頁4「もろたやつなんスけどね」
書きやすいボールペンって、JETSTREAMだけじゃぁ最近ない。
何年か前からサンプルとしてよくもらうボールペンがあって、御社の社名を入れられますよ的な、グッズ商品として展開しているのかもしれない、そのペンが、とても書き良い。
焦がしキャラメルソースくらいインクがねっとりとしていて、ずいぶんとじぶんのポテンシャルより猛々しい筆致に仕上がってくれる。「何卒宜しくお願い致します。」とポストイットにしたためるだけで、お願いした気持ちがずどんと相手に伝わると思える頼もしさがある。
そんなお気に入りねっとりペンを使っている人に先日ふと出遭った。
わぁと嬉しくなり、「それ書きやすいですよね」と身を乗り出してしまう。
するとその人は「もろたやつなんスけどね」と照れくさそうに小声で言って笑った。
え、この人ももらったんだ！？ という突然の共通点と、
え、さっきまで標準語だったのに急に方言！？ という意外性で、
心のなかがまるでふたつのスーパーボールが舞い踊るかのように弾んだ。
方言には詳しくないけれど、なんとなくはんなり地域の方なのかなぁという印象を受け、「もろたやつなんどすけどね」と言った気さえした。
共通点＋意外性＋日常に急に差し込まれるはんなり……恋に落ちる方程式でしかないではないか。
✑ what's new
恋愛ドラマ書きました（4・5・6話）
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