。校長はむしろ権威に盾突くルサンチマンをやっていると驕っていたのだと思う。つまり仁菜ちゃんは高校生活を楽しむために目立つことが出来なくなり、「青い空なんて見たくもないんだ」状態になってたと窺える。実際に詞にしたのはトゲナシトゲアリになってからと思うけど。
 そして仁菜ちゃんの場合は学園生活からドロップアウトしたため、青春時代を自分から/自分で終えた。それは、

ねぇいっそ、その青に僕を溶かしてよ
もういっそ、その青で僕を殺してよ

の青から仁菜ちゃんが裏切られたためで、「青い空と白い雲」を仁菜ちゃんが敵に回したことを意味する。それがどれだけ罪作りか、多分ヒナちゃんは分かってるはず。(大塩高志)


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