絶対になくならないピン留めと恋
もうだいぶ遅い時間のバスでの帰り道。
左ななめ後ろの座席から、お互いに気恥ずかしそうに恐縮し合う男女の会話が聞こえてきた。
「迷惑かなと思ったんですけど。いつも次で降りてるなと思って」
「いえいえ、ありがとうございます。助かりました」
どうやら、たまたま隣の席に座っていた女性がいつも自分と同じ停留所で降りることを知っていた青年が、次はもう自分たちが降りる停留所だというのに彼女が気づかずこんこんと眠り続けているのを「このままでは乗り過ごしてしまう!」と意を決して声を掛け、起