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098 劇場総集編『ぼっち・ざ・ろっく! Re:』、感想

 ぼざろの劇場版、前編の主題歌のタイトルが「月並みに輝け」と知り、やはりぼざろはロックだと思い知りました。月並みに輝け、そのメッセージは歌詞を細かく知る前、「つまんない物語の主人公になれ!」と察し、その強烈な反骨精神に、そんな歌を映画版「ぼっち・ざ・ろっく!」の最初の主題歌にするんだと、アニメスタッフの覚悟を察したのです。

「月並みに輝け」、イメージ画像

 つまんない物語、それは私にとって主人公が理由なく夢想無双する話。そんな物語をあなたたちは観たいんでしょ、という揶揄とともに、後藤ひとりはやってみせた、次はあんたの番だぜ、そんな挑発と受け取ったのです。
 もちろん今回の「Re:」がつまらないなんてことはない。それはすでにテレビシリーズでぼっちちゃん以下、結束バンドのメンバーに思い入れがあるからでもあるけど、だったら評判だからと、この映画から入ろうと思う一見(「一言」から修正)さんにはきつい(話がわかりにくい、見やすい映像でない)かというと、多分そんなことはない。それはテレビシリーズの途中を、映画の冒頭にしてるから。それはぼっちちゃんに、なんでバンドの誘いを受けて続けていてくれるのか、誘った張本人の虹夏ちゃんが問いかける場面。それが今回のタイトル画像ですが、それで私は映画版のぼざろがどんな映画か、アニメスタッフはどう観てもらいたいと思っているか、分かったような気がしました。
 もちろんアニメになってパワーアップした(主に)ぼっちちゃんの過剰なまでの映像表現は健在でした。それこそが「アニメは自由だ!」を実作で示したぼざろのアニメ史での意味と思うのですが、今回の映画ではそれは一つの感情で態度であり、それが強くギャグとして、印象に残ったようには思えないのです。それはぼっちちゃんが喜多ちゃんを引き留める場面、ぼっちちゃんが歌詞のことについてベースのリョウに相談する場面、どちらも台詞が違うところに現れていると思います。つまり全て主人公、後藤ひとり/ぼっちちゃんを際立たせるために変えたんだなと。
 それは正に青春アニメであり、テレビシリーズでも実は明確に表現してた、結束バンドで絶対活躍してみせるんだという後藤ひとりのロック魂。それをテレビシリーズではギャグ表現を交えて、映画では間口を広げるために「一生懸命な若者」の物語として表現したと思うのです。
 つまり映画ぼざろ、舞台が青い空と白い雲でないのにやはり若者の話であるからか、意外に爽やかがあると思ったのです。集客に悩まされるとはいってもまだ学生だし、モラトリアムの面があるので、主人公たちの活躍を純粋に楽しめる映画になっていました。
 それをロックの映画と言えるのか、そんな問題もアニメスタッフは理解してるはず。後編、「Re:Re:」で応えて/答えてくれることでしょう。

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