マガジンのカバー画像

『ガールズバンドクライ』note

30
ガルクラについての私の感想です。
運営しているクリエイター

#ぼっち・ざ・ろっく

088 メタで語る『ガールズバンドクライ』⑤

 次のアニメの題材にロックを選んだことで、テーマはロックにならざるを得ない。題材がポップスでテーマがロックなら、『【推しの子】』という格好の例がある。しかし偶像破壊というロックの志向があまりにもドラマチックなエンタメに消費されてしまい、反抗や反発と言うロックの思想になってないきらいがある。  『ぼっち・ざ・ろっく!』はまずもって表現がロックだけど、ぼっちちゃんは確かにロック魂を持ってるから、間違いなくロックの物語で。しかしアニオリでロックの話を企画するとなると、ロック畑の人間

083 『ガールズバンドクライ』、短い総評 第10話と第13話から

 結局、最終回の「ロックンロールは鳴り止まないっ」への批評は第10話「ワンダーフォーゲル」の批評とリンクする運命にある。私自身も件の二話、揃って評価してるし。  今日は第10話の評価に結び付けるため、ぼざろとの関連から論じたいと思います。私は多分初回から、すばる登場回の第2話で明確に、ガルクラはぼっち・ざ・ろっくだと思いつきました。ぼざろのキャッチコピーは「陰キャならロックをやれ!」ですが、まさに井芹仁菜と河原木桃香、ロックでしか生きていけないキャラクターと思えたのです。

078 『ヤマノススメ』の事を話そう

 2022年にアニメから入って転んだ『ヤマノススメ』、ある面ではガルクラの対極とも考えられる。主人公雪村あおいは(最初は)旧友の倉上ひなたに引っ張られる存在だし、青い空と白い雲が舞台だし、結局は陽キャの肯定になってる。しかし山あり谷ありの生き方の肯定、学校に居場所がないなら外に出よう、という思想では山とバンドに似たところがある。  とはいえそれぞれに重い/辛い過去を受け入れ、克服し、認め合うガルクラ、陰キャで承認欲求モンスターがバンドで名実ともにギターヒーローになっていくぼざ

074 『ガールズバンドクライ』、劇中曲「空の箱」

 ガルクラで最初に聞く曲と言えばOPの「雑踏、僕らの街」。しかし映像の出来栄えからトゲナシトゲアリになって事務所とレコード会社が決まり、金をかけたPVと思われる。  だから劇中で考えると、桃香さんの弾き語りの「空の箱」が最初と思われる。終わった後の仁菜ちゃんとの会話から桃香さんがいたダイヤモンドダストの持ち歌であり、仁菜ちゃんが聴いたのは桃香さん自身による弾き語りバージョンと(視聴者に)明かされた。しかし後日同じ場所で、仁菜ちゃんが桃香さんを入れた即席のバンドで歌ったバージョ

076 トゲナシトゲアリ、武道館への険しい道

 カタルシスで終わる/終えるのがポップス。「そんな訳ねえだろ」と、余計なことを付け加える、あるいはその余計なことそのものがロックと思ってて。だからアニメとしては結構革新的だけど毎シリーズ気持ちよく終えたヤマノススメシリーズはポップスだし、結束バンドの文化祭演奏をAパートにし、Bパートの最後を「今日もバイトかぁ」のぼっちちゃんの台詞で締めた『ぼっち・ざ・ろっく!』第一期、間違いなくロックでした。  こんな話をするのも先週のガルクラ第11話、普通の話(ポップス)なら最終話に相応し

066『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!⑤ ぼざろとガルクラ、それぞれのロック その2

 ぼざろとガルクラの比較論、少々ややこしくなってきましたが、今回は下記のnoteの続きです。  上記で私が示したロック、今回との違いを明確にする言い方をすれば、ぼっちちゃんこと後藤ひとりとニーナこと井芹仁菜、二人の少女がそれぞれの物語で示したロック魂です。ぼっちちゃんは無様な姿を晒してでもギターボーカルで入ると思ってた、自分にはない陽キャの少女を引き留め、仁菜ちゃんは中指立ててまで、空しく都会の喧騒に消えるかも知れないのに「一緒に中指立てて下さい!」と、奇跡で出会えた憧れの

