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「ネット敗戦」/逢坂誠二 #7556

【23年9月9日 その5859『逢坂誠二の徒然日記』 #7556
昨日、福島町の水産加工場に熊が侵入し、加工中のスルメが食い荒らされる被害が発生しました。建物の中で作業をしていた男性従業員は、クマと目が合うと、熊が威嚇するように両方の前足を挙げて立ち上がり、「恐怖を感じ、必死で外に逃げた」とのこと。幸い人的被害はありませんでしたが、最近、各地で熊が目撃され異常な状況になっています。ハンター養成などを強化する方向ですが、さらに対策について協議します。

今日は朝の便で帰函します。

1)ネット敗戦
7日の朝日新聞です。
日本のインターネットの発展をリードしてきたインターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一会長のインタビュー記事の見出しは「ネット敗戦」でした。岸田総理は8月4日の会見で、日本は「デジタル敗戦」と表明しました。

昭和最後の30年は、下水や道路など生活基盤の発展でした。平成の30年はインターネットが大きく発展した時代でしたが、日本はこれに出遅れ、米国企業の寡占を許し、ここ数年は中国の急成長に圧倒されています。まさにネット敗戦です。

デジタル敗戦、ネット敗戦、両者の明確な線引きはともかくとして、いずれも日本社会において相当深刻な問題です。昨日のインタビュー記事を抜粋して紹介します。

==以下、抜粋引用==

Q:米国にとってネットは?
鈴木:国家戦略そのもの。60年代末から70~80年代を通じ、国防総省などが大学やシリコンバレーでのネット研究開発に膨大な資金を投じました。産業競争力を失って国力を弱めていた米国は、世界の覇権を再び握るために、戦略分野として金融とともにネットを選んだのです

Q:その当時、日本では?
鈴木:かなり遅れてですが、ネットに関心を寄せたのは、国防にまったく興味のない大学関係者たちだけでした。IIJが創業した90年代前半ですら、政府にも経済界にもネットに注目する人はほとんどいませんでした

Q:日本は米欧や中国に立ち遅れ「ネット敗戦」状態です。なぜこんなことに?
鈴木:ネットが国防予算で成長した軍事技術、国家戦略だという視点が、平和に慣れた日本では希薄でした。文化の違いも大きい。ネット事業というのは、法制度的にはグレーゾーンだらけです。検索ビジネスもユーチューブも、著作権法を厳密に考えたら微妙な点も多い。それでも米国の事業者たちは訴訟の山になることを覚悟し、乗り越えながら突き進んできました。それと対極なのが日本社会です

Q:グレーゾーンの受け入れの可否が、日米の実力差につながったということですか?
鈴木:もっと深刻な問題があります。一つは日本ではプライバシーに神経質になりすぎること。さらに日本が弱者に徹底して優しい国だということです。IT化が進むと、まず使えない弱者に配慮し、IT化を遅らせたり昔ながらの仕組みを残したりする。二つの社会インフラが必要でコストが高くなり、遅れた仕組みもそのまま残ってしまう

Q:人の育て方から変える必要があるのでしょうか?
鈴木:GAFAに集まるエンジニアたちは、高い基礎学力と途方もない気力や体力があり、『これがしたい』という野心、よこしまな心がすごく大きい。それが類いまれなサービスを生み出す源泉となっています。私も交流があったアップル創業者のスティーブ・ジョブズらは『変人』でした。日本では、みな小さくまとまりすぎています。もっと変わった子を許容する社会や教育システムが必要です

==以上、抜粋引用終了==

1997年、ニセコ町役場では庁内LAN整備し事務職員全てにパソコンを配置し、ネット接続を行いました。これによって事務効率を向上させる狙いです。この日記の前身となる「町長室日記」も職員と町長との情報共有を念頭に置き、この年に配信を開始しました。

このLAN整備にあたり、適当な支援制度がないかと霞ヶ関を回わりました。その時の、ある省庁の言葉が今も忘れられません。

「霞ヶ関でも十分なLANが整備されていないのに、自治体を支援制度があるはずがない」

この言葉に大きく落胆し、スゴスゴとニセコに帰ったのを覚えています。

こんな状態だからこそ教育が必要なのです。即、役に立つとか、金が儲かる教育ばかりではなく、ものを感ずるとか、感動するとか、想像力を掻き立てるとか、何らかの形で心に作用する教育が不可欠です。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2023.9.9===

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