【グロショートショート】幸せホルモンが出過ぎたドラえもん

幸せホルモンが出過ぎたドラえもんは鏡を見て「これは、本当に僕?僕、ドラえもん?」とのび太に聞いた。自分でも状況がよく飲み込めていないようだ。


「そうだよ、君はドラえもん」


「僕、ドラえもん、君もドラえもん?」


「僕はのび太だよ、忘れちゃったのドラえもん!」


幸せホルモンが出過ぎたドラえもんはのび太を殺害したくなっていた。


「人間って面白いなあ、解剖したくなる」


「やめてよドラえもん、くすぐったいよ」


ドラえもんはのび太の眼鏡を踏んづけて笑っていた。幸せすぎて一瞬だけ一人称が「オイラ」になっていた。


「オイラ」


幸せホルモンが出過ぎたドラえもんは鈴が金玉に似てきた。それからひみつ道具の上で屁をこいた。肛門にひみつ道具をしまうという新たな幸せも発見した。見かねたドラミが口を出す。


「もうお兄ちゃんったら、幸せホルモン出し過ぎなんだから」


「機械からホルモンは出ねぇよ!」


ドラえもんは間違ってドラミの首を締めた。


「幸せやなぁ」


幸せホルモンが出過ぎたドラえもんは使ったことのない関西弁が出た。ドラミは抵抗することなく、ただ砂時計の砂が落ちる様子を見続けている。


「のび太くん、僕、宗教始めるよ」


「本当かい!?ドラえもん!ぼく、嬉しいよ!」


幸せホルモンが出過ぎたドラえもんはのび太の幸せそうな顔を見て「こいつ、本当の幸せを知らねえんだろうな」と汚い笑顔を見せた。Twitterで自撮りを載せると4いいねがついた。


ドラえもんは家を出た。町を駆け巡り、電車と並走するも競い負け、それでも笑顔だった。顔には出るはずのない汗がキラリと光っていた。



それから幸せホルモンが出過ぎたドラえもんは空き地の土管を見てイラつき始めた。


「出来杉くんがセロトニンの塊に見えるよ」


そこには、出来杉くんはいなかった。



土管からネズミが出てきた。幸せホルモンが出過ぎたドラえもんは「怖いという感情を起こしてくれてありがとう」と言った後、ゴボゴボ咳き込んで自分が無理してることに気づいた。


ドラえもんは自分自身の弱さを知り、ニヤリと笑った。口角が上がりすぎて、そこを起点に裂け、形を変えて完全な丸になった。青い丸は700mm浮いた。


のび太がその球体を抱き締めるとドラえもんは元の姿に戻った。


「オイラ、ドラえもん」


「違う。君は『ぼく、ドラえもん』だよ」

「僕は『ぼく、ドラえもん』?」

幸せホルモンが出過ぎたドラえもんは何度も自分の頭を殴りながら「ぼく、ぼく、ドラえもん!ぼく、ぼく、ドラえもん!撲殺、ぼく、ドラえもん!撲殺、ぼく、撲殺ドラえもん!撲殺、撲殺、撲殺ドラえもん!ぼくがぼくを撲殺するドラえもん!」と叫び、最後「ぼくが、ぼくの最高傑作だ!」と言って死んだ。


ドラえもんの死にインスピレーションを受けたのび太は突如町起こしのアイデアが浮かびまくるが、1つに絞りきれず首を締めて自殺した。


同じくドラえもんの死にインスピレーションを受けたドラミは金色に輝く球体になり、その光はのび太とドラえもんの体を包み込んだ。

「僕はのび太」

「アタイはドラミ」

「オイラはドラえもん」

優しい光の中でのび太、ドラミ、ドラえもん、そして出木杉くんは談笑していた。光の中に、出木杉くんはいたのだった。彼らは幸せホルモン全快の笑顔でバキバキの目に仕上がっていた。

あまりにも話が、できすぎ、ていないだろうか?

Fin.

銭ズラ