063『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!④ 楽曲論その2 青春コンプレックス/雑踏、僕らの街

 今日は主題歌の歌詞、OPにかかる部分だけで分析。  まずは「青春コンプレックス」。 暗く狭いのが好きだった 深く被るフードの中 無情の世界を恨んだ眼は どうしようもない愛を欲していた 雨に濡れるのが好きだった 曇った顔が似合うから 悲しみにおびえてるふりをして 空が割れるのを待っていたんだ かき鳴らせ 光のファズで 雷鳴を轟かせたいな 打ち鳴らせ 痛みの先へ どうしよう! 大暴走獰猛な鼓動を かき鳴らせ 交わるカルテット 革命を成し遂げてみたいな 打ち鳴らせ 嘆き

062『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!③ 楽曲論その1 ロックを定義する/青春コンプレックス

 本題に入る前にロックの定義、私のロックに対する認識を明らかにする必要があります。平たく言えば「何がロックか?」。それを説明するためにはロックとするには扱いが困る、ポップスとの線上、境界に位置づけられるアーチストを論じるのが良さそうです。私にとってそれはZARDであり倉木麻衣、そしてそれに類するアーチスト。昔の歌だったら「My Revolution」の渡辺美里。  いずれの楽曲もロックの楽器の編成になってますが、「これがロックと言えるのか?」。完璧に骨抜きに、脱臭された「頑張

061『ガールズバンドクライ』第7話「名前をつけてやる」、感想

 確かにガルクラは、仁菜は変わった。新川崎(仮)のTシャツを売るなんてまるでぼざろだし、智ちゃんにそのバンド名を批判されたらバンド名のための作戦会議なんて、その年齢の女の子相応の、初々しい可愛らしさ。幸せな高校時代はこんな風だったんだろうなと想像できる仁菜ちゃんの表情、仕草でした。  また今回は会話回でもありました。仁菜ちゃんのお姉さんが妹のアパートに来て、妹が都会に出た理由を(視聴者に)明かしてくれました。私も仁菜の父親、何らかの有力者だろうと想像してました。そこは少しかす

056『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!② ぼざろとガルクラ、それぞれのロック

 比較の意味でももう一回、今度はメタでなく登場人物の想い/思いから、ぼっちちゃんが喜多ちゃんを引き留めた場面について。その前に虹夏ちゃん、ぼっちちゃんと一緒の喜多ちゃんに悪態の一言を言った後、何故ライブハウス、スターリーに招いたか、不審がるブロガーがいたのを覚えています。  でも当時から虹夏ちゃんの菩薩対応はそれほど不自然でないと思っていました。何故ってバンドマンの人口、特定の生まれ年での推移を見て行けば最初は供給過多でもある年齢を境にガクッと人数が減り、需要を満たすことが出

055『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!① 「序論、ヤマノススメとゆるキャン△と」

 やっぱりこの二本を並行して論じなきゃならない。実は私のアニメライフ、ぼざろの頃とガルクラが放送中の今期、結構似てるから。  アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が放送されたのは2022年秋。それはその年の春から第一期から再放送されたアニメ『ヤマノススメ』に転び、待ちに待った第四期の「Next Summit」を楽しんだ時期だった。実際見事な出来で二度目のあおいたちのパーティーの富士登山の青春に堪能し、原作マンガとともに私の大事な作品の一つになりました。  しかし同時期に放送された

053『ガールズバンドクライ』第5話「歌声よおこれ」、感想

 今回はまずぼざろでもネタにしてたライブハウスのチケットのノルマ制について。詳しくはラフィータフィーの「ライブ・ハウス」で忌野清志郎が歌ってること。私は一応その歌を知る前から知ってたけど、バンド活動はなるほど大変だと思った点です。  しかし驚くのは計算された作劇であり物語の展開のはずだけど、最終的に新川崎(仮)のライブハウスデビューに至るまでの展開の見事さ。それはダイヤモンドダストとその代名詞ともいえる楽曲「空の箱」に関してのこと。仁菜ちゃんが初めて路上で桃香さんとセッション